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06.責任をとるもの
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「エスティ国の引きこもり過保護ババァに比べれば、珍しいもんでもないさ」
内容の割に淡々とした声で、ローブ軍団の1人であるオルグレンの王が聖女に返事する。
「血生臭いクソガキが来るような場所じゃない、とっとと帰んな」
「私用が済めば帰るさ」
「どうせ、ろくでもない私用なんだろう」
何を見ているのか分からないローブの下のフルフェイスの獣の骨を模したマスクが、聖女を向き沈黙した。
「ふっ……」
オルグレン王と呼ばれたローブ姿の男は、肩をすくめて会話を終わらせる。
「アンタらは、もう少し協調性を持って行動したらどうなのさ。 空白期が訪れようと言うのに、自分達だけでなんとかなると思っているのかい」
「……協調性を持ち、情が深く、慈悲深い、苦労人を知っているんでね」
王の嫌味に、聖女は苦々しく返す。
「ガキが……。 で、今日は何しに来たんだい」
結局話を戻され、オルグレン王はヤレヤレと大げさな素振りを見せた。
「なんて事はありませんよ。 うちの将軍がソロソロ妻を迎えたいって言いましてね」
「坊やには、婚約者がいただろう……それに……済ませるだけなら、アンタのハーレムだってあるだろうさ。 改めて嫁さがしに放浪するなんて、迷惑な話だねぇ」
「これがなかなか、うちの将軍は生真面目な挙句、純愛でしてね」
「余計な事を言わないでください……」
ボソリと呟けば、遠くから彼等を見ていた者達はソレが血濡れの死神将軍だと知ることとなる。
「なんか、拍子抜けな返事だねぇ……まぁ、相手が同意の上なら、私からも祝福を贈らせてもらうよ」
存外和やかな雰囲気で会話が終わってしまいそうになり、華国の王太子が慌てて口出しをした。
「ちょ、おばあちゃん、趣旨が違ってきてますよ!!」
「あぁ、そうだったね。 神が、神の加護を受け付けない娘の存在を、わざわざ語ったんだけど、何か知っているかい?」
「あぁ」
オルグレン王は軽く俯いた。
「どう判断した?」
周囲が聞き耳をたて息を飲む。
「それは、婆さんとこの方が詳しいだろう? どの土地にも聖女様を信仰する奴は多い」
「普通はねぇ。 ここは、そういう意味では王太子の影響が強くて、信仰が効かない。 お手上げ、だから重い腰をあげてきた。 流石にこっちもリスクが多いんでね。 手ぶらで帰りたくない訳よ」
「なら……婆さん、アンタ、しばらく時間を作ってくれ」
そんな話の途中で、夜会の主役である王太子殿下カインと、国王夫婦、そして3人があらわれれば、周囲から舌打ちまざりの騒めきが上がった。
だが3人の婚約者を見れば、一気に静けさを取り戻し、美しい音楽だけが流れ出す。 中断前の夜会で既にイザベラとアルマは紹介されている。 なら、消去法で残る1人が神の託宣を受けた者だろうと視線が集まった。
「ぇ……」
好奇の視線を向けられた、リエルは恐怖を覚え、どこまえも戸惑う。 怖くて、怖くて、顔色悪く震え、わずかに側にいるイザベラへとよれば、手が握られた。
「イザベラ……」
リエルが少しだけ見上げてみたはイザベラは微笑んでいて、それが安堵させるためには見えず、なぜか「ホッ」としているように見えたのが、周囲からの視線よりも怖く感じた。
な、なんなの……。
状況を理解できないリエルには、周囲が敵ばかりに思えた。 もともと味方などいないのだと自分を慰めるが、場なれをしていない……と言うには、やけに自分に向けられる視線が多いように感じて、恐怖は容易に消えてはくれない。
小さく、リエルは独り言をつぶやく。
「これは、何……」
いつもならイザベラに聞いただろう。 だけど、今側に居て手を握っているのはいつものイザベラには思えない。 ……なぜか……怖かった。 そんなリエラに声をかけたのは、イザベラではなく曇った男性の声。
「怖がることはありませんよ」
くぐもった声だが、ユックリと話しかけられたことで十分に理解できた。 慌てて声の主を振り返ろうとすれば、そのまま抱き上げられている。
「な、何?」
怯えて身体を引いてしまえば、落とさないように優しく腕の中に抱き寄せられた。
「とても、可愛らしい。 私の花嫁。 そのドレスも良く似あっている」
満足そうな声は、やけに嬉しそうに浮かれていた。
誰にとっても、その行動は唐突過ぎ、彼の上司であるオルグレン王すら頭を抱えていた。 だが、大抵は死神とあだ名されている者の行動に凍り付くしかなく、人々の騒めきに悲鳴まで混ざり、人々は救いを求め聖女を頼り、駆け寄っていく。
だけど、死神と呼ばれる人間のことを、耳にする機会もなく、赤い刺繍がなされた黒ローブに、獣の骨をした仮面の男を見ていたリエルが思ったのは、コスプレ? とか、行き過ぎた仮面舞踏会? これなら私も作業着でも良かったのではないのかな?
