37 / 49
05.
34.それぞれの婚約関係
しおりを挟む
バウマン様のデザインを元にした服は、大量の針子を投入され、ありえない速さでお披露目となった。
そして、学園内は荒れ始めた。
秘密のお茶会の時、公平性を前に『個』として、婚約者を見るようになりソレが問題となると言われていましたが、その問題が徐々に表面化しはじめてしまったのです。
学園内では、男性と女性に分かれて険悪な様相が彼方此方に見られるようになりました。
「あのような無知で口先だけの方が、貴族家当主としてやっていけるのかしら?」
「うちも同じですわ。 自領の特徴も良く理解されておらず、将来が不安になります」
そう言って集まる女性達は、良い領主とは? 良い婚約者とは? そんな、チェックシートまで作り出し採点し、婚約者に突き付ける。
そして男性側も女性をランキングつけし、その上位に位置する女性の理想的な面を婚約者に求める。
お互いが、求めるばかりで険悪な状況を見せていた。
そんな中、バウマン様と言えば、王族相手に個人の実力を見せつけ高く評価を受けたと人気がピークに差し掛かっていた。
「私もバウマン様に、ドレスを作っていただきたいわ~」
近寄ってくる女性の8割がこの言葉と共に近寄ってくる。
ですが、バウマン様にとって不快な音を立て近寄り、要求ばかりを突き付けてくる人は、嫌われても問題ない相手でしかなく返答に容赦はありません。
「貴方には、創作意欲が掻き立てるような美がありません」
令嬢、崩れ落ち、言葉にならない言葉を叫び撤退。
何処からともなく現れて、ぶつかり『婚約者に追われていますの……』なんて涙ながらの出会いを演出しようとする者も少なくはないものの、耳の良いバウマン様はかなり早い段階で回避してしまうため、遭遇すらできておらず……私は令嬢達の嘆きを目にする事になる訳です。
劇的な出会いが駄目と分かった令嬢達は、バウマン様の逃げ場を奪う作戦を取るようになってきました。
「ダンスのステップが、上手くできませんの。 お相手してくださいませんか?」
言えば、すぐに教師が呼ばれた。
教科書を忘れたから、一緒に使わせて欲しいと近寄れば、教科書を貸し出してしまう。
食事を誘われれば、
「食事の時間を、不快に過ごしたくはありません」
等と、ことごとく排除されていた。
正直、ちょっとばかり気分が良かったと言うのは秘密です。
品性を疑われてしまいますからね。
そして私は、バウマン様にとって、自分は特別なんだなと少しだけ幸せになるのです。
とは言え、問題は私にも降りかかってきていました。
男性たちは、何しろ私は婚約者にしたいランキングの上位にいましたからね。
私に対する評価はこんな感じです。
「ベール侯爵令息は、婚約者のサポートがあるから成功できた」
「夫となる者を立てる事無く、不満ばかり言う婚約者はどうなのだろうか? マティル様を見習ってほしいものだ」
「あの、落ちぶれベール侯爵令息がアレほどに大成出来たなら、私ならどれほどの成功を収める事ができるだろう?!」
褒められているのかもしれないが、全く嬉しくはない。
「落ちぶれた侯爵令息などより、私の方が貴方に相応しい……」
話す気にもならず、私は彼等を無視して通り過ぎる事にしている。
そして、このアピールは私達だけが向けられたものではありませんでした。
婚約者と良好な関係を築く人。
王族の方々。
王族の方々は、その職務の内容に『婚約破棄の支援』があるため、私やバウマン様以上に人が集まっているようでした。
が!!
