【R18】王太子殿下が他国の将軍の婚約者を孕ませたからって、婚約者の私が責任を問われるのは間違ってはいませんか?【完結】

迷い人

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22.私の恐怖、アナタの恐怖(☆)

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 風呂に入ってきて素知らぬ様子で、身体を洗うゼルに私は呟くように聞いた。

「どうして……」

 疑問よりも、神の紋章が一面に記された広い筋肉質な背中が気になって言葉が止まる。

「どうかしましたか?」

「い、いえ……一人で入りたいって言ったのに」

 拗ねたように言えば、

「リエルは見られる事は嫌だと言いましたが、見る事を嫌だとは言っていませんでしたからね」

「ゼルの身体を見るのは好きだよ。 綺麗だし」

 身体を洗う手が一瞬止まり、溜息がつかれる。

「そんなことを言うのは、リエルくらいですよ」

「そんなに人に見せているの?」

 単純な疑問に対してゼルは、無言と小さく左右に振られる頭で答えてくれた。

 私は小さく笑う。

「ねぇ、触れていい? 背中洗ってあげる」

「ダメです」

 断られるとは爪の先程も考えていなかった私は、唖然としてしまう。

「ぇ、どうして? 髪でもいいよ?」

「以前、アナタは自分が何をしたのか覚えていないのですか?」

「……ご奉仕?」

「生憎、この国ではそのような風習はありません」

「それは、まぁ、王様から聞いた。 うん、ごめんなさい……気を付けはするけれど、なんだか酔ったようになって……こう……ゼルの気持ちよくなる顔が見たいなって、と、色々考えても無駄なので、そこはお互いの慣習の元で折り合いをつけていきましょう? どうしてもいやっていうなら、私は触れません」

 背中越しにソワソワしているのが分かった。

「嫌と言う訳では……ただ……私だけいかされるというのが、女性のように何度もイケると言うものでもありませんし」

「そういうものなの?」

「5回ぐらいなら?」

「馬鹿なの!!」

 お湯から出て背中から抱き着いた。
 別に欲情した訳ではない。

 怖くない普通の会話が嬉しくて、まぁ……内容はちょっとアレだけど、ハシャイダ私はゼルの背に抱き着いた。

 触れ合う肌と肌が気持ちいい。
 だけど早鐘のような鼓動は、湯につかっていたせい。
 きっと、ゼルとのふれあいが原因ではないはず。

 甘い感触、甘い思考。

 それはふわふわとした不確かな幸せのようで、さっきまでの恐怖と言う悩みは一瞬でかききえていた。

 私は広い背中に抱き着いたまま、首筋から頬にかけて頬を摺り寄せ、耳もとで囁く。 ドキドキと煩いほどに主張する鼓動、

「私、ゼルのことが好きよ」

 その瞬間に、後ろ手に捕まえられ簡単に抱きしめられる。 座ったままのゼルが私を抱きしめるから、お腹のあたりに顔が来る訳で……普通こういう時は胸だよね? とはノンキなことを考えた。

 柔らかなお腹の肉に歯が当てられ、押し付けるように、皮膚を抉るように舌先が舐めてくる。 決して官能的な快楽が伴う訳でもなければ、痛みが伴う訳でもなく、どちらかと言えばくすぐったい。 執拗にお腹を刺激してくるゼルの頭を抱え、濡れた髪を撫でていた。

 ついでに髪を洗うことにする。 ワシワシとしていある間も、彼はお腹を舐めて甘噛みを繰り返す。

「私を食べてしまう気?」

「誰かに奪われてしまうなら、それも悪くはありませんね。 リエルは、閉じ込められるのと、動けなくされるのと、人形にされるのと、食べられるの、どれがいいですか?」

 いったい何の冗談なのだろうか?

