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31.もたらされた有益(?)な情報
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『あら? 私よ?』
グニャリと形が歪み私が良く知る黒姫の姿となれば、ようやく緊張が解け、飛んでいった巨大な狼を眺める事が出来た。
「やりすぎでは?」
『そんなことはないわ。 うちの子に手を出すなんて許される訳ないじゃない』
「それはなんか違う気がする。 彼には敵意が無かったし?」
『違わないわよ』
「むしろ、私はアッチに脅威を感じるのだけど?」
ゴゴゴゴゴなんて音をたて、空から凄い勢いでドラゴンが飛んで来くる。 まだ遠いはずなのに、風が木々を大きく揺らしついでに私まで飛ばされそうで、黒姫の背後に回り抱き着き身を守った。
まぁ、人型の黒姫、いえ女性型の黒姫は私より背が低いんですけどね。
『うちの魔王だけど、見た事無かった?』
「あるけど、私、何か怒らせた?」
流石にアノ勢いで自分に向って飛んでこられれば、怖くなると言うものだ。 逃げても無駄だと思うから逃げはしないけど。
『犬でも、食べたかったんじゃない?』
「魔物の事情に何かを言う気はないけど。 できるなら、目につかないところで食事は済ませて欲しい……」
『まぁ、それぐらいの配慮はさせましょう』
「よろしくお願いします」
なんて言っている間に、ソロリソロリと逃げ出しそうなワンコ……もはやワンコとしかいいようのない状態のソレは逃げ出してしまったけど、逃げられる訳もなく10分ぐらい後に大型犬サイズまで縮小されたワンコの首根っこを持ったルシェ(人型)が戻ってきた。
『あら、食べなかったの?』
『有益な情報をもたらしたと言う事で配慮した』
と言う割には、浮かない表情。
『何?』
私をチラリと見たかと思えば大きな溜息をつかれた。
はいはい邪魔なんですねと、声には出さず私はその場を後にした。
『ぁ……』
何か聞こえたような、聞こえなかったような? 面倒臭いのでその場から飛び去る速度を速めた。
『嫌われたわね』
『……』
『で、ワンコがくれた有益な情報って?』
『他の魔王が来る』
『何? 商売の交渉?』
ふざけた口調だが、表情はふざけてはいなかった。 2年の間、魔物同士の交渉は幾度か行われた。 中にはルシェや黒姫と同格のものがいたが、大物が暴走せずに済むよう援助を申し出てくるだけで争いはなかった。
争いにはならなかったが。 まぁ、一種の脅しではあっただろう。 それでも群を率いるものであれば、誰もが群の者に被害を出さず空腹を対処したいと願うものである。
極一部を除き。
『相手の力量は、どうなのよ』
ルシェの手に掴まれているワンコが、黒姫に睨まれ答えた。
『トップはアンタ達よりも上だね。 何しろ同胞食いを積極的にやっている狂った連中だ』
ワンコが言うが、これはあくまで魔物のとしての価値。 大物が同胞食いを控えようとするなら人間を食らうしかないのだから、人間側から言えば、自分達を襲う魔物を食らってくれる有難い相手なのかもしれない。
『そいつらは人間を襲わないのか?』
『人間あろうと獣だろうとなんだって襲いますよ。 何しろ、若くして大物まで成長した狂ったやつですからね。 食えるものはなんだって食う。 そうして世界を取ろうと考えて居るらしい』
『狂っているわね。 何もなくなった世界でどうやって生きていけると思っているのよ』
『辞めろ……人間が聞けば怯える』
ルシェは、呆れたように言った。 魔物的に言うなら、ワンコと黒姫の会話は決して間違ってはいないが、人に聞かれれば作り上げてきた関係が台無しにされるような言葉である。
この些細な感覚の差が、黒姫でなくルシェを魔王に立てている理由と言えるだろう。
『で、どうすんの? そんな節操無し相手に、うちの子を危険にさらすなら、この機会に私、貰っちゃうけど、いいのよね?』
『黒姫!!』
『だって、アンタ嫌われていたじゃない? アレだけ避けてまわれば避けられるのも当然よね』
『別に……』
『誓約の条件は、力の大きさは関係がない。 利害関係や相性、そう言うものだ! なら、俺にもチャンスは与えられて当然。 現にあの子は逃げなかった!!』
ワンコが言えば、
『確かに、その通りだな』
ルシェは人の姿のまま、ドラゴンの本質そのままにワンコを睨めば、再びキャインキャインとワンコは尻尾を丸めたが……、そのまま身体ごと丸めるように森の中に向かって投げ捨てられた。
グニャリと形が歪み私が良く知る黒姫の姿となれば、ようやく緊張が解け、飛んでいった巨大な狼を眺める事が出来た。
「やりすぎでは?」
『そんなことはないわ。 うちの子に手を出すなんて許される訳ないじゃない』
「それはなんか違う気がする。 彼には敵意が無かったし?」
『違わないわよ』
「むしろ、私はアッチに脅威を感じるのだけど?」
ゴゴゴゴゴなんて音をたて、空から凄い勢いでドラゴンが飛んで来くる。 まだ遠いはずなのに、風が木々を大きく揺らしついでに私まで飛ばされそうで、黒姫の背後に回り抱き着き身を守った。
まぁ、人型の黒姫、いえ女性型の黒姫は私より背が低いんですけどね。
『うちの魔王だけど、見た事無かった?』
「あるけど、私、何か怒らせた?」
流石にアノ勢いで自分に向って飛んでこられれば、怖くなると言うものだ。 逃げても無駄だと思うから逃げはしないけど。
『犬でも、食べたかったんじゃない?』
「魔物の事情に何かを言う気はないけど。 できるなら、目につかないところで食事は済ませて欲しい……」
『まぁ、それぐらいの配慮はさせましょう』
「よろしくお願いします」
なんて言っている間に、ソロリソロリと逃げ出しそうなワンコ……もはやワンコとしかいいようのない状態のソレは逃げ出してしまったけど、逃げられる訳もなく10分ぐらい後に大型犬サイズまで縮小されたワンコの首根っこを持ったルシェ(人型)が戻ってきた。
『あら、食べなかったの?』
『有益な情報をもたらしたと言う事で配慮した』
と言う割には、浮かない表情。
『何?』
私をチラリと見たかと思えば大きな溜息をつかれた。
はいはい邪魔なんですねと、声には出さず私はその場を後にした。
『ぁ……』
何か聞こえたような、聞こえなかったような? 面倒臭いのでその場から飛び去る速度を速めた。
『嫌われたわね』
『……』
『で、ワンコがくれた有益な情報って?』
『他の魔王が来る』
『何? 商売の交渉?』
ふざけた口調だが、表情はふざけてはいなかった。 2年の間、魔物同士の交渉は幾度か行われた。 中にはルシェや黒姫と同格のものがいたが、大物が暴走せずに済むよう援助を申し出てくるだけで争いはなかった。
争いにはならなかったが。 まぁ、一種の脅しではあっただろう。 それでも群を率いるものであれば、誰もが群の者に被害を出さず空腹を対処したいと願うものである。
極一部を除き。
『相手の力量は、どうなのよ』
ルシェの手に掴まれているワンコが、黒姫に睨まれ答えた。
『トップはアンタ達よりも上だね。 何しろ同胞食いを積極的にやっている狂った連中だ』
ワンコが言うが、これはあくまで魔物のとしての価値。 大物が同胞食いを控えようとするなら人間を食らうしかないのだから、人間側から言えば、自分達を襲う魔物を食らってくれる有難い相手なのかもしれない。
『そいつらは人間を襲わないのか?』
『人間あろうと獣だろうとなんだって襲いますよ。 何しろ、若くして大物まで成長した狂ったやつですからね。 食えるものはなんだって食う。 そうして世界を取ろうと考えて居るらしい』
『狂っているわね。 何もなくなった世界でどうやって生きていけると思っているのよ』
『辞めろ……人間が聞けば怯える』
ルシェは、呆れたように言った。 魔物的に言うなら、ワンコと黒姫の会話は決して間違ってはいないが、人に聞かれれば作り上げてきた関係が台無しにされるような言葉である。
この些細な感覚の差が、黒姫でなくルシェを魔王に立てている理由と言えるだろう。
『で、どうすんの? そんな節操無し相手に、うちの子を危険にさらすなら、この機会に私、貰っちゃうけど、いいのよね?』
『黒姫!!』
『だって、アンタ嫌われていたじゃない? アレだけ避けてまわれば避けられるのも当然よね』
『別に……』
『誓約の条件は、力の大きさは関係がない。 利害関係や相性、そう言うものだ! なら、俺にもチャンスは与えられて当然。 現にあの子は逃げなかった!!』
ワンコが言えば、
『確かに、その通りだな』
ルシェは人の姿のまま、ドラゴンの本質そのままにワンコを睨めば、再びキャインキャインとワンコは尻尾を丸めたが……、そのまま身体ごと丸めるように森の中に向かって投げ捨てられた。
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