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15.忘れていた記憶の底
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私は一度死んで別人、いえ別幻獣として生きている。 ならば、過去の従姉妹など相手をする必要などないのでは? と考え、私はダイアナを無視して視線をディルクへと向け微笑んだ。
私は、彼の幻獣として彼だけを見つめる。
チュッと額に口づけられる。
「可愛いよ」
周囲の騒めきを無視したディルクの言葉。
ロイスは静かに溜息をつき、肩を落としボソリと呟いた。
「騒動を起こさずにはいられないのですか……」
そんな声に、ディルクはニッコリと優しく微笑めば、ロイスは改めて深い溜息をついた。
「何を無視しているのよ!!」
私の手を掴もうと伸ばされるダイアナの手、ディルクは厳しい表情でそれを払い落とした。
「俺のパートナーに勝手に触れるな」
冷たい声と共に向けられる冷ややかな視線。 先ほどの甘い微笑みとの対比は見る者の肝を冷やすには十分だった。 ディルクとティアを目にした者達、特に竜信仰を未だ胸に抱く者にとって、恐怖と共に湧き上がる歓喜を抑える事ができず、複雑な表情を人々が浮かべていた。 大声を出して『我らが王よ』と叫びたいのを抑え、竜への信仰を持つ者達は次々とひれ伏していく。
一度は怯んだ黄金髪の美しい少女ダイアナだが、ティアの髪の中に見え隠れする角を見れば息を飲んだ。 キラキラと魔力に輝く姿ではなく、その角が持つ生き物への恐怖でもなく、ダイアナにはティアの黄金色をした角はそのまま黄金に見えているのだ。
「その者は、私の従姉妹ルーナですわ。 ここにいる多くのものが証明できるでしょう」
「何をもって証明する? コレは俺が自ら卵を孵化させ育てている幻獣。 なぁ、ティア。 オマエの主は誰だ?」
頬を撫でられたティアは、ディルクに微笑みながらすり寄って見せた。
「ディルク様でございます」
チッと舌打ちをしたダイアナは、周囲に膝をつく者達に大声をあげた。
「アナタ達!! アレはグラント子爵家が所有する幻獣であると証明なさい」
ダイアナの声に叱咤が飛ぶ。
「なんとも恐れ多い。 竜の娘は誰の者にあらず、我らこそが竜の娘の者であると言うものを」
「それにグラント家では、彼女は死んだと言っていたじゃないか」
「そうだ、聖女信仰に仇を成すものとして、天罰を受けたと言っておりましたとも」
「だからこそ我々は、聖女信仰に下った!!」
ダイアナは、隠れ竜信者たちがどのような思いを胸に竜の娘を見ていたかなど知らない。 どれほど心のよりどころにしていたのかを知らない。 当時のティアが幼かったようにダイアナもまた幼く、大人たちにチヤホヤされているのが気に入らなかっただけ。
それでもティアを、ルーナと呼ばれていた者の情報を売る事で、大金を得てから彼女は変わった。
「何よ!! 乱暴で暴力的な竜信仰は、この国を衰退させると聖女様、王妃様が預言されていることを知らない者はいないでしょう!! ここに膝をついた者達は全員、罰せられればいいわ!!」
思惑と違ったことにダイアナは混乱し、ヒステリックに喚きながら走り去っていく。 そして、次に戻ってきた時には、この国の国王夫婦と一緒だった。
「おや、薄汚い血みどろの竜モドキが、聖なる場によくぞ図々しくも顔をだせましたね」
王妃がにこやかにディルクに言えば。
「お褒めの言葉ありがとうございます。 ですが、こちらが北方との争いを交渉で治めようとしているにもかかわらず、その交渉を邪魔してくるアナタ直属の騎士に比べれば、私の働きなど大したことありませんよ」
全く会話がかみ合っていないことにティアは困惑し、頼るように視線をロイスに向ければ、彼は苦笑と共に肩をすくめて見せた。
「そなた……なぜ、わらわが献上を受けた竜の娘を伴っておる?」
「コレは俺が卵から育てたものですよ。 先ほどから、同じような話を聞きますが同じ親を持つ竜の子は似たような容姿なのですかね?」
「とぼけるでないわ。 目の前で切り落とさせた角。 削ぎ落とした鱗。 その美しさを忘れる訳あろうか。 なぁ、そなたもそうであろう?」
ニタリとした表情で、私を見つめてくる瞳。
私はその瞳に覚えがあった。
「煩い叫び声、醜い泣き顔、今でもよぉ覚えておる。 ぴくぴくとしながら、トカゲのように変質していく様はまことに無様じゃった。 あのように暴れ狂い、人を殺しておきながら、オマエは忘れてたと言うのか? わらわの大切な信者を殺しておいて、忘れたというのか? そなたのような存在価値のないトカゲに価値を与えてやって、わらわを忘れたというのか? だが、わらわは神に愛された聖女、寛容をもってそなたを許そうぞ!」
「ぁあ、あぁああああああああ」
脳裏で思い出すのは、袋に詰められ、口を塞がれ、角を切り取られ、全裸にむかれて鱗の1枚も残らず剥がされた幼い頃の思い出。
「いやぁああああああああ」
ティアが絶叫すれば、周囲の精霊が反応する。
「はっはははっははは、その脅威をわらわに向けるか!! 前回はトカゲそのものになれるとは知らず大損をしてしまったからな。 いい、いいぞ、醜い姿をあらわせ、恐怖を体現せよ!! そして我が騎士達の強さを示すための敵となれ! トカゲ等無意味なものだと知らしめすには丁度良い機会じゃ。 暴れるトカゲを捉えて、その身を解体せよ、タテガミの1本、血の一滴まで有益に使ってやろうぞ」
王妃の叫びが、ティアの叫びにかき消される。 だが、叫ぶティアの唇を乱暴にディルクが塞いだ。 ティアが暴れて、引っかき、噛みついても、ディルクは抱きしめ、そして宥めた。
「いい子だ、怖がる必要などない。 今は俺がいる。 俺が守るから怯えることはない」
「ぁ……、ごめんなさい……」
「何、構わんよ。 なにしろ俺は君の親で恋人なのだから」
唇を噛まれた際に流れた血をディルクは唾液とまぜ、ティアとの口づけの際にその口に流し入れた。
「可愛い可愛いティア。 怖いなら懐においで」
スーツの前を開けられれば、私は言葉に甘える事にした。 いつも以上に小さなサイズのそれこそトカゲサイズの竜になった私は、彼の内ポケットに潜り込む。
「王妃様を邪魔するなんて、敵対意思を露わにするなんて! とんでもない奴だわ!!」
ダイアナはディルクに向かって叫んだ。
私は、彼の幻獣として彼だけを見つめる。
チュッと額に口づけられる。
「可愛いよ」
周囲の騒めきを無視したディルクの言葉。
ロイスは静かに溜息をつき、肩を落としボソリと呟いた。
「騒動を起こさずにはいられないのですか……」
そんな声に、ディルクはニッコリと優しく微笑めば、ロイスは改めて深い溜息をついた。
「何を無視しているのよ!!」
私の手を掴もうと伸ばされるダイアナの手、ディルクは厳しい表情でそれを払い落とした。
「俺のパートナーに勝手に触れるな」
冷たい声と共に向けられる冷ややかな視線。 先ほどの甘い微笑みとの対比は見る者の肝を冷やすには十分だった。 ディルクとティアを目にした者達、特に竜信仰を未だ胸に抱く者にとって、恐怖と共に湧き上がる歓喜を抑える事ができず、複雑な表情を人々が浮かべていた。 大声を出して『我らが王よ』と叫びたいのを抑え、竜への信仰を持つ者達は次々とひれ伏していく。
一度は怯んだ黄金髪の美しい少女ダイアナだが、ティアの髪の中に見え隠れする角を見れば息を飲んだ。 キラキラと魔力に輝く姿ではなく、その角が持つ生き物への恐怖でもなく、ダイアナにはティアの黄金色をした角はそのまま黄金に見えているのだ。
「その者は、私の従姉妹ルーナですわ。 ここにいる多くのものが証明できるでしょう」
「何をもって証明する? コレは俺が自ら卵を孵化させ育てている幻獣。 なぁ、ティア。 オマエの主は誰だ?」
頬を撫でられたティアは、ディルクに微笑みながらすり寄って見せた。
「ディルク様でございます」
チッと舌打ちをしたダイアナは、周囲に膝をつく者達に大声をあげた。
「アナタ達!! アレはグラント子爵家が所有する幻獣であると証明なさい」
ダイアナの声に叱咤が飛ぶ。
「なんとも恐れ多い。 竜の娘は誰の者にあらず、我らこそが竜の娘の者であると言うものを」
「それにグラント家では、彼女は死んだと言っていたじゃないか」
「そうだ、聖女信仰に仇を成すものとして、天罰を受けたと言っておりましたとも」
「だからこそ我々は、聖女信仰に下った!!」
ダイアナは、隠れ竜信者たちがどのような思いを胸に竜の娘を見ていたかなど知らない。 どれほど心のよりどころにしていたのかを知らない。 当時のティアが幼かったようにダイアナもまた幼く、大人たちにチヤホヤされているのが気に入らなかっただけ。
それでもティアを、ルーナと呼ばれていた者の情報を売る事で、大金を得てから彼女は変わった。
「何よ!! 乱暴で暴力的な竜信仰は、この国を衰退させると聖女様、王妃様が預言されていることを知らない者はいないでしょう!! ここに膝をついた者達は全員、罰せられればいいわ!!」
思惑と違ったことにダイアナは混乱し、ヒステリックに喚きながら走り去っていく。 そして、次に戻ってきた時には、この国の国王夫婦と一緒だった。
「おや、薄汚い血みどろの竜モドキが、聖なる場によくぞ図々しくも顔をだせましたね」
王妃がにこやかにディルクに言えば。
「お褒めの言葉ありがとうございます。 ですが、こちらが北方との争いを交渉で治めようとしているにもかかわらず、その交渉を邪魔してくるアナタ直属の騎士に比べれば、私の働きなど大したことありませんよ」
全く会話がかみ合っていないことにティアは困惑し、頼るように視線をロイスに向ければ、彼は苦笑と共に肩をすくめて見せた。
「そなた……なぜ、わらわが献上を受けた竜の娘を伴っておる?」
「コレは俺が卵から育てたものですよ。 先ほどから、同じような話を聞きますが同じ親を持つ竜の子は似たような容姿なのですかね?」
「とぼけるでないわ。 目の前で切り落とさせた角。 削ぎ落とした鱗。 その美しさを忘れる訳あろうか。 なぁ、そなたもそうであろう?」
ニタリとした表情で、私を見つめてくる瞳。
私はその瞳に覚えがあった。
「煩い叫び声、醜い泣き顔、今でもよぉ覚えておる。 ぴくぴくとしながら、トカゲのように変質していく様はまことに無様じゃった。 あのように暴れ狂い、人を殺しておきながら、オマエは忘れてたと言うのか? わらわの大切な信者を殺しておいて、忘れたというのか? そなたのような存在価値のないトカゲに価値を与えてやって、わらわを忘れたというのか? だが、わらわは神に愛された聖女、寛容をもってそなたを許そうぞ!」
「ぁあ、あぁああああああああ」
脳裏で思い出すのは、袋に詰められ、口を塞がれ、角を切り取られ、全裸にむかれて鱗の1枚も残らず剥がされた幼い頃の思い出。
「いやぁああああああああ」
ティアが絶叫すれば、周囲の精霊が反応する。
「はっはははっははは、その脅威をわらわに向けるか!! 前回はトカゲそのものになれるとは知らず大損をしてしまったからな。 いい、いいぞ、醜い姿をあらわせ、恐怖を体現せよ!! そして我が騎士達の強さを示すための敵となれ! トカゲ等無意味なものだと知らしめすには丁度良い機会じゃ。 暴れるトカゲを捉えて、その身を解体せよ、タテガミの1本、血の一滴まで有益に使ってやろうぞ」
王妃の叫びが、ティアの叫びにかき消される。 だが、叫ぶティアの唇を乱暴にディルクが塞いだ。 ティアが暴れて、引っかき、噛みついても、ディルクは抱きしめ、そして宥めた。
「いい子だ、怖がる必要などない。 今は俺がいる。 俺が守るから怯えることはない」
「ぁ……、ごめんなさい……」
「何、構わんよ。 なにしろ俺は君の親で恋人なのだから」
唇を噛まれた際に流れた血をディルクは唾液とまぜ、ティアとの口づけの際にその口に流し入れた。
「可愛い可愛いティア。 怖いなら懐においで」
スーツの前を開けられれば、私は言葉に甘える事にした。 いつも以上に小さなサイズのそれこそトカゲサイズの竜になった私は、彼の内ポケットに潜り込む。
「王妃様を邪魔するなんて、敵対意思を露わにするなんて! とんでもない奴だわ!!」
ダイアナはディルクに向かって叫んだ。
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