そこまで思って思い出した。
「可愛いなんて言わないで!」
抱き上げるなと、腕の中でじたばたし、マスクを押して逃げようとすれば、男は戸惑っていた。
「可愛いはダメなのですか? では、とても綺麗です」
「ダメなの。 下ろして。 褒めていいのは、コレをくれた人だけなんだから」
なら、自分は褒めていいのでは? と……死神と呼ばれる男は思った。 だけれど、ソレを伝えることなく、声が上がった。
「オマエは、その方が誰かわかってそんな口をきいているのか!! その方がオマエを選んだと言うなら、オマエは今からその方の者だと言うことだ。 土弄りしかしないミミズのような娘だったが、今まで飼っていて良かったというものだ。 ありがとう田舎者」
ザワリと空気が動いた次の瞬間。
「辞めて!! その子を返して!! その子は本当に土弄りしかできない素朴な子なんです! 何の価値もない子なんです。 だけど、私にはとても大切な子で、お願いします。 1月、いえ……1週間で構いません。 アナタ様がその子を返してくれると言うなら、国中の美女を100人集めましょう。 お願いします。 お願いします。 その子を返してください」
イザベラが追いすがった。
王太子殿下の、身勝手な発言に呆れ。 そしてやがて王妃の座につく娘の茶番に、周囲は眉を寄せた。
余りの勝手な言い分に、死神が欲した少女が誰で、その者がたどってきた人生を察した聖女は静かに言う。
「オルグレン王。 死神を止めなさい」
「婆さん、心配はいらんよ。 将軍は、さっきも言ったがなかなか純情なんだ」
オルグレン王は肩をすくめて見せた。
「この子は……見るに堪えない扱いを受けていた。 今更、何を惜しむ?」
「申し訳ありません。 私は、その子を独占したいがために、カイン殿下の暴挙を見て見ぬふりをしていました。 優しくするのが自分だけであれば、自分だけを愛してくれるだろうと。 その子は私にとって大切な子なんです。 返してください!!」
追いすがる女性は、将軍に近寄ることもできずに弾き飛ばされた。
「その気持ちは、理解できるが。 私にとっても大切な子なんだ。 ただ、オマエとは違うよ。 私はこの子が虐められるのを放置する気はない。 今だって、この子が望むなら、この子を虐めたものを一瞬に闇にかえそう」
「ぇ? 怖いのは、嫌」
「そうですか……ならば辞めておきます。 私はココで血を流しませんし、ここにいるものを消すことはありません。 この子が怯えるのは本意ではありませんから。 私は、この子を優先したいと思っていますからね。 ですが、アナタ達はどうしてきました? 私の方が絶対にこの子を愛していますよ。 もしこの子が幸福であるなら、私は迎えになど来ることはしませんでした。 ソレを……」
言葉が増えることに、アヤシイ気配となる将軍を王は止めにはいった。
「はいはい、用事は終わった。 撤退するぞ~」
「ま、待て!! 婚約者を交換と言う話ではなかったのか?」
「私は、交換……とは、言ったつもりはありませんよ。 ただ、私の婚約者を奪った責任として、アナタの婚約者を頂きますと言ったまでです。」
