冬馬君の春と夏

だかずお

文字の大きさ
2 / 35

みんなで花見をするぞ

しおりを挟む
外の景色が鮮やかに色づけられる季節
そう日本の代名詞とも言える一つ、桜の季節がやって来たのだ。
なんだか外を意味も無く歩くのが楽しい時期となる。
僕らは今年小学五年生になった。
うわぁ~見上げる空にピンク色が混ざってる。
学校の帰り道、喜びながら空を見上げる冬馬君達。
慎司が「落ちてくる桜掴んだ人が勝ちね」みんなで一斉に落ちてくる桜を掴もうと頑張っている。
公園の一角にはシートを敷き、既に花見を楽しんでる人達もいる。
今日は金曜日、明日からはニ連休だった。あ~このニ連休前の学校終わった瞬間がたまらない冬馬君は思う、今日家に帰ったら大喜とか、みんなに電話しよう、もちろん内容は花見やろうである!
あっ清香も誘っちゃおうかな?何だか気分が上がって来た。
家に着くとさっそく大喜達に連絡をする。
結局なんだか清香には連絡出来ず終いだった。

そして翌日のお昼過ぎ
ピ~ンポ~~ン!!玄関の外には大喜。
「やっほ~久しぶり冬馬」久しぶりの再会に二人は駆け足で冬馬君の部屋に向かう。その直後だった。ピンポ~~ン「あっ、きっと多網達だ」冬馬君は再び走って玄関に向かう。ガチャ
「わぁ!!」その光景に驚いた!
なんと玄関の外にはすっげ~濃いメンツが揃っていた。
左から、今日も全身真っ黒コーデ、多網。リアルな豚写真ドアップのティーシャツを着てピースするThis isきみ子。
その隣には舌を高速回転させるおなご、虎鮫代ちゃん、そしてその辺の不良小学生なら泣く子も黙るであろう、すんごいごっついゴリラじゃなかった、蛇と鰐を足して二で割った顔を持つ女(どんな顔じゃ)蛇鰐美ちゃん。
冬馬君は息を呑んでしまった、すっ凄い濃いこのメンツ。
みんなは冬馬君の部屋でどんな花見にするか会議を初める。
どんな花見って、どんな会議じゃ?
「わしに案があるんじゃが」ドスの効いた低い声で蛇鰐美が吠える「半端じゃつまらねぇと思うんじゃわしは」ちなみに言っておこう、これは何処ぞの組の会議ではない、子供達の花見会議である。最近ヤクザ映画にハマってる蛇鰐美ちゃんなのであった。
「じゃ、私に良い案がある」舌を右周り三周させてから虎鮫代ちゃんは手を上げる。
「みんなで舌をペロペロさせて、桜を沢山舌でキャッチした人が優勝の花見なんてどう?優勝者には落ちてる桜をペロペロする権利が与えられる」「却下」きみ子即決である。それにしてもどんな権利じゃ、嬉しくもない。
サッ、次に手を上げたのは多網「変質者花見」ボソリ
変質者花見?なんかすっごい気になる名前
「どんな花見なの?」興味津々の大喜。
「その名の通り、変質者になりきって花見をする」


