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14.これは予測すべき事態だった……(☆)

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 濡れた唇を重ね合わせ、甘く舌を絡めあう。

 混ざり合う唾液に酔うような感覚も、当たり前なのだと……思っていた。 この行為はこういうものなのだと……。 ゼルの体液は、稀に人を魔物へと変質させる毒となる事実を語られていたにも関わらず、私はソレを安易に聞き流していた事を思い出した時には、後の祭りと言うもの……。

 世の中ってそういうところ、ありますよね。

 神の寵児と呼ばれている人達が、決して神に愛されている訳ではなく、人間にとって毒である神力に耐えうる魂を持つモノでしかない。 神にとって人間とは、自らの存在を確定し、拡大するために、自らの力を示し信仰を集める道具であることを知る者はすくない。



 ゼル・ブラッド。

 彼が母の胎内に宿った時、オルグレンの国王は現国王とゼルの祖父にあたる男だった。 当時の国王は王太子と侍女との間にできた赤ん坊を認めることは無く、宿った赤子に王家の者としての名ではなく、汚れた血を持つ子としてブラッドと言う家名を与えた。

 血と戦を好む神々が寄り集まる国土を納める王らしい、呪いに似た行為だとゼルの母は嘆いたと言う。 そう言える程度に横暴で傲慢で乱暴な彼の祖父は、多くの悪神の印を持ち生まれ親殺しの烙印を背負った赤ん坊を、戦乱の武器として次期王を担うだろうヒューバード・ロス・オルグレンに与えた。



 ゼルはリエルの身体を抱きしめ撫でる。

 可愛い……。

 ゼルは口づけるほどに、満たされていく幸福感に胸を震わせていた。 口づけを交わすたびに、もっと欲しいと訴えてくる視線、舌先、甘い声、触れあう肌。 求められていると言う満足感。

「好きですよ」

 ゼルは軽く態勢を変えて、あぐらをかいた足の上にリエルを座らせ背後から抱きしめる。 その肌を包みこむように抱きしめ、首筋に舌を這わせれば、甘い鳴き声と痙攣を伴い腕の中で悶えるリエルが可愛らしく思いつつも、ゾクゾクと胸が騒めいた。

「あぁ、ダメ」

 甘い声と共に、リエルが首筋を逸らせる。

 陛下は……兄である男は、誤解を避けるために嫌でもないのに嫌だと言うな。 そんなことを言っていたけれど、流石にコレを勘違いする人間などいないだろう。 ゼルの口元は無意識の中で笑っていた。

 なんて可愛いんだ。

「そう、ダメ……ですか? もっと、気持ちよくしないと」

 可愛い。

 耳輪にそって舌を這わせ、耳穴へと舌をすすめれば、わざとイヤらしい音をじゅるじゅると立て耳穴を撫でれば、腕の中のリエルは小さく震え、甘い吐息を吐き、肩を大きく上下させ、染めた頬を隠すように身をよじっている。

 リエルの両の手は、胸と両足の間を隠すように添えられている。

「自分で慰めなくとも、私がして差し上げますよ」

 柔らかな胸を左手で包み込み、指先で感じやすい乳首をつまむ。 先端を擦られるのが気持ちいいらしく、甘い声をもらし、つま先に力が入っているのが分かる。

「可愛いですね」

 乳首をツマミ、指先で弄びながら首筋に舌を這わせれば、甘い声が響いた。

「こんなに喜んでくれるなんて、私も嬉しいですよ」

 荒い息のまま首を左右に大きく振り違うと必死に訴える。 首筋を甘く噛み、キツク吸って見せれば、耐えるように声と呼吸が飲み込まれる。

「コレは……余り良くないですか? それとも、乳首の方を吸って欲しいと言う訴えなんでしょうかね?」

「ゃ、違う……」

「何が違うんですか、こんなに濡らして」

 右手を両足の間に入れれば、肉の花弁から蜜が溢れ出ていた。

「あぁ、こんなにして勿体ない」

 柔らかな花弁を濡らす蜜を右手でなぞりすくいとり、その蜜を舐めて見せる。

「やぁ~~~」

 羞恥に震える姿が可愛くて、可愛くて……欲望ばかりが高まるが、浅く深呼吸を繰り返し、必死に意識を、冷静さを保とうと柔らかな身体を抱きしめ、背後から濡れた肉の割れ目へと指を進めなぞってみせる。 中を軽くひっかいただけで蜜がジワリと溢れてくる。 指を奥に進めれば、ソレを拒絶するように肉の壁はきゅっとしまり指を追い出そうとしてくる。

 中をかき混ぜるように指を動かせば、規則正しい喘ぎが口から漏れ出てくる。 乳首と同時に責めれば、中が締まり痙攣し、柔らかな肉が指に絡みついてくる。

「んっ、ぁ、や……何度も、いかせちゃやだ。ゼルも一緒に」

 甘く熱い視線で訴えられれば、興奮を露わにした股間のモノが限界であることを実感する。

 入れたい……。

「あぁ、いい(ですか?)」

 その問は、最後まで言葉にすることは出来なかった。 リエラの小さく細い指先が、ゼルの肉棒を撫でるように触れていた。

「大きく、硬くなっている」

 先端の部分を、指腹で優しく撫でられれば先走りが漏れ出ているのが分かった。

「リエル、辞めなさい」

「私も、ゼルに気持ちよくなって欲しいだけなのに?」

 甘えた視線に惑わされ、腕の中から逃げ出すリエルを見送れば。 両足の間にうずくまり肉棒の先端へと口づける。 舌先でちろちろと透明な液を溢れる溝を執拗に舐められれば、背筋がゾワリとした。

 だけどソレはイクには不十分な刺激で、残念に思う反面、ホッとする。

「んっふっ……」

 舌先が先端を舐め、筋の部分を指先でくすぐるように撫でられ、小さなリエルの口から逃げるようにビクっと跳ねる。

「気持ち、いいですか?」

 甘い甘い声に、ゼルは溜息とも吐息とも分からない息を吐いた。

「あぁ、どこで、こんなことを」

 ゼルは戸惑いながら、それでも与えられる刺激に眉間を寄せる。 この世界、特に戦いを好むこの国では、性は奪うものという考えがあり、それは強者の特権だ。 弱者であるところリエルがゼルの痴態を誘うなどありえない。

 なのに……。

 与えられる快感を辞めるようにと言葉にできなかった。

「リエル」

 名を呼べば、口に先端を含んだまま小さな声で返事をする。 棒の部分が両手に包まれ、優しく刺激され。

「もう、辞めるんだ」

 熱い息とともに、リエルが幼く無邪気そうな視線で見上げてくる。

「やめる、の?」

 ふにふにと玉を撫で遊ばれ、舌先が棒の裏筋を舐め、そして先端を加えチュッと強く吸われ、

「くっ、」

 ゼルの苦し気な声、眉間による皺。

 そして、口内に予告なく濃くネットリとした精液が放たれた。

「……リ、エル」

 名を呼べば、リエルの喉が大きく動き、硬度を失くした先端を舌先でそっと舐めて口を放す。

「リエル……大丈夫ですか?」

 慌てたように問えば、にっこりと微笑まれた。

「うん、平気。 ゼルは?」

 甘い甘い問いかけは何処までも無邪気な様子で、そして目は潤み甘えたように見つめてくる。

 愛らしい……。

 そう思うよりも、ゼルは恐怖を覚えた。

 濃紺の瞳は金色に輝き、月を思わせる銀色の髪が、赤黒く染まっていく。 ゼルの血は人を魔物に変える。 なら、精液は? リエルはソレを相殺できると言っても、どういう過程で消しているのかなんて分かっていない。

「ゼル、もっと愛し合おう?」

 甘えた声と共に抱き着いてきたリエルは、ゼルの鎖骨を子猫のように舐め、柔らかな指先で身体を撫で、そして萎えたままの局部へと手を伸ばしていた。
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