そう告げるとともに、状況を理解できないままのリエルを連れて死神と呼ばれた将軍は、その場からカスミのように消え去った。
「ぁ、逃げたな……」
ヤレヤレと頭をかくのは、死神将軍が仕えるオルグレン王で、
「まて!! 話が違う!」
カインの言葉にオルグレン王は割って入った。
「今日はカイン王太子殿下の生誕祭。 オルグレンから祝いの品を、ここに」
言えば、王のそばに控えたローブの者達が、ブツブツと何かを呟けば、どこからともなく布をかぶった巨大なものがあらわれた。
「贈り物ですよ。 カイン王太子殿下」
オルグレン王の声が笑っているかのように聞こえた。
「さぁ、是非お受け取りください」
やけに丁寧なのが無気味だと、彼を知るものは思ったのだと言う。
「さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、あけてください」
追い詰めるようにオルグレン王が続ければ、カインは怯えながらもその巨大な贈り物から布をとった。
「あああぁぁあぁっぁぁぁっぁぁぁっぁぁ」
カインは叫び、腰を抜かしたように床に転がった。
「な、なぜ、こんなことを!! 私は、私達は許されたのではないのですか!!」
カイン殿下の声に、オルグレン王は冷ややかに応えた。
「許される訳なかろう。 なぜ、将軍の婚約者を略奪したオマエと、内政官まで勤め上げ我が国の内部機密を漏らしたモイラを、全く関係のない少女の犠牲で許されると思うんだ? オマエ達の責任は、オマエ達がとって当然のことだろう」
そう告げるとともに、オルグレン王が何もない空中を引っ掻けば、カインの背が5本の爪痕を残しその背を血にまみれ……カインの背に刻まれているはずの神の寵愛を示す印が欠け落ちた。
内容の割に淡々とした声で、ローブ軍団の1人であるオルグレンの王が聖女に返事する。
「血生臭いクソガキが来るような場所じゃない、とっとと帰んな」
「私用が済めば帰るさ」
「どうせ、ろくでもない私用なんだろう」
何を見ているのか分からないローブの下のフルフェイスの獣の骨を模したマスクが、聖女を向き沈黙した。
「ふっ……」
オルグレン王と呼ばれたローブ姿の男は、肩をすくめて会話を終わらせる。
「アンタらは、もう少し協調性を持って行動したらどうなのさ。 空白期が訪れようと言うのに、自分達だけでなんとかなると思っているのかい」
「……協調性を持ち、情が深く、慈悲深い、苦労人を知っているんでね」
王の嫌味に、聖女は苦々しく返す。
「ガキが……。 で、今日は何しに来たんだい」
結局話を戻され、オルグレン王はヤレヤレと大げさな素振りを見せた。
「なんて事はありませんよ。 うちの将軍がソロソロ妻を迎えたいって言いましてね」
「坊やには、婚約者がいただろう……それに……済ませるだけなら、アンタのハーレムだってあるだろうさ。 改めて嫁さがしに放浪するなんて、迷惑な話だねぇ」
「これがなかなか、うちの将軍は生真面目な挙句、純愛でしてね」
「余計な事を言わないでください……」
ボソリと呟けば、遠くから彼等を見ていた者達はソレが血濡れの死神将軍だと知ることとなる。
「なんか、拍子抜けな返事だねぇ……まぁ、相手が同意の上なら、私からも祝福を贈らせてもらうよ」
存外和やかな雰囲気で会話が終わってしまいそうになり、華国の王太子が慌てて口出しをした。
「ちょ、おばあちゃん、趣旨が違ってきてますよ!!」
「あぁ、そうだったね。 神が、神の加護を受け付けない娘の存在を、わざわざ語ったんだけど、何か知っているかい?」
「あぁ」
オルグレン王は軽く俯いた。
「どう判断した?」
周囲が聞き耳をたて息を飲む。
「それは、婆さんとこの方が詳しいだろう? どの土地にも聖女様を信仰する奴は多い」
「普通はねぇ。 ここは、そういう意味では王太子の影響が強くて、信仰が効かない。 お手上げ、だから重い腰をあげてきた。 流石にこっちもリスクが多いんでね。 手ぶらで帰りたくない訳よ」
「なら……婆さん、アンタ、しばらく時間を作ってくれ」
そんな話の途中で、夜会の主役である王太子殿下カインと、国王夫婦、そして3人があらわれれば、周囲から舌打ちまざりの騒めきが上がった。
だが3人の婚約者を見れば、一気に静けさを取り戻し、美しい音楽だけが流れ出す。 中断前の夜会で既にイザベラとアルマは紹介されている。 なら、消去法で残る1人が神の託宣を受けた者だろうと視線が集まった。
「ぇ……」
好奇の視線を向けられた、リエルは恐怖を覚え、どこまえも戸惑う。 怖くて、怖くて、顔色悪く震え、わずかに側にいるイザベラへとよれば、手が握られた。
「イザベラ……」
リエルが少しだけ見上げてみたはイザベラは微笑んでいて、それが安堵させるためには見えず、なぜか「ホッ」としているように見えたのが、周囲からの視線よりも怖く感じた。
な、なんなの……。
状況を理解できないリエルには、周囲が敵ばかりに思えた。 もともと味方などいないのだと自分を慰めるが、場なれをしていない……と言うには、やけに自分に向けられる視線が多いように感じて、恐怖は容易に消えてはくれない。
小さく、リエルは独り言をつぶやく。
「これは、何……」
いつもならイザベラに聞いただろう。 だけど、今側に居て手を握っているのはいつものイザベラには思えない。 ……なぜか……怖かった。 そんなリエラに声をかけたのは、イザベラではなく曇った男性の声。
「怖がることはありませんよ」
くぐもった声だが、ユックリと話しかけられたことで十分に理解できた。 慌てて声の主を振り返ろうとすれば、そのまま抱き上げられている。
「な、何?」
怯えて身体を引いてしまえば、落とさないように優しく腕の中に抱き寄せられた。
「とても、可愛らしい。 私の花嫁。 そのドレスも良く似あっている」
満足そうな声は、やけに嬉しそうに浮かれていた。
誰にとっても、その行動は唐突過ぎ、彼の上司であるオルグレン王すら頭を抱えていた。 だが、大抵は死神とあだ名されている者の行動に凍り付くしかなく、人々の騒めきに悲鳴まで混ざり、人々は救いを求め聖女を頼り、駆け寄っていく。
だけど、死神と呼ばれる人間のことを、耳にする機会もなく、赤い刺繍がなされた黒ローブに、獣の骨をした仮面の男を見ていたリエルが思ったのは、コスプレ? とか、行き過ぎた仮面舞踏会? これなら私も作業着でも良かったのではないのかな?
そこまで思って思い出した。
「可愛いなんて言わないで!」
抱き上げるなと、腕の中でじたばたし、マスクを押して逃げようとすれば、男は戸惑っていた。
「可愛いはダメなのですか? では、とても綺麗です」
「ダメなの。 下ろして。 褒めていいのは、コレをくれた人だけなんだから」
なら、自分は褒めていいのでは? と……死神と呼ばれる男は思った。 だけれど、ソレを伝えることなく、声が上がった。
「オマエは、その方が誰かわかってそんな口をきいているのか!! その方がオマエを選んだと言うなら、オマエは今からその方の者だと言うことだ。 土弄りしかしないミミズのような娘だったが、今まで飼っていて良かったというものだ。 ありがとう田舎者」
ザワリと空気が動いた次の瞬間。
「辞めて!! その子を返して!! その子は本当に土弄りしかできない素朴な子なんです! 何の価値もない子なんです。 だけど、私にはとても大切な子で、お願いします。 1月、いえ……1週間で構いません。 アナタ様がその子を返してくれると言うなら、国中の美女を100人集めましょう。 お願いします。 お願いします。 その子を返してください」
イザベラが追いすがった。
王太子殿下の、身勝手な発言に呆れ。 そしてやがて王妃の座につく娘の茶番に、周囲は眉を寄せた。
余りの勝手な言い分に、死神が欲した少女が誰で、その者がたどってきた人生を察した聖女は静かに言う。
「オルグレン王。 死神を止めなさい」
「婆さん、心配はいらんよ。 将軍は、さっきも言ったがなかなか純情なんだ」
オルグレン王は肩をすくめて見せた。
「この子は……見るに堪えない扱いを受けていた。 今更、何を惜しむ?」
「申し訳ありません。 私は、その子を独占したいがために、カイン殿下の暴挙を見て見ぬふりをしていました。 優しくするのが自分だけであれば、自分だけを愛してくれるだろうと。 その子は私にとって大切な子なんです。 返してください!!」
追いすがる女性は、将軍に近寄ることもできずに弾き飛ばされた。
「その気持ちは、理解できるが。 私にとっても大切な子なんだ。 ただ、オマエとは違うよ。 私はこの子が虐められるのを放置する気はない。 今だって、この子が望むなら、この子を虐めたものを一瞬に闇にかえそう」
「ぇ? 怖いのは、嫌」
「そうですか……ならば辞めておきます。 私はココで血を流しませんし、ここにいるものを消すことはありません。 この子が怯えるのは本意ではありませんから。 私は、この子を優先したいと思っていますからね。 ですが、アナタ達はどうしてきました? 私の方が絶対にこの子を愛していますよ。 もしこの子が幸福であるなら、私は迎えになど来ることはしませんでした。 ソレを……」
言葉が増えることに、アヤシイ気配となる将軍を王は止めにはいった。
「はいはい、用事は終わった。 撤退するぞ~」
「ま、待て!! 婚約者を交換と言う話ではなかったのか?」
「私は、交換……とは、言ったつもりはありませんよ。 ただ、私の婚約者を奪った責任として、アナタの婚約者を頂きますと言ったまでです。」
そう告げるとともに、状況を理解できないままのリエルを連れて死神と呼ばれた将軍は、その場からカスミのように消え去った。
「ぁ、逃げたな……」
ヤレヤレと頭をかくのは、死神将軍が仕えるオルグレン王で、
「まて!! 話が違う!」
カインの言葉にオルグレン王は割って入った。
「今日はカイン王太子殿下の生誕祭。 オルグレンから祝いの品を、ここに」
言えば、王のそばに控えたローブの者達が、ブツブツと何かを呟けば、どこからともなく布をかぶった巨大なものがあらわれた。
「贈り物ですよ。 カイン王太子殿下」
オルグレン王の声が笑っているかのように聞こえた。
「さぁ、是非お受け取りください」
やけに丁寧なのが無気味だと、彼を知るものは思ったのだと言う。
「さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、あけてください」
追い詰めるようにオルグレン王が続ければ、カインは怯えながらもその巨大な贈り物から布をとった。
「あああぁぁあぁっぁぁぁっぁぁぁっぁぁ」
カインは叫び、腰を抜かしたように床に転がった。
「な、なぜ、こんなことを!! 私は、私達は許されたのではないのですか!!」
カイン殿下の声に、オルグレン王は冷ややかに応えた。
「許される訳なかろう。 なぜ、将軍の婚約者を略奪したオマエと、内政官まで勤め上げ我が国の内部機密を漏らしたモイラを、全く関係のない少女の犠牲で許されると思うんだ? オマエ達の責任は、オマエ達がとって当然のことだろう」
そう告げるとともに、オルグレン王が何もない空中を引っ掻けば、カインの背が5本の爪痕を残しその背を血にまみれ……カインの背に刻まれているはずの神の寵愛を示す印が欠け落ちた。
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