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三章『世界旅行編』
第二十二話『魔の土地の観光』
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人の土地から魔の土地へ、最短の道を渡ったが、丸一日掛かった。
当然の如く、嵐や雷といった悪天候に見舞われたが、無事到着した。
「やっと着いた」
「あの……着いたばかりですみません。休憩したいです」
ホアイダは船酔いでバテていた。
顔色が悪く、今にも吐きそうだ。
「分かったよ」
「あっ、ありがとうございます」
今僕達が居る国こそ、旅行の本命である『ニューデリー』である。
時間帯は真昼間。
ちょうどお昼時だ。
船を降り、入国の手続きを終えると、都市『アバラン』の街並みに入った。
ここら辺の街並みは、飛びぬけて発展している訳ではないが、海の上に家が建てられていて妙な街並みだ。
足場が無い訳でないが、ほとんどの人がボートを漕いで、建物から建物に移っている。
それに、昼間だというのに崖や山の影になっている場所の為、妙にうす暗い。
そこら中にランタンが飾られてある。
「ほぉ~、面白い場所だね」
「そこのお二人さん!ボートをお探しかな?」
僕らが街並みに見とれていると、ボートに乗った男が話しかけて来た。
「いや」
「けど、ここから移動するにはどこに行くにせよ海を渡らなくてはならない。泳いで行ける距離だが、荷物があるお前さん方には無理だろ?」
「つまり?」
「乗っけてやんよ。銀貨5枚でいい」
なるほど。
ここら辺がこのような街並みなのは、旅人や観光客が集まる場所だから、ボートで運ぶ仕事で荒稼ぎってことだな。
でなければ、わざわざこんな場所に店や建物がある理由はそれだろう。
「ボートは使わない」
「じゃあどうやって渡る気だい?」
「飛ぶ」
「飛ぶ?」
僕とホアイダの服を羽根に変え、ホアイダと荷物を抱えながら、羽根を広げる。
「なぁ!?」
「バーイ!」
ボートに乗っていた男を嘲笑い、空を飛ぶ。
そして、街を眺めながら料理店を探す。
* * *
「やっと休めました」
「美味しい!海岸沿いなだけあって魚料理が美味しい!だがしかし!やっぱ素敵なステーキでしょ!」
料理店に入り、一つまみ終えた頃には、ホアイダの顔色は良くなっていた。
海に近いだけあり、ここの料理店は魚料理が多い。
それに、懐かしの料理『お寿司 』もある。
寿司のネタをの下には『コメモチ』だが、醤油を付けて食べるのは絶品だ。
「食べたら観光しに行こう」
「良いですね」
「もう少し南の方に行けば、しっかりとした街がある。今夜はその街で寝泊まりをするから、そこまで観光しながら移動するよ」
「分かりました」
昼食を済ますと、先ほど同様空中を移動した。
ホアイダは、落ちないかが不安で、ビクついていたが、すぐに慣れて空からの眺めを楽しんでいた。
一時間後、海の上に建物がある街並みは消え、ごく普通の街並みに入った。
色とりどりで、可愛らしさが特徴な街並みだ。
実は明日の朝、この街で『運び屋フォリア』と会うことになっている。
表面上は、魔の土地の西側に移動する為の依頼だが、本当の目的は能力を奪う為に殺すことだ。
表面上の理由だけならホアイダにも説明した。
だから明日朝、運び屋フォリアに会うことは何の問題もない。
「現在15時、夜ご飯まで4時間くらい時間あるね」
「観光ですか?」
「その通り」
ホテルの手続きを済ませ、部屋に荷物を預け終えると、僕らは観光を楽しんだ。
街並みや自然を見て楽しみ、ショッピングや食べ物を楽しみ、あっという間に時間は過ぎ去っていく。
そして、楽しみつつ計画の準備を着実に行う。
* * *
次の日の朝。
昨日は観光一日目ということもあり、かなり羽目を外した。
おかげで、体が妙に疲れている。
「んん……7時か……あん?」
目覚めると、目の前に間抜けな口と顔をしたクマのぬいぐるみ――ポム吉が居た。
よく見ると、ホアイダも僕のベッドに居る。
幸せそうな表情だが、パジャマのボタンをかけ間違えている。
「もう少し寝よ」
ホアイダとポム吉をベットからけり落とし、毛布を羽織る。
「うぎゃ!」
ベットから落ちたホアイダが、僕にポム吉を投げた。
「もう!」
そして、当然のようにベットに上がって来る。
「狭い……降りろ」
「嫌です」
「殴るよ」
「良いですよ」
起き上がってホアイダを殴ろうとするが、体が動かなかった。
まるで、何かに縛られているようだ。
「なんだこれ?糸で体がベットに縛り付けられているのか?君の魔法?」
「良くも落としてくれましたね?私、結構根に持つタイプですよ」
ホアイダは、ムッとしながら僕の上に跨り、ポム吉を手にした。
「何する気だ?」
「こうするのです!」
ホアイダはポム吉の小さな足を振り、僕の顔の上でポム吉を走らせた。
「なにこれ?」
「往復びんた……です」
結局その後、僕ら二人共二度寝した。
* * *
「朝からくだらないことしやがって」
「マレフィクスが悪いんです」
「うっさいな~。次やったら、そのぺチャパイもぎ取るよ」
「それは嫌です」
朝食と身支度を済ませ、外のベンチに座り、運び屋フォリアを待つ。
朝9時にこの場所集合、なのでもうそろそろだろう。
「君達、もしかして依頼してくれた人かな?」
一人の男が声をかけて来た。
恐らく、運び屋フォリアその人だろう。
「依頼したマレフィクスだよ」
「依頼ありがとう。私はフォリア……さっそくだけど、行きたい場所を詳しく教えてくれないか?」
「魔の土地の西側。今地図を開くから少待ってて」
僕は、リュックから地図を取り出すふりをする。
「おい!燃えてるぞ!」
同時に、人々が燃えてるホテルを見て騒ぎ出す。
「マレフィクス、私達がさっきまで居たホテルですよ」
「おぉ、やばいね。けど、消防隊が来るっしょ」
そう言って、僕ら三人はホテルから距離を取る。
しかし、ホテルから出てきた人々が慌てふためいている。
「まだ人が居る!火事に気付かず寝ている人も居るかもしれない!」
ホテルから出てきた人のその一言で、ホアイダとフォリアの表情が変わった。
この表情は偽善者の表情だ。
きっと、『助けなきゃ』とか思ってるんだろう。
まだホテル全体に火が回っていないが、飛び込むのは危険な行為だ。
「君達は待ってろ。私の能力なら脱出できる」
予想通り、フォリアはホテルの中に入って行った。
ホアイダも、水魔法で消火をし始めた。
勿論、この火事の主犯は僕だ。
この展開が欲しかった為、僕が火事を起こした。
――能力番号10『髪の毛に意志を与える能力』。
もう既に、僕の髪の毛一本が意志を持ってフォリアの髪の毛に混ざった。
僕の髪の毛には魔法を込めといた。
今フォリアは、燃えるホテルの中……いつ燃えてもおかしくない。
誰だってそう思う。
「フォティア.ラナ」
僕は小さな小さな声で魔法を唱える。
そしてダメ押し。
――能力番号16『涙を垂らした場所に爆弾を仕掛ける能力』。
「捩」
フフッ。
涙を垂らした場所、それは言わなくとも……お分かりだね。
* * * * *
勇敢にも、燃えてるホテルに男が一人飛び込んだ。
「誰か!誰か居ないのか!!」
「助けて!」
入ってすぐ、瓦礫に挟まって身動きの取れない女性が助けを求めていた。
男はすぐに、瓦礫を持ち上げ、女性の救出をした。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
男は、女性が火を避けながらホテルを出るのを見送ると、生存者が居ないか、声を出して確かめながら二階へと登る。
「何だ?妙に熱い?頭が熱い?何か変だ?」
男は自身の髪の毛に触れて、やっと気付いた。
自分自身が髪の毛から燃えていたことに。
「なにぃ!?早くどこかに転移して火を消さなくては!海だ!海岸に転移するの――」
しかし、男が行動を起こす前に、男の頭が内部から破裂した。
無惨にも男の死体は、次第次第に燃え尽きてゆく。
当然の如く、嵐や雷といった悪天候に見舞われたが、無事到着した。
「やっと着いた」
「あの……着いたばかりですみません。休憩したいです」
ホアイダは船酔いでバテていた。
顔色が悪く、今にも吐きそうだ。
「分かったよ」
「あっ、ありがとうございます」
今僕達が居る国こそ、旅行の本命である『ニューデリー』である。
時間帯は真昼間。
ちょうどお昼時だ。
船を降り、入国の手続きを終えると、都市『アバラン』の街並みに入った。
ここら辺の街並みは、飛びぬけて発展している訳ではないが、海の上に家が建てられていて妙な街並みだ。
足場が無い訳でないが、ほとんどの人がボートを漕いで、建物から建物に移っている。
それに、昼間だというのに崖や山の影になっている場所の為、妙にうす暗い。
そこら中にランタンが飾られてある。
「ほぉ~、面白い場所だね」
「そこのお二人さん!ボートをお探しかな?」
僕らが街並みに見とれていると、ボートに乗った男が話しかけて来た。
「いや」
「けど、ここから移動するにはどこに行くにせよ海を渡らなくてはならない。泳いで行ける距離だが、荷物があるお前さん方には無理だろ?」
「つまり?」
「乗っけてやんよ。銀貨5枚でいい」
なるほど。
ここら辺がこのような街並みなのは、旅人や観光客が集まる場所だから、ボートで運ぶ仕事で荒稼ぎってことだな。
でなければ、わざわざこんな場所に店や建物がある理由はそれだろう。
「ボートは使わない」
「じゃあどうやって渡る気だい?」
「飛ぶ」
「飛ぶ?」
僕とホアイダの服を羽根に変え、ホアイダと荷物を抱えながら、羽根を広げる。
「なぁ!?」
「バーイ!」
ボートに乗っていた男を嘲笑い、空を飛ぶ。
そして、街を眺めながら料理店を探す。
* * *
「やっと休めました」
「美味しい!海岸沿いなだけあって魚料理が美味しい!だがしかし!やっぱ素敵なステーキでしょ!」
料理店に入り、一つまみ終えた頃には、ホアイダの顔色は良くなっていた。
海に近いだけあり、ここの料理店は魚料理が多い。
それに、懐かしの料理『お寿司 』もある。
寿司のネタをの下には『コメモチ』だが、醤油を付けて食べるのは絶品だ。
「食べたら観光しに行こう」
「良いですね」
「もう少し南の方に行けば、しっかりとした街がある。今夜はその街で寝泊まりをするから、そこまで観光しながら移動するよ」
「分かりました」
昼食を済ますと、先ほど同様空中を移動した。
ホアイダは、落ちないかが不安で、ビクついていたが、すぐに慣れて空からの眺めを楽しんでいた。
一時間後、海の上に建物がある街並みは消え、ごく普通の街並みに入った。
色とりどりで、可愛らしさが特徴な街並みだ。
実は明日の朝、この街で『運び屋フォリア』と会うことになっている。
表面上は、魔の土地の西側に移動する為の依頼だが、本当の目的は能力を奪う為に殺すことだ。
表面上の理由だけならホアイダにも説明した。
だから明日朝、運び屋フォリアに会うことは何の問題もない。
「現在15時、夜ご飯まで4時間くらい時間あるね」
「観光ですか?」
「その通り」
ホテルの手続きを済ませ、部屋に荷物を預け終えると、僕らは観光を楽しんだ。
街並みや自然を見て楽しみ、ショッピングや食べ物を楽しみ、あっという間に時間は過ぎ去っていく。
そして、楽しみつつ計画の準備を着実に行う。
* * *
次の日の朝。
昨日は観光一日目ということもあり、かなり羽目を外した。
おかげで、体が妙に疲れている。
「んん……7時か……あん?」
目覚めると、目の前に間抜けな口と顔をしたクマのぬいぐるみ――ポム吉が居た。
よく見ると、ホアイダも僕のベッドに居る。
幸せそうな表情だが、パジャマのボタンをかけ間違えている。
「もう少し寝よ」