そう僕らは今近くの公園で花見をしている、どんな花見か?
わたくし真面目な冬馬はおでこに肉と書き、花見をしているのだ。そう最終的に多網の案が通った。
蛇鰐美ちゃんは任侠と言うはちまきを締め、背中には道で拾った木の棒を背負っている。
虎鮫代ちゃんは何故かひたすら舌を回転させている。
大喜は何故かズボンを後ろ前に履き、きみ子に関しては顔を真っ黒に塗っていた。圧巻なのはこの男、その名も多網。
彼はなぜか海パンいっちょで顔を七色に塗っていた。
文字通りの変質者花見開催中なのだ。
「なんか花見って良いね」ご満悦なきみちゃんは先程駄菓子屋で買ったゼリーをチュルチュル食べている。
「良いのぅ心があらわれるのぅ、刑期が軽くなった気がするのぅ」冗談に聞こえないから怖い蛇鰐美よ!
「今二百周め~ペロペロペロペロ~~」とにかく舌を回転させる。「はっは~お前は努力家だなぁ虎鮫代」(なんの努力じゃ)
その時だった、ハッ!!冬馬君は遠くから見ている三郎君の姿に気付いた。「おーい三郎君もこっち来なよ」三郎君は思う、なんで見つかってしまったんだ自分、たまたま公園を横切り異様な集団を見かけ立ち止まっていたのだ、まさか冬馬君だったとは。
任侠の存在(蛇鰐美)にビビって断れなかった三郎君は恐る恐る冬馬君達のもとに近づく。
「やあ、三郎君」三郎は思った冬馬君って結構やばい連中とつるんでる人だったのかな。
三郎君はなんとかこの場から逃げ出そうとした「あっ、僕これから」「ん?なんじゃこれ食べたいんか?」蛇鰐美ちゃんは何故か三郎君がチョコレートを食べたいと思ったらしく「エンリョするなまあ座れや」「はいっ」威圧感のある声にビビり、すぐに地面に座り込む。
ぼっ僕はとんでも無い所に来てしまったみたいだ、なんなんだこの人間達は?目の前には七色色に塗られた顔の男、右側には真っ黒な絵の具を塗りたくった顔の女、その横では何故か舌を回転させまくってる虎?か鮫?だか何だか分からない人間?あっ、良かったこの人はまともそうだ、大喜をチラッと見る。ハッ、この人ズボン逆さまに履いてる、あっ待てよ冬馬君は普通じゃないか、顔を見てビックリした、額に肉?なんじゃ~この一味は。
親に見られたら泣かれてしまう~~~。
帰らなきゃ「あっ冬馬君、僕そろそろ帰るよ」
「あっ、そうなの」すると「なんか用事あるのペロペロペロペロ~」ギョッなんだこの人、何故こんなに舌を回転させるんだ?
まさか、三郎君は思った、この人は能力者に違いない、きっと舌を回転させると相手の嘘を見抜けるんだ(どんな能力じゃ)
まっまずい、この人は僕を疑っているんだ(ただ質問しただけだった)もちろん三郎君にこの後の予定など無い、嘘をつくしかないのだ。ゴクリ「今日はこれから、えっとその」ペロペロペロペロ~~「何も無いです」三郎君は舌の回転にやられてしもうた。
こうして変質者花見大会は盛り上がっていく。
「ねえみんなせっかくの花見だし、一人ずつ一芸やらない」きみ子のその言葉に失禁しそうになる程驚いた三郎君、しくじりゃ任侠に殺される。
「じゃ、まず私から」きみ子は立ち上がり歌い出す、私はきゃり~きみきみ「パーティーモンスター、パーティーモンスター」
フアッションじゃなかったか?前の旅行の時も歌ってたなこれ、冬馬君が思い出す。
「いいぞ~きゃり~きみきみ、最高~」大盛り上がりである。
「次は私」すくっと立ち上がる虎鮫代ちゃん。
「ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ~」舌を高速回転、右に左に大忙し、遂には突き出たり引っ込んだり(阿呆!)これが私の大技、名付けてジーンシモンズ」ばぁ~~ん舌を鼻にくっつけた。
みんな大笑い、多網はお得意の多網ダンス、大喜はズボン逆さに履いちゃったと言って行ったり来たりする良く訳の分からないギャグ、冬馬君は額の肉と言う文字を動かす芸でなんとかきり抜けた。
あまりの緊張に三郎君は焦っていた、まずいみんなどんどん終えていく、しかもちゃんと笑わせてる。
バッ、突然蛇鰐美ちゃんが鉄砲玉の様に飛び出し叫んだ「おんどりゃ~~われ~~心臓つかんだろか~」凄まじい迫力の極道のものまね、落ちていた木の棒を振りかざしポーズまで決めていた。
「どや?わしが優勝じゃろ?」(一応おなごである)
不運にもそれを真ん前で見てしまった三郎君は失禁した。
ジョオオオオオオッ、それを見た蛇鰐美ちゃん「すっ凄い、芸の域を超えてる!!負けた」両腕を地面につき敗北のポーズ。
「悔しいけど君の優勝ペロペロ」
きみ子も「凄い爆発的芸術参ったわ」ジョロロロ~~
三郎君は口を開いたまま垂れ流し続けた、それはまるでおしっこ小僧の銅像の様であった。
その日の夜、冬馬家に泊まりに来たのは大喜。
多網達は明日忙しかった様で帰っていった。
多網達は中二になる、多網もだんだん大きくなって前の様に泊まりに来なくなるのかな?そんな不安もある。
その日の夜は久しぶりに冬馬君の部屋に布団が二つ、なんだか嬉しくなった。
夕食を済ませ布団に寝転んでいる二人
「あー明日で休み終わりかぁ~はやく夏休み来ないかなぁ、それにしても久しぶりにみんなに会えて良かった」冬馬君が言った。
「本当、花見も楽しかったね」
「最近は大喜は何してたの?」
「まあ友達と遊んだり、勉強したり冬馬は?」
久しぶりの夜の語り合いが何だか凄く嬉しかった、恋愛の話、最近あった面白い話などをして盛り上がる、ああなんかこの瞬間ホッとするんだよなぁ。なんだか落ち着く、一日にこんな時間が少しでもあるだけでだいぶ気分が喜ぶなぁ、そんな事を思った。毎日の夜がこんな風に過ごせたら良いな。
その日、二人は夜中までウトウトしながらも寝るのが勿体無いとずっと話ていた。
翌日大喜は、お昼過ぎに帰って行った。
昨日は沢山咲いていた桜もどんどん散ってしまっている。
桜の季節はあっと言う間に過ぎる
僕らもあっと言う間に大きくなっていくんだろうか?ふとそんな事を考え外を眺めていた。
季節は過ぎ去り、また新しい季節がやってくる。
大人になっていくんだなぁ。
変わり続ける事が名残惜しくも嬉しくもあったそんな時期だった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...