31 / 49
04.
29.愛を恐れる
しおりを挟む
「マナーって、大切なのね」
ボソリと、マティルは呟いた。
事情を知れば、幼い同級生に対し不快になれなかった。
怒るに怒れなかった。
父が商売人でなければ。
人の機嫌を取る事を仕事の一部としていなければ……。
父ではなく、母の夫が同程度の爵位を持つものだったなら。
きっと庶民と同じような生活をしながら、領主としての傲慢さを持ち合わせ、守るべきマナーの意味を知る事はなかったと思う……。
マティルは嫌な自分にならずに済んだ事に安堵した。
午後の講義。
芸術の授業を取っているバウマンは、庭園の中でスケッチをしており、ブラームはベンチに腰を落とし、足を組みバウマンを眺めていた。
大公と言う地位にある自分を、バウマンは一切気に欠ける様子なく真摯に視線を一点に向けている。 良くも悪くも彼と言う人柄が分かる。
どうしようもない奴なら、マティルを奪う事を戸惑う事はないものを……。 今、バウマンに気持ちが動いているマティルに、愛しているとアピールをしても逆効果にしかならないだろう。
「随分と熱心なんだな」
ボソリと呟くようにブラームが言えば、以外にも返事が返された。
「絵を描くのは、子供の頃から好きでした。 そこに、意味を与えてくれたから、今はもっと好きです」
真摯な声で発せられる好きと言う音に、マティルはドキドキするのだろうか? そう考えれば心が痛んだ。
「バウマン」
「はい」
「マティルの事は好きか?」
「えぇ、好きですよ」
幼い頃から好きだったと言う絵と同じ熱量で好きだと言葉にしたことに気づいているだろうか?
「そうか……」
喉の奥が締め付けられたかのような気分になって、ブラームは聞かなければ良かったと思った。 それでもブラームはバウマンをじっと見続ける。
不意に思い立って、ポケットからリンゴを取り出し、ブラームはバウマンへと下からゆっくりとした動作で投げた。
「バウマン」
バウマンは振り返り、リンゴを受け止めた。
「どうして気づいた?」
何時もは振り向かないブラームが振り向くから、笑いながら聞いた。
「コレは頂いていいやつですか?」
「あぁ、食べるといい。 それで、」
「音が、したから」
「耳が良いんだな」
「えぇ」
「騎士の素質には、五感のいずれかが強化される場合もあるそうだ。 目でなくて残念だったな」
「音も絵に影響させることが出来ればいいのですけどね」
シャクリとリンゴを噛む良い音がした。
「ははっ、いい音だ」
「ブラーム様の声も良い音ですよ」
そう言って、青いインクとペンを取り出し、目の前にない深く濃い青色が白に滲み溶けるような花の絵を見せつける。
「それが、俺の声だって?」
「えぇ」
「なら……マティルの声は?」
連なる小花(藤の花)がとろけるように流れる絵が描かれている。
「色は?」
「白、茶色、ピンク、髪の揺らめきのように流れ、甘く甘く……はぁ……」
そのウットリとした表情は、愛情だとブラームは思った。
「以外だな。 お前は、マティルに興味が無いのかと思っていた」
「まさか、彼女は私の女神ですよ」
その言葉にブラームは肩を竦め、笑った。
「……私は……」
カラカウようにブラームが言ったのは、自分の気持ちを誤魔化すため。 なら、バウマンが拗ねたように落ち込んだように声を発したのは?
