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『冬休みの思い出を振り返る冬馬君』
しおりを挟むあの楽しかった、婆ちゃん家の旅行から、慌ただしい毎日をおくっている。
脇に置かれ、何処かぼんやりとしていた日常が、色濃く、ありありとした現実として戻って来ていた。
今は、あの旅行から、二週間が過ぎた頃
やはり授業中、毎度の習慣抜けきらず、教科書や地図帳などを見ては、旅行で行った婆ちゃん家辺りを確認し、あの冬休みを懐かしんでいた。
特に、行った場所の観光スポットの写真などが載っているとテンションは上がり、あの旅の事が写真を眺める様に頭に浮かんでくる。
みんな今頃どうしてるかな?
あれ以来誰とも会ってない。
今日はやけにあの旅を思い出す。
あーみんなに会いたいなぁ。
そして、ああ、旅行楽しかったなあ。
この一言に、旅の全ての感想が表されていた。
旅から戻るも、足元ここにあらず、心は何処かふわふわ、あの旅を行ったり来たり、何処にもない場所を、浮かんでいる様な気がした。
たまにシーンと静まり返った授業時、旅の面白かった思い出を思い出しては、ふきだしそうになる。
休み時間、図書館で本を見ていた。
静岡の観光スポットや公園の本
自分達の行った場所を見つけ、またも興奮する。
あー、この場所みんなで行った、あー楽しかったなあ。
そんな写真やら、本を見ていると、思い出は蘇り、何度も何度も大好物の食べ物を味わって咀嚼する様に頭の中を巡り出す。
あの旅の思い出を一緒に味わった者が、学校に居ないのが少し寂しい、ただ、親友の慎司には旅の思い出を詳細、細かに話たりなどした。
あの思い出を共有出来るのが、なんだか嬉しかった。
うん、まだ旅の夢うつつである。
爺ちゃん、婆ちゃん元気かな?
大喜や多網、きみ子元気かな?
本当に面白かったナァ
冬馬君は、そんな毎日をおくっていた。
授業も聞かず、みんなで寝ないで過ごした、布団での、夜中の語り合いなどを思い浮かべては、ワクワクしている
ああやっぱりあの旅は最高だった。
学校が終わり
家に帰る瞬間、この瞬間はたまらない。
何かから解放されて、心はずむ気がする。
「ただいまー」
「お帰りなさい、ちゃんと手洗いなさいよ」
「はいはい」
部屋に入り 横に寝転んだ。
「あーこの瞬間もまた最高だ」
台所からお菓子を持って来て、ぽりぽり食べながら漫画を読む、大好きな至福の時である。
「あーはやく、また長期休み来ないかな」
明日から、もしみんなで旅行行けたら飛び跳ねて喜ぶんだけどなぁ、そんなことを考えながら、漫画を読んでいた。
一日はあっという間に感じた。
家に帰り 気づいたら、外はオレンジ色の夕焼けに染まり、また黒いカーテンを閉めた様な夜がやってくる、そんな日々の繰り返し。
こうしてあっという間に大人になっているのだろうか?
隆が家に帰って来る「ただいまー」
隆は冷蔵庫からビールを取り出し
「あーこの瞬間がたまらない」とぐびぐび飲み始める。
冬馬家の夕食時
正子が「そう言えば今日、婆ちゃん達から電話あったよ」
「えっ?」
正子は携帯を取り出し「電話する?」
ああ電話、なんて便利なんだ。
この手があったか、遠く婆ちゃん達と今すぐ話せるんだ。
まるで、テレパシーの様に時間や距離を超え、今に皆が繋がってる事を思い出させてくれる。
「うん電話する」
「もしもし」
「もしもし、冬馬か?」喜ぶ婆ちゃんの声
しばらく返事がないから、冬馬君は思ふ。入れ歯落ちたな。
「すまん、歯がのう落ちた」
やっぱり
変わらずの婆ちゃんにホッとし安堵する。
「元気でやってるか?会いたいのう」
「元気だよ そっちは?」
「元気じゃよ、またみんなで泊りにきんしゃいよ」
「うん」
「おっ爺ちゃん来たから、かわるよ」
「もしもし」嬉しそうな爺ちゃんの声
「元気か?」
「うん、そっちは?」
「元気だよ」
「今何してたの?」
「リビングで婆さんと夕食だよ、みんな帰ってから家の中が静かだよ」
冬馬君は懐かしのリビングを、頭の中で思い浮かべ、なんだか嬉しくなった。
はっきりとリビングの光景が目に浮かぶ、 寅さんでも観てたのかなぁ?
「そういえば、あの雪だるまは?」
「さすがに、もうなくなったなぁ」
「あのビデオ屋さんには行った?」
「あれから、行ってないなあ」
何だか久しぶりの向こうの場所が気になったりした。
「あれ以来、みんなには会ってないみたいじゃな?」
「うん、みんなにも会いたいなぁ」
「また遊びにおいで」
「うん、ありがとう」
そんな流れで 電話を正子に渡した。
久しぶりの二人の声、何だか一緒に居たようで旅行の頃に戻ったような気がして嬉しかった。
「じゃ、また はい 」正子が電話をきる。
「二人とも喜んでたよ」
「婆ちゃん入れ歯さっそく落としたよ」
パックマンのテーマソングを頭に流した隆は気兼ねなく笑う。
その日の夕食時は久しぶりの旅の思い出話の花が咲く、リビングに思い出と言う、色とりどりの綺麗な花が次々と咲いていく。
「しかし、きみちゃんは本当 強烈なインパクトを持つ子ね」
隆は顔を真っ赤にしてまたも気兼ねなく笑った。
「あの屁には正直驚いた」
「でも良い子ね」
実はきみ子のうちからお礼で色々フルーツやら食べ物をもらった冬馬家
「また、きみ子も旅行誘いたいな」
「うん、そうね楽しかったね」
親達もきみ子が気に入ったようだった。
「多網ときみちゃんが揃うとインパクトすごいわ」と正子
「しかし、カマーんも凄かったけどね」と冬馬君
顔を真っ赤にした正子
三人は笑いあった。
こんな当たり前の時間に幸せを感じた。
日常、もちろん、これも捨てがたい、有り難い日々の一つだ。
夕食後
お風呂に入る冬馬君
大喜や多網達と一緒に入ってた頃もまた懐かしく感じる。
「冬休みは、みんなで毎日一緒に入ったなぁ」
この時期のお風呂は暖まり気持ちがいい。
一日が本当にあっという間に感じる
お風呂からあがり、気づけばもう寝る時間だ。
朝が来たと思えばもう夜になる。
「ああ、明日学校やだなあ~」
「なに言ってるの、はやく寝なさい」
「はい はい」
寝る瞬間は良いのだけども、起きる時がなんとも嫌な冬馬君。特に学校の日は。
学校大好きな子も居る、嫌いな子も居る、どっちもその子の大事な気持ちであり、感じ方。
どちらが正しいも悪いも無いと思う、今、感じてる気持ちを尊重出来たらとふと思う。
「また、次の休みも素敵な思い出、出来るかな?」
「明日も頑張るか」
布団に入り、冬馬君は他に誰も居ない部屋で、一人呟く
「ねえ、みんなまだ寝ないで夜中の語り合いしよう」と横を見る
大喜や多網、きみ子の姿を思い浮かべ
もし、みんなで一緒に住んでたらどんな毎日になるかな?
今週末何する?
ひとり声に出す、気分は夜中の語り合い
ひょっとしたら、多網のブリッって音が聞こえてくるんじゃないか?それにきみ子が便乗してブリブリ始まる。
そして大喜が笑う
そんなことを考えながら冬馬君は微笑んだ。
ああ、あの和室の部屋が恋しい、本当にリラックスしてた時。
誰にも気なんて遣わないで過ごしてたんだなぁ。
毎日夜がワクワクだった。
あーあの怖い話、ゴリラのビデオ、みんなの恋話、楽しかったなあ。
そんなことを考えていると自然とウキウキしてきてしまう。
旅行の思い出に浸っていたそんな一日
さてと寝なきゃ
ふと見上げる部屋の天井は、見慣れたお家の天井だった。
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