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5章

52.徐々に日常へと戻っているかのように見えた

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 難民達の受け入れから2か月。
 ラスとフィンは、未だ顔を出さない。

 私はと言えば、やっぱり怖くて村に行けない……。
 村人達は今日も無事生きています。
 それだけで十分ではないでしょうか(爽)

「そもそも、村人達と、ソロスの人達とは状況が違うんですよね。 直接大量のケガレを帯びたのと、生命に影響がない程度のケガレが体内に残留していたのと、うんうん、これは大きな違いです」

 そんな事を言い訳のように呟きながら、私は畑仕事を続けるのですよ。

「でも、難民の人達が大きな街に避難したなら……きっと、こんなことにはならなかったのに……なんで、村に振り分けられたのかしら?」

「わふぅ?」

「いえ、そもそも、大きな街とは言え、数百人を一度に受け入れると言う事が難しいのはわかりますよ? 後々、生きていくための労働も考えれば、人が増えて欲しいなって思っている村に若い人員を増やすのはWinWinな考え方なのは分かります。 でも、浄化を専門とする神官や巫女がいれば、こんなことにはならなかったはずなんですよね」

 村人がケガレを帯びている事は悪い事ばかりではない。 ケガレを帯びる事で魔物は村の人達を敵とみなさなくなったのだ。 結果として、魔物除けの結界は村人のためには必要としなかった。

 だから私は、
 ケガレを流す風にように、
 ケガレを宥める雨のように、
 ケガレを浄化する日のように、
 ケガレを抱きしめる大地のように、
 静かに歌う。

 あくまでケガレを刺激しない程度の自然浄化のレベルで、村に浄化の力を注ぎ続ける日常生活を送っていた。 そうしているうちに、各家は生活のために窯を使うようになっていた。 なぜ、彼等の食糧が尽きないのか? と思えば、夜間の間に食糧が補充されているのだと精霊が教えてくれた。

「誰が?」

 精霊達は答えない。 というか、精霊には細かな人の区別がつかないので、所属を調べよなんてのは無理なんですよね。

 調べに行く度胸があるなら……良くなるか悪くなるかは分からないけれど、今と違う状況を迎えていたのかな……。

「どうしよう」

 怯えながらも夜に足を踏み出そうとすれば、リュウが止めた。 本当は行きたくない……私は結局リュウを言い訳に家の外に出る事はしなかった。 それでも精霊に人の出入り状況を求めれば、2.3日に1度、外部から人が訪れている事が分かった。

「どういう事? 昼間なら見に行けるのに! 行けるのかな? 行っても平気なのかな? ずっと浄化してきたし、もしかして普通に……」

 なっていればラキが来るだろう。
 来ないのだから、元には戻っていない。

 分かっていたけど、私は我慢できなくなってリュウを抱えて、とうとう村へと降りて行った。

「リュウ、アナタはとても強いから、何かあっても攻撃をしてはダメよ」

 そう言い含めながら……私は精霊に願って姿を隠していた。 どこまでも臆病な自分に吐き気を覚えるぐらいだが、これが私なのだから仕方がない。 そういえば……前世、ホラー映画を見ていたときは、いつも私は開始早々に大量死するモブの1人にしかなれないなぁって、友達に言っていたなぁ。

「リュウ……怖いよ……」

「くぅうん」

 村を行けば、畑の世話をしている者達を見かけた。 時期を過ぎ大きくなりすぎているだろうイモ類や、乾燥しきった豆類を収穫している。

 日常が帰ってきた!!
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