ホアイダとポム吉をベットからけり落とし、毛布を羽織る。
「うぎゃ!」
ベットから落ちたホアイダが、僕にポム吉を投げた。
「もう!」
そして、当然のようにベットに上がって来る。
「狭い……降りろ」
「嫌です」
「殴るよ」
「良いですよ」
起き上がってホアイダを殴ろうとするが、体が動かなかった。
まるで、何かに縛られているようだ。
「なんだこれ?糸で体がベットに縛り付けられているのか?君の魔法?」
「良くも落としてくれましたね?私、結構根に持つタイプですよ」
ホアイダは、ムッとしながら僕の上に跨り、ポム吉を手にした。
「何する気だ?」
「こうするのです!」
ホアイダはポム吉の小さな足を振り、僕の顔の上でポム吉を走らせた。
「なにこれ?」
「往復びんた……です」
結局その後、僕ら二人共二度寝した。
* * *
「朝からくだらないことしやがって」
「マレフィクスが悪いんです」
「うっさいな~。次やったら、そのぺチャパイもぎ取るよ」
「それは嫌です」
朝食と身支度を済ませ、外のベンチに座り、運び屋フォリアを待つ。
朝9時にこの場所集合、なのでもうそろそろだろう。
「君達、もしかして依頼してくれた人かな?」
一人の男が声をかけて来た。
恐らく、運び屋フォリアその人だろう。
「依頼したマレフィクスだよ」
「依頼ありがとう。私はフォリア……さっそくだけど、行きたい場所を詳しく教えてくれないか?」
「魔の土地の西側。今地図を開くから少待ってて」
僕は、リュックから地図を取り出すふりをする。
「おい!燃えてるぞ!」
同時に、人々が燃えてるホテルを見て騒ぎ出す。
「マレフィクス、私達がさっきまで居たホテルですよ」
「おぉ、やばいね。けど、消防隊が来るっしょ」
そう言って、僕ら三人はホテルから距離を取る。
しかし、ホテルから出てきた人々が慌てふためいている。
「まだ人が居る!火事に気付かず寝ている人も居るかもしれない!」
ホテルから出てきた人のその一言で、ホアイダとフォリアの表情が変わった。
この表情は偽善者の表情だ。
きっと、『助けなきゃ』とか思ってるんだろう。
まだホテル全体に火が回っていないが、飛び込むのは危険な行為だ。
「君達は待ってろ。私の能力なら脱出できる」
予想通り、フォリアはホテルの中に入って行った。
ホアイダも、水魔法で消火をし始めた。
勿論、この火事の主犯は僕だ。
この展開が欲しかった為、僕が火事を起こした。
――能力番号10『髪の毛に意志を与える能力』。
もう既に、僕の髪の毛一本が意志を持ってフォリアの髪の毛に混ざった。
僕の髪の毛には魔法を込めといた。
今フォリアは、燃えるホテルの中……いつ燃えてもおかしくない。
誰だってそう思う。
「フォティア.ラナ」
僕は小さな小さな声で魔法を唱える。
そしてダメ押し。
――能力番号16『涙を垂らした場所に爆弾を仕掛ける能力』。
「捩」
フフッ。
涙を垂らした場所、それは言わなくとも……お分かりだね。
* * * * *
勇敢にも、燃えてるホテルに男が一人飛び込んだ。
「誰か!誰か居ないのか!!」
「助けて!」
入ってすぐ、瓦礫に挟まって身動きの取れない女性が助けを求めていた。
男はすぐに、瓦礫を持ち上げ、女性の救出をした。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
男は、女性が火を避けながらホテルを出るのを見送ると、生存者が居ないか、声を出して確かめながら二階へと登る。
「何だ?妙に熱い?頭が熱い?何か変だ?」
男は自身の髪の毛に触れて、やっと気付いた。
自分自身が髪の毛から燃えていたことに。
「なにぃ!?早くどこかに転移して火を消さなくては!海だ!海岸に転移するの――」
しかし、男が行動を起こす前に、男の頭が内部から破裂した。
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