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エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。
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「だが、その前に喜ばしいニュースを――。先日、友好国サレシアより使者があり、我がテオフィルスが誇る若き淑女、ファウスティーナ・グレイル侯爵令嬢と、サレシア王太子ナスリム殿下の婚礼の日取りが、正式に決まったと知らせがあった。まずはめでたい」
ぱらぱらと祝福の声があがったが、関係のない話題に肩透かしを食って、戸惑いのほうが大きい。王は先を続けた。
「知っての通り、グレイル嬢は我が息子アルファレドの幼い時分からの婚約者であった。しかし残念ながら、その婚約は解消となった」
アルファレドは拳を握りしめ、手のひらに爪を食いこませた。
違う。解消ではなく、破棄だ。私のせいで。私が愚かにも、判断を誤ったせいで。
「婚約解消にあたって、令嬢に非あり、という心無い噂を耳にした者も多いと思うが、それは事実無根の中傷だ。あらためて、はっきりと否定しておく。アルファレドとは縁がなかったが、グレイル嬢が良縁にめぐまれ、無事結婚の運びとなって、私もひとつ肩の荷が下りたように思う。後日、婚礼の儀に派遣する使者を選びたい」
外交に携わる立場の貴族たちが色めきたった。サレシアの国を挙げての慶賀への、正式な使者となれば、キャリアの弾みになる。
しかし、これはなんだ? 醜聞をひきおこし、王室の体面に泥を塗った息子への、王自らの手による断罪か、公開処刑か?
「さて、婚約解消後、アルファレドも独り身を続けてきたが、よい頃合いであろう」
二人目の元婚約者の存在は、華麗かつ無難に無視。
そして今のセリフから察するに、これは王子の新しい婚約者選びを正式に開始する、という宣言か? それともまさか、今夜この中から誰か選べと? 確かに大規模な夜会で、未婚の令嬢も多数出席しているが……。
大方の者たちも、アルファレドと同じことを考えただろう。
だが、その予想は半ば外れた。
「私は、テオフィルス国王アレクタリス・エインスワートの名において、ランシエナ大公レティウス・カスティエル・アニエスカを、第一王子アルファレド・エインスワートの新しい婚約者とすることを、ここに宣言する」
たっぷり三秒以上の沈黙が応じた。
会場全体が、はっきりと激しく動揺した。祝福の声はなく、半数以上が自分の耳の具合を心配し、高位貴族の何人かは雷に打たれたような顔になっている。
「ち、父上、いったい……っ」
なんの話だ、とアルファレドは椅子を蹴り飛ばして立ちあがった。と、大公の指が袖の陰で素早く動き、奇妙な形を作った。
ぴしり、と耳の奥でなにかが鳴った。
「だが、その前に喜ばしいニュースを――。先日、友好国サレシアより使者があり、我がテオフィルスが誇る若き淑女、ファウスティーナ・グレイル侯爵令嬢と、サレシア王太子ナスリム殿下の婚礼の日取りが、正式に決まったと知らせがあった。まずはめでたい」
ぱらぱらと祝福の声があがったが、関係のない話題に肩透かしを食って、戸惑いのほうが大きい。王は先を続けた。
「知っての通り、グレイル嬢は我が息子アルファレドの幼い時分からの婚約者であった。しかし残念ながら、その婚約は解消となった」
アルファレドは拳を握りしめ、手のひらに爪を食いこませた。
違う。解消ではなく、破棄だ。私のせいで。私が愚かにも、判断を誤ったせいで。
「婚約解消にあたって、令嬢に非あり、という心無い噂を耳にした者も多いと思うが、それは事実無根の中傷だ。あらためて、はっきりと否定しておく。アルファレドとは縁がなかったが、グレイル嬢が良縁にめぐまれ、無事結婚の運びとなって、私もひとつ肩の荷が下りたように思う。後日、婚礼の儀に派遣する使者を選びたい」
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そして今のセリフから察するに、これは王子の新しい婚約者選びを正式に開始する、という宣言か? それともまさか、今夜この中から誰か選べと? 確かに大規模な夜会で、未婚の令嬢も多数出席しているが……。
大方の者たちも、アルファレドと同じことを考えただろう。
だが、その予想は半ば外れた。
「私は、テオフィルス国王アレクタリス・エインスワートの名において、ランシエナ大公レティウス・カスティエル・アニエスカを、第一王子アルファレド・エインスワートの新しい婚約者とすることを、ここに宣言する」
たっぷり三秒以上の沈黙が応じた。
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「ち、父上、いったい……っ」
なんの話だ、とアルファレドは椅子を蹴り飛ばして立ちあがった。と、大公の指が袖の陰で素早く動き、奇妙な形を作った。
ぴしり、と耳の奥でなにかが鳴った。
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