冬馬君の秋と冬

だかずお

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『恥ずかしい冬馬君』

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グガガガガア、サーのいびきで目を覚ます冬馬君。
んっ、今何時?
朝の10時だった。
しっかし、昨日は面白い一日だったな、山道で車は止まるし、サーは何故か一緒に寝てるし、思い返してはにやけてしまう。
まだ、大喜も、多網も、きみ子も寝ている。
ああ、みんな一緒はやっぱり良い。
みんなが一つの部屋で寝ている風景に、冬馬君はホンワカニンマリ微笑んだ。
一人下の階に行き、テレビを観させてもらう事に。
なんだか目が覚めてしまった。
テレビをつけると、何とっ 冬馬君の大好きなアニメ番組がやっているではないか。
冬馬君はテレビに釘付け、あっと言う間に30分たってしまう。
「あーやっぱり、あの主人公はかっくいいなぁー」
テンションは上がりっぱなしである。
冬馬君は思う、僕もあんな男らしいキャラになりたいなぁ。
チラッとテレビの近くにある鏡の前に立った。
ニヤリ、冬馬君は鏡の前で、憧れのアニメの主人公になりきる。
「よっ、みんな俺について来な、シャッ シュッ」
効果音は口でやっている。
そして、ここで片腕を天にかざし、反対の手は人差し指を出し、前に出す、そしてここで決めゼリフ。

「俺が最高、ベイビィ」
決まった、カックイイ、冬馬君は自分に惚れ込んでいる ハッ
何と鏡の自分の映る背後にサーが立っていた。

しっ、しまったああああああああああああああっ
はっ、恥ずかしいいいいいいいいいいいいっ。
みっ、見られたああああああああああっ

サーは思ふ、どうしよう?見てなかったフリをした方がいいのか?それとも何か言えばいいのか?
何故か、二人は鏡越しに目を合わせ硬直状態。
冬馬君の身体はまだ決めポーズのままである。
いっ、いけないっ、身体を戻すタイミングが掴めない
っっ。
サーはサーで、まっまずい、これで見てなかったっておかしすぎる、二人は鏡越しに目を合わせている。

サーは決めた、そうだ寝ぼけて見てないふりだ。
チラッ だが冬馬君の決めポーズを見て、更には先ほどの決めゼリフまで聞いてしまったサー、目の前にはあまりの恥ずかしさに、身体すら動かせない、さながら死後硬直してしまったかの様な冬馬君がいる。

オーーーーーーのーーーーーー

笑いがこみ上げてきてしまった。
まっまて、こらえるんだ自分、笑ってはいけない。
無邪気な子供心を傷つけてはいけない。
冬馬君の表情は気まずさのあまり、ヒクヒクしていた。
冬馬君いけない、はやく身体を動かすんだ。
この状況、このサーにも、これ以上耐えられそうにない、サーの顔はみるみる赤く変わり始める。
このままじゃあああっ、笑いと言う炎で噴火してしまうっ。

サーは一瞬確認する、この九死に一生的な状況、この場所は確か、平凡な日曜、朝の我が家だよなぁ。
いっ、いかんどうでもいい、サーの頭にさっきの決めゼリフが舞い戻って来た。 

ヒューーーンッ ドシューーンッ

「俺が最高ベイビィ」

「俺が最高ベイビィ」

「俺が最高ベイビィ」

冬馬君が一人こんなことを言っていた。
どっ、どうして自分、後五分、時間をずらさなかったのやあああああああっ。

その時だった、冬馬君は頑張った、全力で、小刻みに震える、小さな身体を動かしたのだ。

ビクンッ

だが、おおっ、何と言うことだろう

何とっ、あまりの緊張、死後硬直の為なのか?

何と、先ほどとは、逆の手があがり、逆の手が人差し指を出し、前に突き出してしまった。
ぬおっ、左右対称になった。

ギョッ

二人は文字通り 

ギョッとした。

肝を冷やした。

なっ、何だ冬馬君、ぼっ、僕サーを笑かしたいのかい、そっ、そうか笑えば良いんだな。

いっ、いくよ いくよおおおっ

チラッ サーは冬馬君の顔を見てしまった。
何と冬馬君の表情は、あまりの恥ずかしさにより、真っ赤になり、ヒクヒクしていたのだ。

ぬおおおおおおおおおおおっ

サーは笑いを止めた、この冬馬君の表情は、僕が仕事場で会議の時、あまりの緊張の為、屁が出てしまい プリッ 
皆聞いていたであろう、その音に誰一人も突っ込まず
会議が続いたあの状況の僕の表情だああああああっ。
何と言って、彼のこの状態をほぐしてあげればっ。

鏡越しに二人の視線は見つめあったまま

時は流るる

その時、サーに希望が見える、そっ、そうだ、僕も同じ格好してあげればいいんだ。
優しいサー、気遣いの男サーである。

いっ、行くよ 冬馬君。今そちら側に僕もゆくよおおおっ

が、その時 プシューーーーーーーーーー

普段こきたくても、こけないはずの冬馬君が、あまりに緊迫したこの状況にこいてしまう。

もう一度 ブリッ

今度はしっかり、図太く また濃厚にでちゃった。

サーの顔はひきっった、しっしまったああああああああっ。顔はみるみる噴火の一途をたどる。
だっ、だめだ、今が一番笑ってはいけない時

ぐぎぎぎぎきぎぎぎきぎぎぎきぎぎぎきっ

こんな時にあの、名ゼリフが復帰

「俺が最高ベイビィ」

そして、そんなセリフをはいた男が、こいてしまった。
しかも、ポーズを決めたままに。

もう一度言うが、鏡越しに、二人の目は合っている。

ぐはっ、サーはここに来てぐらつく ぐふっ

がっ、頑張るんだ自分 ここで諦めたら試合終了だろ?

サーは、ぎこちなくロボットの様に動き、冬馬君の真似を必死にしようとした。

ポーズを真似し、後は、あの名ゼリフを言えばいい

鏡越しに目を合わさったまま、今や二人は同じポーズを決めている。
この光景を、そのアニメの作者が見たら、さぞや嬉しいことだろう。

サーは頑張って口にする、笑わない様に、顔は真っ赤小刻みに震えている

「月に変わって、おしおきよ」

ハッ サーはハッとした。
ハッ サー ハッ ハッ サー

間違えちゃった、自分が隠して、好きだったアニメのセリフ言ってもうた。
かああああああああっ、恥ずかしいいいいっ。

二人は目を合わせ、同じポーズ 鏡の前に立っている


プシューーーーーーーーーーーー

二人の小さな、タイニィなケツの穴からは、再びガスがもれた。


プシューーーーーー


二人は生きる天然記念物へと、昇格
もしかしたら、この銅像はそのうち観光地化されるかもしれない。


プシューーーーーーーーーー

恥ずかしそうにサーが
「あっ、俺は最高だ」


かはっ

ベイビィ


その沈痛な囁きは、小さく 部屋をこだました。


冬馬君はそれを聴き、こう思ったと言われている


あっ、セリフまで聴かれてしまったんだなあっ と。



ハッ


二人は背後に視線を


プシューーーーーーーー 
二人の観光名所の瞳は鏡の中、同時にキョロリと動いたそうな。


なんとっ、この姿を見られたあああああああっ


しっ、しまったああああああああああっ


そこに立つのは、きみ子


彼女は、ブッこき ブリブリぶり 



そして、 言った



「頭大丈夫?」




チーーーーーーーーンッ



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