「自信がないのか?」
返事は無いが、落ち込んだ様子で頭を下げていた。
「違います……」
バウマンは暴力行為の罰としてブラームの側使いとして登録された。 表面上は罰であるが、完全なまでの保護行為。
学園の金級の寮にあるブラームの部屋の隣室だけでなく、続き部屋を作業部屋として使えるよう交渉し、正式な許可を取ってもらった。 おかげで最良の環境で、絵を描き、布地の絵付けを行い、染色作業に励む事が出来る。
バウマンにとってブラームは、初めて欲しいものを与えてくれた人だ。
マティルもバウマンの欲しいものを与えているだろう。 そう言う人もいるかもしれない。 だけど、バウマン自身マティルを『女神』と表現したが、マティルからバウマンが得た利益はマティルの利益にもなる。
それに比べブラームは損得に関係なく……いや、むしろ、ブラームにとって損しかないだろう状況で、バウマンを保護し、様々なものを与えてくれている。
ブラームが与えてくれる無償の提供は、バウマンにとって何よりも欲しいもの。 疑似的に親を見ていた。
大きな布地を前にバウマンは、考えるのを止めて花柄模様を入れていく。
ベール家の長男として生まれたバウマンは、マティルとの婚約が成立した事で初めて次期侯爵の地位が与えられた。
バウマンは、癇癪が多い子だった。 癇癪の理由は耳の良さを理由とする。 大きな音がイヤだと言うマティルの言葉をバウマンは良く理解できる。 だから、素直に謝罪した。
幼少期のバウマンは音を怖がった。
投資の失敗により、名ばかりの侯爵家となったベール侯爵夫婦の喧嘩は絶える事は無く、大声で叫び続ける親の声は癇癪の元だった。 侯爵夫婦は、癇癪を起すバウマンを悪者として夫婦仲を取り戻した。
そして、癇癪を起すバウマンの叫びから耳を塞ぐために、バウマンを遠ざけた。 バウマンの慰めとなったのが絵だった。 そしてバウマンの両親は、バウマンの癇癪の理由を知る事無く、当たり前の礼儀作法を教え込む事で制御したのだ。
時に礼儀作法は、虐待の理由に使われた。
集中力が欠け始めた頃。
バウマンはユックリと筆をおき、息をついた。
背を伸ばし、時間を確認したバウマンは、ブラームの執務室へと向かいノックをする。
「はいはい……どうした?」
「コーヒーを淹れようと思うのですが、如何ですか? 必要なら、何か食べるものもいただいてきますが?」
「あぁ、頼もう」
騎士の素質を持つものは、特殊な筋肉を所有するため燃費が悪く、何時でも食事が可能な金級の寮を代金を支払う事なく使わせてもらえるようになった事も、バウマンの精神を安定させた理由の1つである。
バウマンにとってブラームは、自分を損得抜きに保護者以上に自分を保護してくれた恩人で、尊敬するべき相手だ。
気づいている。
ブラームが、私の婚約者となった女性を愛していると言う事を。
私が集中しており、聞いていないだろうと交わされた愛の言葉を聞いていた。
マティルに好意を抱いている。
最高の女性だ。
良い理解者だ。
見た目も愛らしい。
彼女が居れば、社会的に認められるだろう。
だけど……、欲情を向けたくはない……。
初めて得た保護者を、尊敬する男性を失うのが怖くて……。
ボソリと、マティルは呟いた。
事情を知れば、幼い同級生に対し不快になれなかった。
怒るに怒れなかった。
父が商売人でなければ。
人の機嫌を取る事を仕事の一部としていなければ……。
父ではなく、母の夫が同程度の爵位を持つものだったなら。
きっと庶民と同じような生活をしながら、領主としての傲慢さを持ち合わせ、守るべきマナーの意味を知る事はなかったと思う……。
マティルは嫌な自分にならずに済んだ事に安堵した。
午後の講義。
芸術の授業を取っているバウマンは、庭園の中でスケッチをしており、ブラームはベンチに腰を落とし、足を組みバウマンを眺めていた。
大公と言う地位にある自分を、バウマンは一切気に欠ける様子なく真摯に視線を一点に向けている。 良くも悪くも彼と言う人柄が分かる。
どうしようもない奴なら、マティルを奪う事を戸惑う事はないものを……。 今、バウマンに気持ちが動いているマティルに、愛しているとアピールをしても逆効果にしかならないだろう。
「随分と熱心なんだな」
ボソリと呟くようにブラームが言えば、以外にも返事が返された。
「絵を描くのは、子供の頃から好きでした。 そこに、意味を与えてくれたから、今はもっと好きです」
真摯な声で発せられる好きと言う音に、マティルはドキドキするのだろうか? そう考えれば心が痛んだ。
「バウマン」
「はい」
「マティルの事は好きか?」
「えぇ、好きですよ」
幼い頃から好きだったと言う絵と同じ熱量で好きだと言葉にしたことに気づいているだろうか?
「そうか……」
喉の奥が締め付けられたかのような気分になって、ブラームは聞かなければ良かったと思った。 それでもブラームはバウマンをじっと見続ける。
不意に思い立って、ポケットからリンゴを取り出し、ブラームはバウマンへと下からゆっくりとした動作で投げた。
「バウマン」
バウマンは振り返り、リンゴを受け止めた。
「どうして気づいた?」
何時もは振り向かないブラームが振り向くから、笑いながら聞いた。
「コレは頂いていいやつですか?」
「あぁ、食べるといい。 それで、」
「音が、したから」
「耳が良いんだな」
「えぇ」
「騎士の素質には、五感のいずれかが強化される場合もあるそうだ。 目でなくて残念だったな」
「音も絵に影響させることが出来ればいいのですけどね」
シャクリとリンゴを噛む良い音がした。
「ははっ、いい音だ」
「ブラーム様の声も良い音ですよ」
そう言って、青いインクとペンを取り出し、目の前にない深く濃い青色が白に滲み溶けるような花の絵を見せつける。
「それが、俺の声だって?」
「えぇ」
「なら……マティルの声は?」
連なる小花(藤の花)がとろけるように流れる絵が描かれている。
「色は?」
「白、茶色、ピンク、髪の揺らめきのように流れ、甘く甘く……はぁ……」
そのウットリとした表情は、愛情だとブラームは思った。
「以外だな。 お前は、マティルに興味が無いのかと思っていた」
「まさか、彼女は私の女神ですよ」
その言葉にブラームは肩を竦め、笑った。
「……私は……」
カラカウようにブラームが言ったのは、自分の気持ちを誤魔化すため。 なら、バウマンが拗ねたように落ち込んだように声を発したのは?
「自信がないのか?」
返事は無いが、落ち込んだ様子で頭を下げていた。
「違います……」
バウマンは暴力行為の罰としてブラームの側使いとして登録された。 表面上は罰であるが、完全なまでの保護行為。
学園の金級の寮にあるブラームの部屋の隣室だけでなく、続き部屋を作業部屋として使えるよう交渉し、正式な許可を取ってもらった。 おかげで最良の環境で、絵を描き、布地の絵付けを行い、染色作業に励む事が出来る。
バウマンにとってブラームは、初めて欲しいものを与えてくれた人だ。
マティルもバウマンの欲しいものを与えているだろう。 そう言う人もいるかもしれない。 だけど、バウマン自身マティルを『女神』と表現したが、マティルからバウマンが得た利益はマティルの利益にもなる。
それに比べブラームは損得に関係なく……いや、むしろ、ブラームにとって損しかないだろう状況で、バウマンを保護し、様々なものを与えてくれている。
ブラームが与えてくれる無償の提供は、バウマンにとって何よりも欲しいもの。 疑似的に親を見ていた。
大きな布地を前にバウマンは、考えるのを止めて花柄模様を入れていく。
ベール家の長男として生まれたバウマンは、マティルとの婚約が成立した事で初めて次期侯爵の地位が与えられた。
バウマンは、癇癪が多い子だった。 癇癪の理由は耳の良さを理由とする。 大きな音がイヤだと言うマティルの言葉をバウマンは良く理解できる。 だから、素直に謝罪した。
幼少期のバウマンは音を怖がった。
投資の失敗により、名ばかりの侯爵家となったベール侯爵夫婦の喧嘩は絶える事は無く、大声で叫び続ける親の声は癇癪の元だった。 侯爵夫婦は、癇癪を起すバウマンを悪者として夫婦仲を取り戻した。
そして、癇癪を起すバウマンの叫びから耳を塞ぐために、バウマンを遠ざけた。 バウマンの慰めとなったのが絵だった。 そしてバウマンの両親は、バウマンの癇癪の理由を知る事無く、当たり前の礼儀作法を教え込む事で制御したのだ。
時に礼儀作法は、虐待の理由に使われた。
集中力が欠け始めた頃。
バウマンはユックリと筆をおき、息をついた。
背を伸ばし、時間を確認したバウマンは、ブラームの執務室へと向かいノックをする。
「はいはい……どうした?」
「コーヒーを淹れようと思うのですが、如何ですか? 必要なら、何か食べるものもいただいてきますが?」
「あぁ、頼もう」
騎士の素質を持つものは、特殊な筋肉を所有するため燃費が悪く、何時でも食事が可能な金級の寮を代金を支払う事なく使わせてもらえるようになった事も、バウマンの精神を安定させた理由の1つである。
バウマンにとってブラームは、自分を損得抜きに保護者以上に自分を保護してくれた恩人で、尊敬するべき相手だ。
気づいている。
ブラームが、私の婚約者となった女性を愛していると言う事を。
私が集中しており、聞いていないだろうと交わされた愛の言葉を聞いていた。
マティルに好意を抱いている。
最高の女性だ。
良い理解者だ。
見た目も愛らしい。
彼女が居れば、社会的に認められるだろう。
だけど……、欲情を向けたくはない……。
初めて得た保護者を、尊敬する男性を失うのが怖くて……。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる