冬馬君の秋と冬

だかずお

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『ショック蛇鰐美』

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絶対に怖がらんぞおー、心の中叫ぶ蛇鰐美ちゃん。

その時だった、まさかの蛇鰐美ちゃんのアイフォンが鳴る。
それは虎鮫代ちゃんからのメールであった。

「えっ?」その衝撃のメールに思わず声をあげてしまった蛇鰐美ちゃん。

「うそだ・・・・・・」

みんなは蛇鰐美ちゃんの様子が尋常でない事に気付く。
「どうしたの蛇鰐美ちゃん?」きみ子が話かけた。

ポタッ ポタッ

「なんでもないばい」布団にもぐった蛇鰐美ちゃん。

みんなは思った。
今蛇鰐美ちゃん泣いてた。
なにかがあったんだ。
蛇鰐美ちゃんの様子を見て心配する子供たち。
一体何が?
冬馬君と大喜は推測する、まさか好物のラーメン屋が潰れたとかじゃないよなぁ?

すると、きみ子にもメールが。
思わずきみ子が口にした「そんな・・・」

きみ子は立ち上がり、蛇鰐美ちゃんの背中をさすっている。
布団は小刻みに震え、泣いているのは確実だった。
その尋常じゃない様子に心配になる冬馬君、大喜、多網。
「どうしたの?」話かけようとするみんなを、きみ子が手を前に出し止めた。
なにかがあったんだ。
今はそっとしておいてって事だよな。
もう一度言おう、好物のラーメン屋が潰れたんではあるまいか?

何も出来る事のないまま、ただジッと見ていることしか出来なかった。

「きみ子、すまんのぅ。こんな情けないところを、うっ、うっ」

「でも、もしかしたらまだ」きみ子が言う。

なんだ?多網は興味津々に目をカッ開いていた。

「さっきのメールでまさか自分がこんな風になるとは思わなかった」

「うっ、うっ、きみ子。辛いもんよのぅ」

「大丈夫だよ、蛇鰐美ちゃん」

冬馬君と大喜も気になりまくっていた。
なんだ?一体何があったと言うんだ?

まさかラーメン屋じゃなく、ピザ屋か?
いや、蕎麦屋って手もあるぞ。
それか虎鮫代ちゃんのペロペロ攻撃をくらったとか?

「きみ子あたいなぁ、本気やったんやな」

「うん」頷くきみ子

「本当に本気やったんや」

「産まれて初めてやった」

「うん」

グスッ

「あー辛いのぅ、悲しいのぅ、寂しいのぅ」

「少し布団で一人にさせてもらうで、みんなすまなかったのぅ、あたしに構わず好きなだけ怖い話しててくれ」

一応、何も話さず蛇鰐美ちゃんの様子を見てるだけだと蛇鰐美ちゃんも気まずいだろうし、皆は蛇鰐美ちゃんを気にしてない素ぶりで怖い話を始めた。

「その校舎の中で、そしたら」
皆の頭にまったく話が入ってこない。
気になるのは蛇鰐美ちゃんはどうした?と言うことと、時折聞こえる「うっ、うっ」と言う鳴き声である。

みんなは怖い話を続けた。

「そしたら、その時だった」

「うっ うっ ううう」(泣き声)

これはこれで怖ろしい効果音と化す。

「うゔうゔうゔうゔうゔうゔうゔうゔっ」
怪談がリアルさ激しさ臨場感を増す。

心配する きみ子が「蛇鰐美ちゃん、良かったらみんなで話た方が気が楽になるんじゃない?」

「僕らで良ければなんでも聞くよ」と、冬馬君

「遠慮しないで言ってよ」大喜が続く。

「泣く子も黙る鬼」訳の分からない事を多網が言ってる。
プリッ「みんな友達、力になる」最後に良いことを言った。

「うゔうゔうゔうおおおんっ」
「みんな良い奴や~~ありがとうありがとなぁ」

「あたいなぁ、フラれてもうた」

「えっ?」驚く一同。

「恐男に彼女がいたらしいんじゃ、あたいは馬鹿よのぅ、一人、恐男に好かれとると勘違いしていたんじゃ」

場が一瞬静かになる。

「でっ、でも彼女がいるってのは本当なの?」大喜が言う。

「間違うない、虎鮫代が会ったらしい、二人が手を繋ぎデートしてる所を、そんで虎鮫代があたいの気持ちを知ってたから聞いてくれたんじゃ、二人は付き合ってるの?と」

「そしたら、恐男は嬉しそうに頷いたらしい」

「この蛇鰐美が失恋した」

「笑え、笑え ガハハハは」
部屋は静まりかえる、すると。

「笑わないよ、そんなの馬鹿にすることじゃないよ」
熱くなる冬馬君。

「本当に好きだったんだ、フラれたって立派な恋をしたんだ」

「熱いのぅ、冬馬」ポロッ

「ふぅー産まれて初めてこんな気持ちになった、胸がときめいたんじゃ、こんなに人を好きになるなんて知らなかった、恐男の事ならなんでも知りとうなった」

自分の清香の気持ちとかぶる冬馬君。
僕も、もし清香にフラれたら、きっと泣くだろう。

「もぅ、駄目なんじゃな、あたいの恋は終わったんじゃ、切ないのぅ、こんな気持ち、もう恐男とデートする夢は叶わんのじゃのう、共に神経衰弱やる事も(やりたかったんかい)うっ うっ」

みんなは涙の止まらぬ蛇鰐美ちゃんを優しく励ました。
「恐男だけが男じゃないよ、蛇鰐美ちゃん」きみ子が言った。

「そうじゃのう、そうじゃのう、またこんなに人を好きになれる事があれば良いのぅ」

「どうしてじゃけぇ、恐男とのいろんな思い出ばかり浮かんでくるけぇ(ちなみに本当このタイミングでどうでもいいが、蛇鰐美ちゃんの両親は二人とも関東の人である)」

蛇鰐美ちゃんはこんなことを口走った。
「恋は盲目やのぅ」(良く分からなかった)

「そっか、恐男に彼女いたのか」
そう言った、蛇鰐美ちゃんの瞳はどこか哀しげだった。

「惚れたもん負けやのぅ、あたいも馬鹿や。恐男があたいのこと好いとるなんて、さっきあんな話して洞窟があったら入りたいで」(正しくは、穴だったと思ったが)

冬馬君も思う、僕が清香に恋い焦がれてる気持ち、きっと清香は知らないだろう。
僕はこんなに好きだけど、向こうは多分ただの友達と思っているだろう。
切なく、ちょこっと苦しい様なそんな気持ちもする。
だけど、やっぱり人を好きになり愛する気持ちはとっても美しく素晴らしい。
蛇鰐美ちゃんの恋も、みのって欲しかった。
そんなことを思っていた。
きっと蛇鰐美ちゃんは今、恐男さんのことで頭がいっぱいだろう。

淡く苦くてほんのり酸っぱい初恋の香り

「でもな、あたいの胸にこんなときめきを与えてくれた恐男に感謝しとるで」

「そうだね、恐男とは友達でいれるんだから、そっと見守ってあげよう」きみ子が言った。

「ふぅー良いのう、恐男の彼女は羨ましいのぅ、素直に羨ましいのぅ」ここで一旦、蛇鰐美バースト中(バーストについて知りたい方は前回の話にて)

なんだか無償に清香に会いたくなる冬馬君。
いまだに写真を見るたびに胸がどきどきしてしまうほど恋している。
もし僕も、清香が誰かとデートしてるところを見たら、いや、考えたくない。
でも、もしかしたらいつかは。
冬馬君は自分の気持ちを清香に伝えた方がいいのかを考えたりした。
でも、いつかは。

その夜はそんな流れで怪談話はしなかった。

まん丸お月様が綺麗に浮かぶ、ロマンティックなような、切ないようなそんな夜

皆が寝静まった頃、冬馬君はパチリと目を開ける。

窓際に座り月を見上げる、蛇鰐美ちゃんがそこにいた。

冬馬君は思った、色々考えているのかな?恐男さんのこと。

すると蛇鰐美ちゃんが冬馬君に気づく。

「起きとったか」

「うっ、うん、今目が覚めちゃった」

「恐男さんのこと考えてたの?」

「そうじゃのう、めそめそ考えとった」
微笑む蛇鰐美ちゃん。

そんな月夜に照らされた蛇鰐美ちゃんの表情はどことなく蛇と鰐だった。(こんな時くらい、可愛いかったとか美しく艶があったとか言えや(蛇鰐美より)

「いつまでも落ちこんでたってしょーがない。もっと素敵な恋をしよるけぇーのう」

「うん」冬馬君は力強く頷いた。

恐男と出会った時の空気の香り忘れられん。
ときめいたあの瞬間、忘れられん。
たくさん恐男と素敵な思い出をつくりたかった。
デートしたり、マフラー編んであげたり、そんなことこの蛇鰐美思っておったんじゃぞ。
恐男の好きな茹で卵、必死に作る練習したんだぞ。
宿題でトークをはずませる為に沢山可愛い解答したんだぞ。(例 I like pen. これを訳せ。 私は恐男好き うそだっピョーン)
恐男と話す為、休み時間 席から立たなかったんだぞ。(おかげで痔ぢとなる)

なあ恐男

幸せになれよ。
あたいがしてあげられなかったこと、その子に沢山してもらうんだぞ。

ポロッ ポロッ

冬馬君は起きていたけど、眠ったふりをしていた。
蛇鰐美ちゃんの気持ちがなんとなく分かったから。
気づかぬふりをそっと優しく。

ようやく布団の上に戻る蛇鰐美ちゃん。
iPhoneを開く。
するときみ子が目を覚ます。
「蛇鰐美ちゃん寝れないの?」

「恐男の写真消そうと思ってのぅ、でも見るたびに消せんくなるのぅ」

「消さなくたって良いよ、そっと胸にしまっておけば素敵な想い出として」

「そうよな」

こうして人は大人になる。

多網は鼻くそをほじり、大喜は頭をかく。
実はみんな起きていたのだ。
冬馬君も寝返りをうつ。


綺麗な夜空
見上げる空には綺麗なお月様がニッコリ微笑み、いつまでも子供達を優しく包んでいた。

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