冬馬君の冬休み

だかずお

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〜 旅の終わり 〜

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「ああ、ついにこの時来ちゃったね」
なんだか冬馬君の心はみんなと横並びで布団に寝転んでるにもかかわらず、切ないような、なんとも言えない気持ち。

「本当に嫌だよ、もう明日の夜はひとりで寝てるんだ」と大喜

これだけ長い間ずっと一緒に過ごしていたみんなにとって、なんとも信じられない話であった。

考えたら、冬休み始まってから大喜と多網とは、ずっと毎日一緒だった。

「今日でこの部屋とお別れ」
多網もさすがにこの場所から離れたくないようだ。

きみ子もため息ならぬ、オナラをこいた、プリッとね。

いまやこの屁すら恋しい気持ち。
思えばこの屁で何度笑わされたか、現代の屁こきマシーンきみちゃん。
明日はもうブリブリ聞けないんだ。
婆ちゃん、爺ちゃんともいよいよさよならだ、正直前日の夜になり手紙まで渡したけど、さほどまだ実感はなかった。

「あー明日から日常生活に戻るのか」きみ子は人形のお腹を押した ブリっ

しかし、何度聞いてもリアルな屁の音にみんな笑った。

外では虫達の合唱が始まっている
まるでみんなにお別れを告げるよう演奏してくれてるようだ。
また来てね、また会おうと言ってくれてるようだ。

もし、良く耳を澄ましたら、ブリブリブリブリって聴こえたらどうしようとも思ったが、虫はさすがにきみ子じゃなかった。
そんな虫が居たら笑うだろう、そうだな、名前はこう命名しよう「人間の屁こき虫」

みんなは、寝るのを惜しんで、ずっと話をして起きていた。
時刻はこくこくと過ぎ去って行く
いつまでも、いつまでもこうして過ごしていたかった。
色んな思い出話をしたりして、みんなで過ごしていた。
婆ちゃん家最後の夜は気がつけばあっという間に過ぎ去って行った。

「みんな起きて」まだ暗いうち、耳もとで正子の声がする。
冬馬君は目をあけた。
そこはまだ婆ちゃん家の天井

みんなも眠そうだが、起きている。

冬の朝は寒い

リビングでは、婆ちゃんが朝食をつくってくれ、爺ちゃんはテレビを観ている。
時刻はまだ4時をすぎた頃。
爺ちゃん、婆ちゃんは今どんな気持ちなんだろう?

冬馬君は知っていた、帰る側も寂しいが、ホスト側だったほうも賑やかだった家からみんなが帰り、急にがらんとしてしまうのは寂しいものがあるということを、毎度の休みのたびに実感し心得ていた。

やっぱり旅行の帰る日、お別れ時は少しさみしくもある。

「いよいよ帰るのか」爺ちゃんはそんな言葉をポツリと呟く。

「寂しくなるねぇ」婆ちゃんの心からの本心が妙に心に響く

「過ぎた頃にはあっという間ね」と正子

朝食をすませ、みんなは荷物を整理している
いよいよこの時がやってきた。

そして遂に、家に帰る為の車に乗り込み始める時が訪れた。

「あーあーあー」ときみ子

「ふぅー」と冬馬君

大喜と多網は静かに車に乗り込む。

外を見ると婆ちゃん、爺ちゃんが窓をコンコン叩いて、手を降っている

ああ、涙がこぼれそうだ。
あの賑やかな生活も、みんなで過ごす生活とも、今日で本当におさらばだ。
明日から普通にやってけるだろうか?
さみしい とてもさみしい

子供達は今にも泣きそうだった。
爺ちゃん、婆ちゃんはニッコリ手を振ってくれている

「また来るんだよ」

正子も目に涙をためていた。
きっと正子だっていつまでも居たかったろう。
子供時代をどれだけ思い出し、懐かしく感じただろう。

隆はパックの呪縛から解放されたんだろうか?
もちろん、隆もお別れが寂しそうであった。

「お世話になりました、また来ます」

「爺ちゃん、婆ちゃんじゃあね、またね、体に気をつけて」

車が走りはじめようとした時、爺ちゃんが何かを見て、嬉しそうに声をあげた「まだあるぞい」

みんなは指さすほうを見る

あっ!!
あれはみんなでつくった、かまくらと雪だるま、まさか、まだ少しだけど残っていた。
ああ、なつかしい みんなでつくった思い出の作品

それを見届け、みんなはニッコリ笑った。

そして車は本当に走り出した。

またね 爺ちゃんも、婆ちゃんも、この場所も、思いでも ありがとう。

さようなら

楽しかった 日々。


子供達は振り返りいつまでも手を振っていた、爺ちゃん婆ちゃんもいつまでも手を振っていた。

ああだんだん見えなくなる、本当に二人の姿が見えなくなっていく。
もう、目の前にはさっきまでいた、爺ちゃん、婆ちゃんの姿がもうなかった。

行きの車はあれだけ賑やかで騒がしかったが、朝が早いからなのか?帰りだからか?今は静かだった。

車が高速道路に向かう途中
あのレンタル屋さんを通った

あっ!!
思わずみんなは声をあげる。
何度も爺ちゃんと来た場所
それがレンタルビデオ店というのが何故か面白いが この場所ともお別れ。

じゃあね 心の中、この旅で見慣れた風景達に冬馬君は挨拶をした。
切ないような、言葉で言い表せない気持ちだった。
そして、気がつけば、暖かい車の中で寝てしまっていた。

帰り道 再び目をさました後は、車内はみんなで大合唱、大盛り上がり。
きみ子CDまでかけ「イッツ オートマティック」
宇多田きみ子が出現した
ああ、これ聴くと行きの車を思い出す。

車の中はお祭りのようだった。
これからまた旅行が始まるんじゃないか、そんな気持ち。

ブゥーゥン 車は走る

それぞれのお家に向かって。

道は少し混んでいて、途中パーキングエリアなどでお昼を食べ、ゆっくり帰ってきた。

そして、いよいよその時は来てしまう。
正子の起こす呼び声でハッとする。
再び目を覚ました時、そこはもう見慣れた場所
そう多網の家の前だ。

「起きて、着いたよ」正子の声が耳に響き渡る
なんだか、本当にお別れがきた。
さみしくて、妙に夢の中にいるようなそんな気分。

「わたしも、ここで大丈夫です」きみ子が言った

「本当にありがとうございました、とても楽しかったです」

「こちらこそ、また行こうね」

「はいっ」

きみ子と多網が車から降り、多網のお母さんとお父さんが家から出てきた。

「ありがとうございました、お世話になりました」

なんだか久しぶりのサーの顔。
ああ、クリスマスパーティがなつかしや。

本当にお別れ
じゃあね、多網、きみ子

多網ときみ子は突然

「冬馬、大喜 ファイ ファイ ファイ」

車内から二人も「多網、きみ子 ファィ ファィ ファィ」

最後の挨拶

「じゃあね、二人とも」冬馬君達は手をいつまでも振っていた。

多網ときみ子もいつまでも手を振っていた。

車の中では信じられなくもある冬馬君、今や多網ときみ子まで、もう居ない。

「あー今日の夜は一人なんだなぁ」大喜がぽつりつぶやいた。

もう、景色は見慣れた場所だ。

さっきまで婆ちゃん家に居たのがなんだか信じられなかった。

そして車は大喜のうちに到着。
このお世話になった、車君ともお別れだ。
大喜のうちに車を返し、置いてある自分の家の車に。

「なんだか懐かしの我が家の車だ」と冬馬君

大喜の両親が家から出てきた

「お疲れ様、お世話さま」

家にあがっていくかと尋ねられたが、明日仕事やら学校が始まるのでそのまま、帰ることにした。

「さて、おうちに帰ろう」と隆

ああ、ついに大喜とまでお別れ

「じゃあなー冬馬」

「うん、またね」

二人はいつまでも手を降って、お互いの姿を見ていた ずっと ずっと…
見えなくなっても 手を振っていた。

車内で冬馬君はついに一人になった実感がわいてきて 寂しい気分に
みんな それぞれの、おうちに帰っていってしまった。
賑やかだった車内がとても静かになった。

車は懐かしの我が家

「ただいまー」
ああなんだか久しぶりだ。

あっ!!

リビングには旅に行く前に婆ちゃんの使った湯のみがそのまま、置かれていた。
時間と言う時を超え、旅が始まる前と、今が一瞬ごっちゃになったような不思議な感覚

リビングは旅に向かう前、そのままの姿で残っていた。

そこから、ひょっこり婆ちゃんが出てくるんじゃないかなどと思った。

部屋に戻り、冬馬君は泣きそうになった。みんなが泊まっていた 布団がそこには、そのまま残っていたからだ。

ああ今日はもう一人
夜中の語り合いもないんだなぁ。

冬馬君は明日からの学校などを思いため息をついた。

ああ、楽しかったなぁ。

本当に楽しかった。

ずっとそんなことばかり考えてしまう

夜寝る前に、机に置かれてある親の携帯電話を見つけ、のぞいた 確か僕が写真とったはず。

そこにはみんなで酔っ払った時のファィ合唱の写真が !!

みんなの笑顔が写っていた。
あはは 笑った。
なんだか、心に響いた

みんな・・・

夜眠りにつく前
横を見たけど誰も居ない
爺ちゃんや婆ちゃんの声もしない。
冬馬君は楽しかった思い出を思い出し、急に立ち上がった。

「ファィ ファィ ファィ ファィ」

明日からまた頑張るぞ。
自分に気合いをいれて、目をつむった。
夢のような楽しかった日々ありがとう
素敵な旅行の思い出ありがとう。

みんなありがとう

ふと見上げた天井は、気がつけば見慣れた景色に戻っていた。



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