流石、毎回同様の事が繰り返されているだけあって、王族の方々は逃亡。 相談の聞き取りとして同性の上級生がが対応されていました。
「こちらの書面に相談内容を記入し、申請してください。 後日、その相談に対して王族の方々がお返事を返す事になります」
書面には、自身の名前、婚約者の名前、相談内容、そして今後どうしたいと思っているかを記載するようにと書かれているそうだ。
「これは?」
大抵の方は、挙動不審でこう問いかけるそうです。
「大勢の方を1人1人親身になって、対応する事は難しい。 相談内容をお伺いし、その内容に沿った調査を行った上で、早急な相談が必要と思われた人から殿下方が対応していきます。 暴力、暴言、金銭問題がある場合は即刻対応が必要となりますからね。 現状、耐えがたい状況であるなら、隣室で書類を制作する事をお勧めしますが、いかがなさいますか?」
そんな対応が淡々と事務的に行われるから、大抵の人々は申請書類を提出することも出来ないのだと伺いました。
この状況は大抵、気温が下がりだす頃には諦めに入ると言う話でした。
今は我慢……そう思っていたところに事件は起こったのです。
ブラーム様が呼び出しを受け不在としていたある日。
何時ものように庭園でスケッチをしていたバウマンに、熱のこもった女性の声がかけられた。
「バウマン様?」
何故、家名ではなく名を呼ぶのか? そんな疑問は視線に宿る。
「アンベル・ゾンダーハ伯爵令嬢」
彼女ほどの美しい女性であれば、我儘を言われるのも嬉しい。
男のやる気を上手く刺激する女性。
彼女のためなら、自身を磨き上げる事もやりがいとなる。
入学式典以前からそのような噂が耐えない方。
婚約者の方とも良好な関係を築いており、幾度か食事やお茶を共にしたこともある方で、少しだけ気も緩んでいたのかもしれません。
「今日も暑いですわね」
「えぇ」
「今日もスケッチですか?」
その声はとても熱のこもった声。
「はい」
側に寄ってきた女性は、不愛想に対応されつつも、柔らかくも熱い声で話しかけて来る。
「あぁ、バウマン様の側は、ほんのり涼しい空気が漂っていますのね。 日々の喧噪に疲れた私の心が癒される気がいたしますわ」
そう言って近づいてきて、寄り添うようにとなりに腰を下ろした。
「木が光を遮り、程よく風が拭いているためです。 私の側だからではありませんよ。 ですが、コチラで美しい景色を眺め、心を癒されるといい」
そう言って、バウマンが立ち上がろうとすれば、その腕が取られた。
「……なんですか?」
「いえ、その、一人でいるのが……怖いの」
「では」
婚約者殿を呼んできましょう。 と言う言葉は遮られた。
「お茶1杯分だけでいいの。 私の安らぎとなってくださいませんか?」
そして、学園内は荒れ始めた。
秘密のお茶会の時、公平性を前に『個』として、婚約者を見るようになりソレが問題となると言われていましたが、その問題が徐々に表面化しはじめてしまったのです。
学園内では、男性と女性に分かれて険悪な様相が彼方此方に見られるようになりました。
「あのような無知で口先だけの方が、貴族家当主としてやっていけるのかしら?」
「うちも同じですわ。 自領の特徴も良く理解されておらず、将来が不安になります」
そう言って集まる女性達は、良い領主とは? 良い婚約者とは? そんな、チェックシートまで作り出し採点し、婚約者に突き付ける。
そして男性側も女性をランキングつけし、その上位に位置する女性の理想的な面を婚約者に求める。
お互いが、求めるばかりで険悪な状況を見せていた。
そんな中、バウマン様と言えば、王族相手に個人の実力を見せつけ高く評価を受けたと人気がピークに差し掛かっていた。
「私もバウマン様に、ドレスを作っていただきたいわ~」
近寄ってくる女性の8割がこの言葉と共に近寄ってくる。
ですが、バウマン様にとって不快な音を立て近寄り、要求ばかりを突き付けてくる人は、嫌われても問題ない相手でしかなく返答に容赦はありません。
「貴方には、創作意欲が掻き立てるような美がありません」
令嬢、崩れ落ち、言葉にならない言葉を叫び撤退。
何処からともなく現れて、ぶつかり『婚約者に追われていますの……』なんて涙ながらの出会いを演出しようとする者も少なくはないものの、耳の良いバウマン様はかなり早い段階で回避してしまうため、遭遇すらできておらず……私は令嬢達の嘆きを目にする事になる訳です。
劇的な出会いが駄目と分かった令嬢達は、バウマン様の逃げ場を奪う作戦を取るようになってきました。
「ダンスのステップが、上手くできませんの。 お相手してくださいませんか?」
言えば、すぐに教師が呼ばれた。
教科書を忘れたから、一緒に使わせて欲しいと近寄れば、教科書を貸し出してしまう。
食事を誘われれば、
「食事の時間を、不快に過ごしたくはありません」
等と、ことごとく排除されていた。
正直、ちょっとばかり気分が良かったと言うのは秘密です。
品性を疑われてしまいますからね。
そして私は、バウマン様にとって、自分は特別なんだなと少しだけ幸せになるのです。
とは言え、問題は私にも降りかかってきていました。
男性たちは、何しろ私は婚約者にしたいランキングの上位にいましたからね。
私に対する評価はこんな感じです。
「ベール侯爵令息は、婚約者のサポートがあるから成功できた」
「夫となる者を立てる事無く、不満ばかり言う婚約者はどうなのだろうか? マティル様を見習ってほしいものだ」
「あの、落ちぶれベール侯爵令息がアレほどに大成出来たなら、私ならどれほどの成功を収める事ができるだろう?!」
褒められているのかもしれないが、全く嬉しくはない。
「落ちぶれた侯爵令息などより、私の方が貴方に相応しい……」
話す気にもならず、私は彼等を無視して通り過ぎる事にしている。
そして、このアピールは私達だけが向けられたものではありませんでした。
婚約者と良好な関係を築く人。
王族の方々。
王族の方々は、その職務の内容に『婚約破棄の支援』があるため、私やバウマン様以上に人が集まっているようでした。
が!!
流石、毎回同様の事が繰り返されているだけあって、王族の方々は逃亡。 相談の聞き取りとして同性の上級生がが対応されていました。
「こちらの書面に相談内容を記入し、申請してください。 後日、その相談に対して王族の方々がお返事を返す事になります」
書面には、自身の名前、婚約者の名前、相談内容、そして今後どうしたいと思っているかを記載するようにと書かれているそうだ。
「これは?」
大抵の方は、挙動不審でこう問いかけるそうです。
「大勢の方を1人1人親身になって、対応する事は難しい。 相談内容をお伺いし、その内容に沿った調査を行った上で、早急な相談が必要と思われた人から殿下方が対応していきます。 暴力、暴言、金銭問題がある場合は即刻対応が必要となりますからね。 現状、耐えがたい状況であるなら、隣室で書類を制作する事をお勧めしますが、いかがなさいますか?」
そんな対応が淡々と事務的に行われるから、大抵の人々は申請書類を提出することも出来ないのだと伺いました。
この状況は大抵、気温が下がりだす頃には諦めに入ると言う話でした。
今は我慢……そう思っていたところに事件は起こったのです。
ブラーム様が呼び出しを受け不在としていたある日。
何時ものように庭園でスケッチをしていたバウマンに、熱のこもった女性の声がかけられた。
「バウマン様?」
何故、家名ではなく名を呼ぶのか? そんな疑問は視線に宿る。
「アンベル・ゾンダーハ伯爵令嬢」
彼女ほどの美しい女性であれば、我儘を言われるのも嬉しい。
男のやる気を上手く刺激する女性。
彼女のためなら、自身を磨き上げる事もやりがいとなる。
入学式典以前からそのような噂が耐えない方。
婚約者の方とも良好な関係を築いており、幾度か食事やお茶を共にしたこともある方で、少しだけ気も緩んでいたのかもしれません。
「今日も暑いですわね」
「えぇ」
「今日もスケッチですか?」
その声はとても熱のこもった声。
「はい」
側に寄ってきた女性は、不愛想に対応されつつも、柔らかくも熱い声で話しかけて来る。
「あぁ、バウマン様の側は、ほんのり涼しい空気が漂っていますのね。 日々の喧噪に疲れた私の心が癒される気がいたしますわ」
そう言って近づいてきて、寄り添うようにとなりに腰を下ろした。
「木が光を遮り、程よく風が拭いているためです。 私の側だからではありませんよ。 ですが、コチラで美しい景色を眺め、心を癒されるといい」
そう言って、バウマンが立ち上がろうとすれば、その腕が取られた。
「……なんですか?」
「いえ、その、一人でいるのが……怖いの」
「では」
婚約者殿を呼んできましょう。 と言う言葉は遮られた。
「お茶1杯分だけでいいの。 私の安らぎとなってくださいませんか?」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる