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恋心

35.よくじょう 05

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 あんなのがお腹の中に入るとは思えなかった。 それでも、薬が身体に馴染み下腹部に熱を帯びれば、中をジックリと攻めてくる指がもどかしい程に疼きを覚えた。

「腰、動いているぞ」

 小さな笑いがディック様から漏れ、その動きはどんどん激しくなり、長い指がお腹の奥を抉るように深く触れてくる。

「ぁ、んっ、やぁ」

「いやか?」

 カラカウようなディック様の笑いが耳をくすぐる。 気づけばもっと欲しいと本能が訴えていた。 満たされない……そんな焦燥が胸をしめる。 私は涙を浮かべ首を横に振った。

「いや、じゃない」

「カワイイな」

 安心さえるようにチュッと頬に口づけられるが、その間も下腹部の刺激が留まる事は無く、私はディック様の首元に両腕を回し抱き着けば左手で抱き起こされ抱きしめられる。

「ぁ、ぁ、ん、ふぅ……。 ディックさまぁ、つらぃよぉ。 中が……中が……」

 必死に訴えれば唇が塞がれ、口内が舐められ、食まれ、どんどん追い詰められるのに、どこか満たされないじれったさがあった。 舌を絡めどこまでも求め離された唇が唾液の糸を引く。

「いい子だ。 そんなに急ぐな。 ちゃんと感じられるようにならないと辛いのはリーリヤだぞ」

「でも、つらい……」

 訴えればチュッと唾液を舐めとるような口づけをされ、優しくベッドに寝かせられ、額に、目がしらに、唇に優しく口づけが落とされた。

 甘い、甘い感触も、今は物足りない。

「おねがい、ディックさまぁ」

「あぁ」

 蜜を溢れさせた肉の花弁に固く太い肉の棒が押し当てられ、私は期待と恐怖に震えディック様にしがみつけば、濡れた中が押し広げられ、熱く疼く肉の壁が擦られ固い肉の棒が私の中を押し進める。

「んっ、ぁ……、もっと、奥に……」

 疼きを覚える中が擦られ、その気持ちよさに、もっと、もっとと期待し私の心は懇願していた。 甘え蕩けた脳裏、潤んだ瞳で甘える。

 なぜ私は赤ん坊を求めているだけなのに……頭の中がオカシクなっていく……怖い……怖いのに……

「ディックさまぁ、きもちいいよぉ~」

「あぁ、可愛い……いい子だ」

 熱のこもったディックの声は掠れ甘い吐息が混ざり、苦し気に眉間が寄せつつ、深く奥を叩きつけるようにリーリヤの腰を引き寄せられた。

「ん、あっ、あぁぁぁ……っ!」

 強い圧迫感、痛みを超える快楽にのけ反り私は甘い叫びをこぼしてしまう。 じりじりと疼くお腹の奥がぐりぐりと押し付けられ、快楽を逃がすまいとするように私の中は収縮を繰り返す。

 辛い……。

 自分の身体なのに、欠片も思い通りにならない感覚……怖い……そう思いながらも愉悦に涙が溢れていた。

 リーリヤの反応を見ながら、中をゆっくりと擦り、奥を抉るように押し当てるディック。 快楽に溺れるリーリヤが愛おしく、可愛らしく、狂おしく、未熟な快楽に気遣うように、濡れた頬に張り付く髪を、頬を撫でるように退かされた。

 私の内側は快楽に熱く腫れビクビクと痙攣し、容赦なくディックを甘く切なく締め上げていく。 ディックは小さな呻き声を漏らし、幼い頃の呼び名でリーリヤを呼ぶ。

「リリ……」

 頭の中が痺れる。

「ディ、兄様……」

 リーリヤの潤み、甘え、色香を纏う視線がディックに向けられれば、ディックの理性に限界が来ていた。 熱く濡れた中を穿つ動きが徐々に速度を上げ、自らの快楽を欲望のままに満たしていた。

「ぁ、んっ、ん、、ぁ、ダメ、怖い」

 狂いそうになる……怖い……。 逃げ出すように身体を捩れば、中が捩じられお互いに強い刺激を受ける事になる。

「くっ、ぅ……いけない子だ」

 逃げようとする腰をしっかりと捕まえ、ディックは快楽を追い上げ激しさを増していく。

「渡すものか……」

 何を? 問う事は出来なかった。

「ひっ、くぅっ……。 ぁっ、んっふぅ……あぁあっ!」

 リーリヤの甘い声が絶頂を伝え、助けを求めるかのように伸ばされた手を、指を、絡めとり繋がれた。 絶頂を迎えてもその行為は終わる事無く、容赦なく深く抉られ打ち付けられ、そのたびに蜜が溢れ出ていやらしい水音を立てていく。

「いや、あぁっ! また、また……オカシクなっちゃう、ああぁ……っ!」

「あぁ、何度でもイクといい」

 熱を帯び乾いたディックの声もまた色香を帯びていた。

 繰り返される快楽にのけ反り、繋がれた手が外れれば胸のふくらみ先端の果実が指先でこすられ、押しつぶされ、はじかれた。 痛みを伴うほどの乱雑な扱いも今のリーリヤには快楽でしかない。

 快楽に2人は酔い狂う。

 甘い声に喘ぎに嗚咽が混ざり、潤んだ瞳が甘えたようにディックを見つめれば、嗜虐心が刺激された。

 ディックはリーリヤの耳に甘く歯を当て、濡れた蜜壺はその中をまんべんなく堪能するかのように押し付け、胸のふくらみを揉みし抱きながら、汗に濡れた耳裏から首筋に舌を這わせ、首筋に甘く歯を当てた。

 優しさも、乱暴な様子も、その声すら、リーリヤの快楽を刺激し、心も体も心地よさに狂っていく。

「あぁ、ぁっ、んっ、ディ兄様、兄様……」

 幼い頃の呼び名で呼ばれれば、無邪気に欲のままに相手を求めていた頃の心のままにリーリヤはディックを求めていた。

「……くっ、ぁ、リリ、いい子だ、余り締め付けるんじゃない」

 苦し気なディックの色香漂う声色に、リーリヤの赤味を帯びていた白い柔肌が一層赤くなっていく。 短い呼吸に合わせて甘い喘ぎを漏らすリーリヤの声に興奮すれば、必死に耐えてきたディックの理性が切れそうになる。 欲情に対する耐性は長の呪いによって鍛えられてきた。 つもりだったが、自分の手によって乱れるリーリヤの姿、声にディックは眩暈を覚えた。

 理性の欠片が崩壊する。

 肉欲のままに腰を打ち付け快楽に身を任すディック。 淫靡な水音、肉が打ちあう音が激しく鳴り響き、乱暴ともいえる動き、こすれ合う肉、お腹の奥に感じる鈍い痛みにすらリーリヤは快楽を覚えていた。

「ぁ、ぁ、ぁ……」

 与えられる快楽に合わせ甘えた声を漏らしつつ、翻弄する快楽に必死に耐えるようリーリヤはシーツを握りしめれば、ディックはリーリヤの手を取り指を絡め奥深くに深く打ち付けた。

「あっ、ああぁぁ――っ!」

「くっ……」

 リーリヤは弓なりに身体を反らし、四肢にぎゅっと力が入り、力が抜けるが、身体の内側はヒクヒクと痙攣し続けており、甘く愉悦に溶けた目でディックを見つめていた。

 ディックはリーリヤをその腕にかき抱き、ディックはリーリヤの奥深くに熱を放った。

「んっ、中が……」

 お腹の奥に放たれた熱を愛おしそうにリーリヤはお腹を撫でながら瞳を閉じせば、ディックはリーリヤの余韻を奪うように口づけ、掻き寄せるように身体を抱きしめる。

「あぁ、リーリヤ。 俺のカワイイ子」

 赤く染まっていた瞳は、徐々にその色が黒へと戻って行く。 汗に濡れた身体で抱き合い口づけあう。

 荒れる呼吸のまま、私はディック様に聞いた。

「これで、子が出来るの?」

 ボンヤリとしたリーリヤの甘い声に、ディックはお互いの視線を交わさぬようにリーリヤを抱きしめればディックの声はわずかな険を含み短く答えた。

「あぁ……」

「そう……」

 リーリヤは嬉しそうに微笑んでいた。 例えそこに愛情がなくとも、自分はディック様の子を愛し、愛される事が出来ると思えば幸せだった。

「ありがとう」

 リーリヤは心の底から微笑んだ。
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