【R18】双子の妹を愛するナルシストな婚約者は、大切な妹の代わりに婚約者である私を悪魔公の元に嫁入りさせる

迷い人

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09.贅沢と屈辱

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 馬車が乱暴にとめられ、時間の大半を寝て過ごしていたノエルが目を覚ました。

 馬車は、途中経由した村や街で一時停止することはあった。 だけど、それは馬を変え、最低限の物資調達を行う事を目的としていただけの時間。 馬車を操作している御者は複数おり、その者達は皆復讐を恐れるように気配を消し、声を上げることはない、それでも彼等は何時も慌てていた。

 だけど、今は違う。

 馬車は完全に止まり、人が離れ、そしてシバラクの間を置いて人がやってきた。

 ガシャンっと大きな音を立て金属が崩れ落ちるような音がした。 魔術で封じられていた鍵が解かれたのだろう。 扉が開かれた先には、術式が一面に描かれた真っ黒の布袋で全身を覆うような衣装?を着た者達が5名ほど。 目、鼻と口部分には穴をあけ、メッシュ生地が当てられておりソコにも術式が描かれている。

 1人が他の者達に留まるように手で制する。

 明らかにアヤシイ人達。
 悪魔崇拝?

 無駄だと知りながらも隅に隠れようとすれば、足につけられた鎖が引かれ、踏ん張り、力が抜かれたところで慌てて扉へと歩いていった。

「早く出なさい」

 厳しい女性の声。

 その背後からは、ボソボソとした女性の声がした。

「おや、ずいぶんと弱っているようじゃないの」
「暴れだすものだとおもっていました」
「油断させているだけかもしれない」
「主の許可がでるまで情けは無用だ」

「アナタ達は少し静かになさい。 そしてフレイ様……大人しくしている限りは、乱暴なことはしません」

 私はフレイじゃないと首を横に振ろうとしたが、大人しくするもんか! と、捉えられてもイヤで大人しく従う事にした。

 両手の動きを最低限に抑えるための手錠。
 動きを阻害するための足環。
 声を封じるための首輪。

 そして私には効果がないレイバ家の能力を封じる水の封じ。 フレイと違い私は怪力な訳ではない。 物理的な重さだけでも十分参っていた。 最低限の動きすらやっとな状況で虐められては冗談ではないと言うものだ。

 私は大人しくするとコクコク頷き従うと伝える。

 状況が把握できないながらも、ここの人達は私をフレイだと思っているようで、色々誤解を解きたいと思うが、何しろ声が出ない。 何れチャンスもあるだろうと思っていたが……。

 風呂に入れられ、肌のケアがなされる。 髪の手入れをする間、紅茶とサンドイッチを貰った。 柔らかなパン、新鮮な具材に泣きそう。 至れり尽くせりとはこういう事をいうのでしょうね。

 これもフレイと勘違いされているから。 そう思えば余計に状況が理解できなくなる。

 髪を整え、滑らかな肌触りの下着、身体を補正するためのコルセット。

「あら、サイズが……お家から送られてきた者だと言うのに」
「困ったわね。 これではドレスもブカブカですわ」

 フレイはフランと入れ替われる程度に身体が大きい。 まぁ、フランが小柄と言うのもあでしょうけど……。 そんなフレイの服を私が着ようとしても、ブカブカなのは当然のこと。

「……まぁ、今まではどんなワガママも通ってきたお嬢様だと言うじゃない。 自由奔放で、男癖が悪く暴れ者。 親が捨てるほどの娘がこのような目に合えば、痩せるのも仕方がないというものですわね」

 同情は一切混ざらぬ声だった。

「ですが……どうしましょう?」
「なんとか修正を」
「修正でどうこうなるサイズでは」
「せめて美しいドレスで……」
「えぇ、なんとかしてさしあげましょう」

「同情してはダメです。 その気になれば片手一つで人を殺す。 いえ、睨みつけるだけで殺しが可能だと聞いています」

 そう1人の女性が声をあげれば、あぁ……と恐怖に震える声が響いた。

「ですが、公爵に仕える私共、用心はしても恐怖する必要はありません!」

「はい!!」

 よくわからないが、彼女達なりに色々な事情があるのだろう。 サイズの合わない……多分、ウエディングドレスは、リボンやら花の装飾品などをあしらい必死に誤魔化し形にされた。

 そして、大きな部屋のベッド側に足につけられた鎖を、魔術的に固定される。 最低限自分の事が出来るようにと体の前面で繋がれていた手錠は、後ろ手に繋ぎなおされた。



 部屋の姿見から見える自分の姿が惨めだった。
 美しいがサイズが合わず誤魔化されたドレス。
 あちこち拘束まみれな挙句、鎖で繋がれた姿。

 心地よい風呂に、贅沢をつくしたおていれから一変して訪れた惨めな状況。

 この惨めさは本来フレイが受けるべき屈辱だったのだと思えば、なぜ私が!!と、余計に悔しかった。 それでも話を聞いてくれる者はいない。

 頑固なまでに血統能力を封じ込めようとしている術式により、髪と瞳の色がフレイと違っても誰もオカシイと思わないのだ。

流石にベッドの上に座る気にもならず、鎖の伸びるところまで壁沿いに移動し膝をかかえて休むことにした。
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