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空港でのトラブル
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朝の5時、既に冬馬君と大喜は目を覚ます。
「大喜起きてる?」
「うん、もう楽しみ過ぎて目が覚めちゃった」
今日の飛行機の出発時間は13時、多網達は冬馬家に九時くらいにくる予定である。
「はやく、多網達に会いたいね」
二人は布団の上で再び観光ブックを読んで楽しんでいる。
もう、とてもじゃないがワクワクし過ぎて、眠れなさそうだ。
七時を過ぎた頃、どうやら正子と隆が起き始めた様。
二人もリビングに降りていき、朝食を食べ始める。
「今日は絶対、朝ご飯は、ご飯にしてね~」
日本食が恋しくなるんじないかと心配した冬馬君の要望であった。
朝は鮭に味噌汁
「こりゃ最高だ~」
冬馬君と大喜は、服も着替え、準備も整え、みんなが来るのを今か、今かと待っている。
その時、車の音がした。
「絶対に来たよ」大喜が飛び跳ねる。
二人は急いで玄関に駆け出して行く。
その直後、ピ~ンポ~~ンッ
「来た~~~~~~っ」
ガチャ
玄関の外に立つのは、全身を黒一色で統一した男、多網。
横には真っ黄色のティ~シャツにジーパンのきみ子
「アロ~~ハ」(それはハワイの気がするが)
四人はニンマリと顔を見合わせた。
後ろから
「おはよ~ございます!!」
多網父こと、通称サーが顔を出す。
横には多網ママと妹の多美
多美は思う。
あたちいつも脇役ばっか、ぜって~あたち今回の旅では目立ちまくってやるわ。
こうして冬馬君達のバリ旅行が始まったのである。
冬馬君と大喜は、多網家の車に乗り込んでいく。
「出発~~」
こうして車は空港に向かい走り出す。
ブウウウ~~~ンンッ
「多網ときみ子は今日何時から起きてるの?」と冬馬君
きみ子が「私は七時に目が覚めちゃった」
すると多網がニヤリ「寝てない」
「え~~」
実は多網、布団で寝てるふりをして、ずっと起きていたらしい。
なんでも、飛行機の中でぐっすり眠る為だとか。
「やるね多網」
「寝たら、飛行機の中で眠れない」ニヤリ
見よ!この準備万端の男をと言わんばかりに奴はほくそ笑んだ。
十分後の車内、多網爆睡
こうして、空港に着くまで一度も起きる事なく、ぐっすり眠った多網を乗せた車は空港に到着した。
ちなみに今回の旅も飛行機は乗り換えとなる。
「フィリピンで飛行機乗り換えるみたいだよ」多網ママが言った。
その発言に、あっ、バリ行くのに飛行機乗るんだったと、大の飛行機嫌いの男サーは思ったそうな(阿呆か、気付け)
久しぶりの空港に子供達は大興奮
「うわぁ~スペイン旅行思い出すね』きみ子が言う。
「本当懐かしいね」
空港到着時、思ったよりはやく着いたので、チェックインまで時間があった。
しかし、この時、一同はまだ知らない、この後とんでもない事態に巻き込まれる事を。
「今日の夜中バリについて、まるまる4日間居れるよ」隆のその言葉に子供達は飛び跳ねる
「ヒャッハ~~~~」
ああ、この瞬間たまらない!!
最高~~最高~~っ。
時間もある事だし、皆は軽く軽食を摂る事にした。
その時、大喜が指差す「見てあれ」
それはプラネタリウムを見ながら、過ごせるカフェ
ビールの文字を見て隆とサーは頷いた。
「あそこにしよう」
「やったー」
暗い部屋に入ると、なんとそこは星一面輝いてるではないか。
ここで、飲んだり、食べたり出来るのかぁ~
「最高の旅の始まりだね」ニンマリ冬馬君
「サーさん、もう運転も無いし、早速旅の開始に一杯やりますか」
その言葉にサーのテンションも上がる「そうですね、是非」
こうして旅の出発前をプラネタリウムを見ながら過ごす事になる。
「また今回もカマーン正子とウェルカムウィメン出るかな~」
子供達は期待する。
正子と多網ママの泥酔し覚醒した後の姿を。
旅は順調かに思われていた。
プラネタリウムを見ながら優雅に軽食を食べ、最高のスタートを切っていたと思われた……それはこの後の出来事だった。
皆は搭乗チェックインを済ませに向かう。
その時の事だった。
「あのぅ、申し訳無いんですが……」荷物を預ける時の飛行機会社の受付の人の言葉
「飛行機、今遅れてしまっていて」
「そうなんですか、どれくらいですか?」余裕の表情で返事する隆
「一時間くらいなんです」
軽くほろ酔い、上機嫌、ゆとりのある男、隆は言った。
「あはは、一時間くらい待てますよ」
一同に衝撃が走るのは次のセリフであった。
「それが…………」
そのなんとも雲行きの怪しい顔に、皆は気付く。
なんだ?なにかおかしいぞと。
「なにか問題でも?」すぐに正子がきりかえす。
「本当に申し訳ないんですけど、実は皆様、フィリピンで乗り換えになってるじゃあないですか」
「はい、そうですが」
「飛行機がちょうど一時間遅れる事によって、もしかしたら乗り換えに、間に合わなくなるかも知れないんですよ」
なぬ~~~~~~
余裕とゆとりは消し飛んだ~~ 遠く空の彼方へ。
隆の顔はへのへのもへじになったった。
皆の表情も険しくなる
サーに関しては顎が外れかけたった。
どうなるんじゃ?
「どうなるんですか?」恐る恐る尋ねる多網ママ
「その場合、もうその日に飛行機が飛ばないので、翌日の夕方まで空港で待機って形になってしまいまして」
はぎゃああああああああああああああ~~~~~
へのへの隆からへの字までが消える。
サーの眼鏡が吹っ飛ぶ(何故じゃ?)
一同に戦慄と衝撃が走った。
「え、じゃあそのぶんのホテル代とかは、どうなるんですか?」
と正子
「航空会社としては、その様な弁償などはしていないんですよ」
女性は頭を下げた。
んなぬうううううううっぅ~~
隆はのっぺらぼうになり
サーは木っ端微塵に消し飛んだ(なるか)
でも、この人に怒っても仕方がない
隣のカウンターの客は怒鳴ってキレていた。
そんなぁぁバリ旅行の日程が~~。
仕方が無いので、とりあえず一同は空港で時間を潰すことに。
「こんなパターンがあったとは」少し落ち込む隆
「弁償とかしてくれないんですね」サーもテンパっている。
顔を真っ赤にする正子
「遅れるのが悪いんじゃない、なにも弁償ないって」怒る正子
「え~今日バリ行けないの」冬馬君、大喜、きみ子もご立腹モードに入リ始める。
その時だった
多網が「でも、フィリピンぶらぶら出来る~」
その言葉に大人達
ふぅ~~ 小さなため息をついた後
「まぁ、仕方ないね、怒っていても始まらない、もしかしたら飛行機乗り換え、間に合うかも知れないし、こうなったらどんな状況も乗り越えてみせる~~」
大人達は一致団結した。
「そうだね多網、そしたらフィリピン空港一日ぶらぶらしよう」
子供達も立ち上がる。
「ゆくぞーー」
こうして、トラブルに見舞われながらも旅は始まった。
「大喜起きてる?」
「うん、もう楽しみ過ぎて目が覚めちゃった」
今日の飛行機の出発時間は13時、多網達は冬馬家に九時くらいにくる予定である。
「はやく、多網達に会いたいね」
二人は布団の上で再び観光ブックを読んで楽しんでいる。
もう、とてもじゃないがワクワクし過ぎて、眠れなさそうだ。
七時を過ぎた頃、どうやら正子と隆が起き始めた様。
二人もリビングに降りていき、朝食を食べ始める。
「今日は絶対、朝ご飯は、ご飯にしてね~」
日本食が恋しくなるんじないかと心配した冬馬君の要望であった。
朝は鮭に味噌汁
「こりゃ最高だ~」
冬馬君と大喜は、服も着替え、準備も整え、みんなが来るのを今か、今かと待っている。
その時、車の音がした。
「絶対に来たよ」大喜が飛び跳ねる。
二人は急いで玄関に駆け出して行く。
その直後、ピ~ンポ~~ンッ
「来た~~~~~~っ」
ガチャ
玄関の外に立つのは、全身を黒一色で統一した男、多網。
横には真っ黄色のティ~シャツにジーパンのきみ子
「アロ~~ハ」(それはハワイの気がするが)
四人はニンマリと顔を見合わせた。
後ろから
「おはよ~ございます!!」
多網父こと、通称サーが顔を出す。
横には多網ママと妹の多美
多美は思う。
あたちいつも脇役ばっか、ぜって~あたち今回の旅では目立ちまくってやるわ。
こうして冬馬君達のバリ旅行が始まったのである。
冬馬君と大喜は、多網家の車に乗り込んでいく。
「出発~~」
こうして車は空港に向かい走り出す。
ブウウウ~~~ンンッ
「多網ときみ子は今日何時から起きてるの?」と冬馬君
きみ子が「私は七時に目が覚めちゃった」
すると多網がニヤリ「寝てない」
「え~~」
実は多網、布団で寝てるふりをして、ずっと起きていたらしい。
なんでも、飛行機の中でぐっすり眠る為だとか。
「やるね多網」
「寝たら、飛行機の中で眠れない」ニヤリ
見よ!この準備万端の男をと言わんばかりに奴はほくそ笑んだ。
十分後の車内、多網爆睡
こうして、空港に着くまで一度も起きる事なく、ぐっすり眠った多網を乗せた車は空港に到着した。
ちなみに今回の旅も飛行機は乗り換えとなる。
「フィリピンで飛行機乗り換えるみたいだよ」多網ママが言った。
その発言に、あっ、バリ行くのに飛行機乗るんだったと、大の飛行機嫌いの男サーは思ったそうな(阿呆か、気付け)
久しぶりの空港に子供達は大興奮
「うわぁ~スペイン旅行思い出すね』きみ子が言う。
「本当懐かしいね」
空港到着時、思ったよりはやく着いたので、チェックインまで時間があった。
しかし、この時、一同はまだ知らない、この後とんでもない事態に巻き込まれる事を。
「今日の夜中バリについて、まるまる4日間居れるよ」隆のその言葉に子供達は飛び跳ねる
「ヒャッハ~~~~」
ああ、この瞬間たまらない!!
最高~~最高~~っ。
時間もある事だし、皆は軽く軽食を摂る事にした。
その時、大喜が指差す「見てあれ」
それはプラネタリウムを見ながら、過ごせるカフェ
ビールの文字を見て隆とサーは頷いた。
「あそこにしよう」
「やったー」
暗い部屋に入ると、なんとそこは星一面輝いてるではないか。
ここで、飲んだり、食べたり出来るのかぁ~
「最高の旅の始まりだね」ニンマリ冬馬君
「サーさん、もう運転も無いし、早速旅の開始に一杯やりますか」
その言葉にサーのテンションも上がる「そうですね、是非」
こうして旅の出発前をプラネタリウムを見ながら過ごす事になる。
「また今回もカマーン正子とウェルカムウィメン出るかな~」
子供達は期待する。
正子と多網ママの泥酔し覚醒した後の姿を。
旅は順調かに思われていた。
プラネタリウムを見ながら優雅に軽食を食べ、最高のスタートを切っていたと思われた……それはこの後の出来事だった。
皆は搭乗チェックインを済ませに向かう。
その時の事だった。
「あのぅ、申し訳無いんですが……」荷物を預ける時の飛行機会社の受付の人の言葉
「飛行機、今遅れてしまっていて」
「そうなんですか、どれくらいですか?」余裕の表情で返事する隆
「一時間くらいなんです」
軽くほろ酔い、上機嫌、ゆとりのある男、隆は言った。
「あはは、一時間くらい待てますよ」
一同に衝撃が走るのは次のセリフであった。
「それが…………」
そのなんとも雲行きの怪しい顔に、皆は気付く。
なんだ?なにかおかしいぞと。
「なにか問題でも?」すぐに正子がきりかえす。
「本当に申し訳ないんですけど、実は皆様、フィリピンで乗り換えになってるじゃあないですか」
「はい、そうですが」
「飛行機がちょうど一時間遅れる事によって、もしかしたら乗り換えに、間に合わなくなるかも知れないんですよ」
なぬ~~~~~~
余裕とゆとりは消し飛んだ~~ 遠く空の彼方へ。
隆の顔はへのへのもへじになったった。
皆の表情も険しくなる
サーに関しては顎が外れかけたった。
どうなるんじゃ?
「どうなるんですか?」恐る恐る尋ねる多網ママ
「その場合、もうその日に飛行機が飛ばないので、翌日の夕方まで空港で待機って形になってしまいまして」
はぎゃああああああああああああああ~~~~~
へのへの隆からへの字までが消える。
サーの眼鏡が吹っ飛ぶ(何故じゃ?)
一同に戦慄と衝撃が走った。
「え、じゃあそのぶんのホテル代とかは、どうなるんですか?」
と正子
「航空会社としては、その様な弁償などはしていないんですよ」
女性は頭を下げた。
んなぬうううううううっぅ~~
隆はのっぺらぼうになり
サーは木っ端微塵に消し飛んだ(なるか)
でも、この人に怒っても仕方がない
隣のカウンターの客は怒鳴ってキレていた。
そんなぁぁバリ旅行の日程が~~。
仕方が無いので、とりあえず一同は空港で時間を潰すことに。
「こんなパターンがあったとは」少し落ち込む隆
「弁償とかしてくれないんですね」サーもテンパっている。
顔を真っ赤にする正子
「遅れるのが悪いんじゃない、なにも弁償ないって」怒る正子
「え~今日バリ行けないの」冬馬君、大喜、きみ子もご立腹モードに入リ始める。
その時だった
多網が「でも、フィリピンぶらぶら出来る~」
その言葉に大人達
ふぅ~~ 小さなため息をついた後
「まぁ、仕方ないね、怒っていても始まらない、もしかしたら飛行機乗り換え、間に合うかも知れないし、こうなったらどんな状況も乗り越えてみせる~~」
大人達は一致団結した。
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