24 / 82
4章 化け物聖女
24.飛んで火にいる夏の虫
しおりを挟む
結局、聖女と言う存在に代理を立てる事は無かった。 既にアリアメアによって民は裏切られている。 まぁ、それは公爵と陛下が悪いのだけど……。
同じように代理聖女を立て、万が一にも直接救いを代理聖女に申し出てくる者が現れれば神官魔法が使えたとしても魔力そのものの供給が出来る訳ではないのでバレかねない。 公爵が言ったように誘拐しようと言う者も出るかもしれない。
偽物と分かれば、三度目の聖女を民は信用するだろうか? と、言う事になった。
だからと言って、オープンの場は控えたいと言うのは、統一見解。 今の私は公爵の庇護下にあるけれど、王家の庇護下にはない。
態度が悪かったと言えばその通りだけれど、化け物と言われ頭を下げながら道具としてお使い下さいと言う気に等なれるはずもない。
結果として、
その力を王家に捧げぬ不心得者。
王子を、未来の王を悩ませる問題児。
あのような化け物が聖女であるはずがない。
救いではなく民を惑わそうとしている。
ならば化け物を退治しても何が悪いと言う者も既にいるらしく、公爵が貴族の元に個人的に出向いて話し合いをしている……と言う事だった。
『だから、守れるところにいて下さいね』
そう公爵は言うのだ。
とは言え、コレはなんだか違うと思う。
現在、私達はミカゲ先生と公爵の3人でご飯を食べに行った帰り、馬車で公爵家に帰ろうとしたところで襲われた。 で、今、私は公爵の背中にいる。 こう両腕の力で首にしがみつきブンブン振り回されている。
よくこの状況で戦える者だなと感心するが、
「私を背中用の防具として使って暗殺をしようとお考えですね!!」
「そんな事しませんから!! 大人しく黙ってつかまっていてください!!」
いや、ブンブンされるのが楽しくてちょっとテンションが上がる。 あと、一応防御魔法は使っていると言うか、やっぱり魔法は苦手で、防御魔法で作った風の盾のはずが、人間がめり込んで動けなくなっていた。
どういうこと?
「この状況で何を遊んでいるんですか!!」
そういうのはミカゲ先生。
公爵はそこそこ強いらしく、5人ほどの暴漢を鞘でぶん殴っている。 骨までいっている音がするがきっと気にしたら負け。 ミカゲ先生は部厚い書籍を武器に戦っていた。 緊迫感なくて、私もブンブン振り回されるのが少し楽しくて、思わずきゃっきゃしながら振り回されていたら。 最後はちょっと強くて手のかかる相手だったらしく……。
「よ~し、高いたか~い!!」
なんて、凄い勢いで空中に放り投げられた。
「うぉい!!」
ビックリしたが、精霊ギルドから調査用としてついてきていた精霊が空中で私を受け止めてくれたから、そのまま空中で事が収まる事を見守った。
「エリアルさまぁ~」
公爵に呼ばれれば、やっぱり何故か、様と呼ばれるのは腹が立つから、私は精霊の手から離れてフォローも無く落下した。 慌てた顔で公爵が受け止めれば、かなりの衝撃だったのか蹲る。
「ちょ、マジ、心臓に悪いからやめて」
「私が死ぬわけないでしょう。 父様がいるんだから」
「うん、そうだね」
ヘラリと血まみれで笑うのがちょっと怖い。 一応、血は返り血でケガはない。
「親子でイチャイチャしているのはほどほどに手伝って頂けませんか?」
冷ややかな視線は、公爵へとむけられた。
「どうしたの先生!」
「ここの3人がやり過ぎて9割死にそうだから6割ぐらいに抑えてもらえませんか?」
それは……全回復させずに3割回復に抑えろと?
「加減が難しそう」
何しろ、回復系の力を使えば、100の回復を300ぐらい回復しちゃうほど、魔法を使うの下手だから。
「えぇ、知っていますよ。 だから良い練習になるかなと思いまして」
「動かなければ、もっと上手に切る事が出来ます。 できるようになるまで練習すれば良いじゃないですか」
正直、引いた。 怖い人達だと思った。 多分きっと震えていたと思う……。
「あぁ、申し訳ありません。 血がこんなに流れては怖いですよね。 なるべく切らずに折るように気を付けたのですが」
公爵が言えば、ミカゲ先生がフォローにならないフォローをする。
「ですが、血も慣れておいた方がいいでしょう。 王族とかかわると言う事は、それこそ汚れの中に身を置くと言う事だから」
「大丈夫、大丈夫ですよ。 私の聖女。 私が貴方を守ります。 だから、怯えないで……」
そうして公爵は、返り血に濡れながら私を抱きしめる。 怖いのは血? 襲ってきた人? それとも私を大切だと言う大人達? 私は、たぶん、初めて人を怖いと思った。 なぜ、彼等ばかりが怖いのかは分からないまま、私は……生きた人間を魔力制御訓練に使った。
なんだか、とても、疲れた……。
同じように代理聖女を立て、万が一にも直接救いを代理聖女に申し出てくる者が現れれば神官魔法が使えたとしても魔力そのものの供給が出来る訳ではないのでバレかねない。 公爵が言ったように誘拐しようと言う者も出るかもしれない。
偽物と分かれば、三度目の聖女を民は信用するだろうか? と、言う事になった。
だからと言って、オープンの場は控えたいと言うのは、統一見解。 今の私は公爵の庇護下にあるけれど、王家の庇護下にはない。
態度が悪かったと言えばその通りだけれど、化け物と言われ頭を下げながら道具としてお使い下さいと言う気に等なれるはずもない。
結果として、
その力を王家に捧げぬ不心得者。
王子を、未来の王を悩ませる問題児。
あのような化け物が聖女であるはずがない。
救いではなく民を惑わそうとしている。
ならば化け物を退治しても何が悪いと言う者も既にいるらしく、公爵が貴族の元に個人的に出向いて話し合いをしている……と言う事だった。
『だから、守れるところにいて下さいね』
そう公爵は言うのだ。
とは言え、コレはなんだか違うと思う。
現在、私達はミカゲ先生と公爵の3人でご飯を食べに行った帰り、馬車で公爵家に帰ろうとしたところで襲われた。 で、今、私は公爵の背中にいる。 こう両腕の力で首にしがみつきブンブン振り回されている。
よくこの状況で戦える者だなと感心するが、
「私を背中用の防具として使って暗殺をしようとお考えですね!!」
「そんな事しませんから!! 大人しく黙ってつかまっていてください!!」
いや、ブンブンされるのが楽しくてちょっとテンションが上がる。 あと、一応防御魔法は使っていると言うか、やっぱり魔法は苦手で、防御魔法で作った風の盾のはずが、人間がめり込んで動けなくなっていた。
どういうこと?
「この状況で何を遊んでいるんですか!!」
そういうのはミカゲ先生。
公爵はそこそこ強いらしく、5人ほどの暴漢を鞘でぶん殴っている。 骨までいっている音がするがきっと気にしたら負け。 ミカゲ先生は部厚い書籍を武器に戦っていた。 緊迫感なくて、私もブンブン振り回されるのが少し楽しくて、思わずきゃっきゃしながら振り回されていたら。 最後はちょっと強くて手のかかる相手だったらしく……。
「よ~し、高いたか~い!!」
なんて、凄い勢いで空中に放り投げられた。
「うぉい!!」
ビックリしたが、精霊ギルドから調査用としてついてきていた精霊が空中で私を受け止めてくれたから、そのまま空中で事が収まる事を見守った。
「エリアルさまぁ~」
公爵に呼ばれれば、やっぱり何故か、様と呼ばれるのは腹が立つから、私は精霊の手から離れてフォローも無く落下した。 慌てた顔で公爵が受け止めれば、かなりの衝撃だったのか蹲る。
「ちょ、マジ、心臓に悪いからやめて」
「私が死ぬわけないでしょう。 父様がいるんだから」
「うん、そうだね」
ヘラリと血まみれで笑うのがちょっと怖い。 一応、血は返り血でケガはない。
「親子でイチャイチャしているのはほどほどに手伝って頂けませんか?」
冷ややかな視線は、公爵へとむけられた。
「どうしたの先生!」
「ここの3人がやり過ぎて9割死にそうだから6割ぐらいに抑えてもらえませんか?」
それは……全回復させずに3割回復に抑えろと?
「加減が難しそう」
何しろ、回復系の力を使えば、100の回復を300ぐらい回復しちゃうほど、魔法を使うの下手だから。
「えぇ、知っていますよ。 だから良い練習になるかなと思いまして」
「動かなければ、もっと上手に切る事が出来ます。 できるようになるまで練習すれば良いじゃないですか」
正直、引いた。 怖い人達だと思った。 多分きっと震えていたと思う……。
「あぁ、申し訳ありません。 血がこんなに流れては怖いですよね。 なるべく切らずに折るように気を付けたのですが」
公爵が言えば、ミカゲ先生がフォローにならないフォローをする。
「ですが、血も慣れておいた方がいいでしょう。 王族とかかわると言う事は、それこそ汚れの中に身を置くと言う事だから」
「大丈夫、大丈夫ですよ。 私の聖女。 私が貴方を守ります。 だから、怯えないで……」
そうして公爵は、返り血に濡れながら私を抱きしめる。 怖いのは血? 襲ってきた人? それとも私を大切だと言う大人達? 私は、たぶん、初めて人を怖いと思った。 なぜ、彼等ばかりが怖いのかは分からないまま、私は……生きた人間を魔力制御訓練に使った。
なんだか、とても、疲れた……。
8
あなたにおすすめの小説
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる