冬馬君の春と夏

だかずお

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プールサイドでのんびりと

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翌朝
そこでの朝は聞いたことの無い鳥達の鳴き声で始まりを告げる。
美しく、心地良い音色に耳を澄ませながら、冬馬君は目を覚ました。

「本当ここはジャングルの中にでも居るみたい」

ホテルの周りは木々で囲まれていて喧騒からも離れている。
日本の日常生活も忘れ、現実の悩みも届かなくなる、そんな格別な空間に浸っているような心地良さ。
海外旅行は時に、決まりきった日常から自身を解き放ち、異国からの見方や刺激を取り入れる事により、自らの性格や考え方も変えてしまう、そんな不思議な力を持つ様な気がする。
それにしても鳥達の鳴き声で目を覚ます事が、こんなにも気持ちの良い目覚め方だったとは。

部屋を見渡すと、なんと多網がベランダに出て一人黄昏ているではないか。

「多網もう起きてたの?」

コーヒーを飲みながらグラサンまでつけているではないか、何故グラサン?こやつまさか誰かにこの光景を見せる為に、ずっとここで、その姿で待っていたのか?
ちなみに何故か頭に白いタオルをハチマキの様にしてくっつけている。
多網はニヤリとほくそ笑む

「良い」

時刻はまだ七時を過ぎた頃、学校の時はあれだけ起きるのが嫌で起きれないのに、こういう所だと自ら早く起きれてしまう。
その後きみ子も起きて来て
「みんなホテルのプールサイド散歩しようよ」

「賛成~~」

大喜は眠いのか、起こしてもまだ全然起きない。

するとサーも起きて来て
「僕も行くよ」

四人はホテルのプールサイドを朝の散歩に出掛ける事に。

「あ~あ、なんだかあっと言う間だなぁ、もぅ半分は過ぎたのかぁ~」冬馬君が言う。

きみ子もそれに同調「あ~行きの空港とかに居た頃がなんか懐かしいなぁ、あの時に時間戻してくんないかなぁ」

サーも思う、帰りたくない、ああ…旅の終わりに近づくとなんだか寂しいやうな切ないやうな、そんなむず痒い気持ちになる。
あ~仕事行きたくねぇ~(サーの心の中)
なんだか日常のルーティン生活に戻るのが嫌な気持ちもあった。

「でも、まだ今日も、明日もある」前向きな男、多網

「そうだよね、2日間楽しまなきゃ、え~い 今でしょ!!」

ホテルの敷地内はかなり広く、歩いていても飽きずに楽しい。
歩きながらサーやきみ子は、スマートフォンで沢山の動画を撮っている。
「後で大喜に動画みせてあげよう」と冬馬君

ちなみに余談だが、この旅行が始まってからきみ子は色々な所で動画や写真を撮影している。
気が付けば四人はホテルの目の前の海の所まで歩いて来ていた。

ザブウゥ~~ン

「朝の海最高~~しかもバリ島で見てる海」涙ぐむサー

「大喜も起きれば良かったのに」と子供達

現地の人は既に屋台で料理の準備をしたり、道端で座って話をしていたりなんだか日本の人とは違う生活感を感じだ。
サーは思う。
やっぱ海外って働き方も日本人とは違うよなぁ、もっと気楽って言うか、日本みたいにきっちりしてないって言うか
いつも緊張、上司に怒られないように気遣うばかりのサーはなんだか羨ましくも思った。
お客さんが目の前で並んでいてもお客優先じゃなくて、仲間とくっちゃべってるのが優先な店員さんとか日本じゃ絶対に怒られるもんなぁ。
どっちが良いとかって訳じゃないけど、価値感のちがいかねぇ。
お客様は神様ですって、対応してる仕事の人だって神様じゃないか、金払う方だけが偉いんじゃないんだぞ~ サーは一人、いきり立っていた(笑)

ザブぅ~~~ん そんな心を洗い流すかの様に、静かに力強い波が押しては寄せを、繰り返す。

「やっぱ海は良いねぇ」
みんなはしばし海を食い入るよう、ぼんやりと眺めていた。

プリッ(多網の屁)
けたたましい見事な芸術サウンドが、全てを引き裂いたそうな

部屋に戻ると大喜が「みんな何処行ってたの?」

「散歩だよ、大喜全然起こしても起きなかったよ」

「全然起きれなかった」

「大丈夫、動画撮ったから後で見よう」

一同は再びホテルの朝食のバイキングに出陣
相変わらず朝から食う食う食べるべる、多網ときみ子
朝から取り放題~食べ放題~。

部屋に戻り
「今日はどうしましょうか?」と隆が言った。

大人達はプランを考える為、観光ブック、スマートフォンをいじりだす。
「ここはどうでしょう?」多網ママがスマートフォンを皆に見せる

「ウルワツ寺院、夕方にケチャックダンスが見れる」

「ケチャックダンス?あの裸でケチャケチャ叫びながら踊るバリの伝統音楽のあれか」観光ブックを読んで知っていた隆

「よし、これだ」

プランは決まった。
「でもこの場所、行き帰りタクシー無いと厳しいみたいですよ」

「それなら昨日のテセンさんにツアー頼むのはどう?」正子が言う

「賛成~~」

こうして昨日知り合ったテセンさんに連絡
夕方のケチャックダンスに合わせて寺院に向かう事に決定。
その時間に間に合う様に、テセンさんがホテルに迎えに来てくれるとの事。

それまで一同はホテルのプールに浸る事に
「しゃ~行くじょ~~」

空は青空
のんびりとホテルで、ゆっくりくつろぐ時間もまた格別な一時。
時間が止まったように日常の喧騒はどこへやら、そんな時に埋没する。
プールサイドでグラサンをかけた男がほくそ笑んでいる
その名も隆と、まさたか、通称サーである。

「ああ、最高ですねサーさん」

「そうですね、日本の生活を忘れて、浸ってますよ」
サーは思う、今頃スーはどうしてるだろうか?
新しい仕事に慣れたんだろうか?

その頃日本のスーはと言うと。
はひゅ、はにゅ~年下の社員に怒られない様に毎瞬緊張の糸が張り詰めていたそうな
今頃サー達はバリ島かぁ、良いなぁ、みんな楽しんでるだろうなぁ。
そんな事を思い、彼等の気持ちを想像しては気分が良くなった。

「とけたみさん、もうちょっとテキパキして下さい」

「はっ、はいっ、すっ すいません スーーーっ」

舞台はバリに戻る

冬馬君達はプールで大はしゃぎ

「くらえ~きみ子ボム」きみ子はぶっこいた~~
毎度の事だが一応おなごである。

「多網 レインボーボム」

ブフオオン~

「逃げろ~」急いで二人から離れる冬馬君と大喜。

いつまでもこの時間が続いて欲しい
そんな事をふと思う冬馬君、空には青空が浮かんでいた。

そんな中、怒れる女がプールサイドサイドに一人
そう、ここまでまったく見せ場のないオナゴ、多美である。

「あたちを出演させてる意味がないだろ、何考えてんだこの作者はよ~、もっとあたちをイクラ様の様に目立たせんか、ちゃ~んとか発言させたり、イクラ様が歩いた時に鳴る、あの奇妙な音を鳴らさせたりせんか馬鹿者め!」多美の心の中

その時、多美は閃いた、何かが脳細胞を貫き、彼女に一筋の可能性を見いたださせる
ズキューン
こっ、これだっ!!
そう、それはイクラ様にも負けじとも劣らないシャウト!!
イクラ様がちゃ~んならあたちは

「モヒーーーーーーーーーーーーーーーーート」(何故だ)

どうだ!!これならみんなあたちを無視出来ないだろう。
すぐに多美の声に気付く多網ママ

そうだっ、ママ驚け、そしてあたちをこの家族の主役にせよ!!(どんな願いじゃ)

「ああ、はいはいお水ね」

水じゃねーんだよママ、あたちはモヒートって言ったの~びっくりでしょ?たかだか二歳児がモヒートよ!あり得ないっしょママ~(この思考のがあり得んと思うが)

ちなみに普通にはこう聞こえている
「かわがひたりたらわかんわならたやりはわさわなはらま」
ある意味凄い事を喋ってるが。

ちーーん ザッツ オール!!

そして夕方にはホテルのロビーに支度をして集まる一同
そこにテセンさんが。

「じゃあみなさん、ウルワツに出発しましょ~車に乗って下さい」

「は~い」

こうして一同はウルワツ寺院へと出発する。
冬馬家バリ旅行はまだ続く~
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