 そう思ったが、見上げてくる視線は真剣で……私もまた真剣に考えた。

「死んだあとになら、人形にするのも、食べるのもお好きにどうぞ」

 前世の記憶を持つ私にとって、死んだ肉は余り意味がない。

「なんだか、愛を感じない」

「食人に愛を感じろと言われても、難易度が高すぎますよ。 でも、まぁ、他の人になら死んだあとと言えど、私の抜け殻を好きにされるのは嫌っていう意味では、愛はあるのではないでしょうか?」

「……でも、それは寂しいので、他の方法を探します」

 なんだかなぁ……と思いながら髪を洗い終えた。 ゼルは座っていた態勢から、膝立ち状態となり胸の谷間に顔を埋め両手で胸を柔らかく揉んでくる。 時折、指先がいたずらに乳首を撫でるから、熱を持ち硬くなっていく。

 年上の男性が、赤ちゃんのように甘えてくる様子が……なんとなく愛おしく思える反面、嫌らしく反応する私自身に少しだけ罪悪感を抱いてしまう。

「ゼル」

「んっ?」

「胸をね……吸って欲しいな」

 不思議な色合いをした瞳が光、色味を変え、そして笑っていた。 サワサワと指先で乳首をなで、ユックリと舌を差し出し乳首の先端を撫でるようにペロペロと舐める。 気持ちよさとじれったさに、身をよじれば、転ばないようにしっかりと身体が支えられ、ゼルは私の胸を舌先だけで強く優しく舐り刺激する。

 んっ、ぁ

 呼吸に混ざるような甘い声が漏れだすが、触れるのは身体を支える両手と、焦らすような舌先だけ。 もどかしいのに、もっと触れて欲しいのに、どうしてか感覚だけが敏感になっていく。

「そんなに、吸って欲しいのですか? 固くなっていますよ?」

「意地悪……」

 先端を舐められ刺激され敏感になっていた左の乳首ではなく、右側の乳首がチュッと音を立てて吸われれば、お腹の奥がじんっとした。 舌先で敏感でなった方は指先で弄られだす。

「ぁん」

「意地悪なのは、リエルの方……だと思います。 寂しかったと甘えてきたのに、急に突き放すように素っ気なくなる。 私は……リエルのことが好きなんですよ? 愛しているんです。 アナタの行動に一喜一憂するのが……ツライ……」

 言葉はとまり、乳首が口に含まれ舌先で舐められ、キツク執拗に吸われる。 快楽と痛みの境界が曖昧となっていく。

「んっ、やっ、痛い……辞めて」

 チュッと軽い口づけと共に口が離された。

「美味しい。 ですが、血が流れたままではばい菌が入ってしまいますよね。 今、傷を塞ぎますから」

 口に含み唾液を絡め舌先で丁寧に舐めてくる。 痛みは消え再び甘い快楽だけが戻ってきて、私は小さく息をついた。 ゼルの手が両足の間に伸ばされて、肉の割れ目をわって指が中を撫でてくる。

「ぁっ」

 既に、絶頂間近だった私の力はふにゃりと抜けた。

「入れて欲しいからって、そんな乱暴な方法をとらなくてもいいですよ。 後でじっくりと、触れさせていただきますから」

 表面をそっとくすぐるように撫でてくる。

「ゼル……」

 キスをして欲しいな……。 そんな私の気持ちは、気付かないふりなのか? 本当に気づいていないのか? アッサリと無視されてしまった。

「身体、少し冷えてきましたね。 お湯に入ってまっていてください」

 じゃれ合っていたのが嘘のようにアッサリと、お湯の中に戻されてしまう。 まるで、私への興味を失ったかのようなそんな感じがして寂しかった。

「ゼル」

「はい」

「ねぇ」

「もう少し待っていてください」

「私の事、嫌いになった?」

 再開されていた身体を洗う動作が、再び停止する。

「リエル……恐ろしい事を教えてあげましょう」

「いえ、結構です」

 恐怖の代名詞とでもいうべきゼル。
 天然で恐怖発言をするゼル。

 そんなゼルの恐ろしい話など聞きたい訳がない。

「いいえ、誤解をされるのは嫌なので、聞いてください」

「嫌です」

「なら、勝手に話ます」

「あれは……少し前の出来事です」

 少し前なんだ?

「音も気配もなく側に立っていたアニーがこういったんです。 女性の身体に触れる時は清潔な状態で、と……」

「えっと……ソレのどこが怖いのでしょうか?」

「私に気付かれず側に立つんですよ!! あの人」

「それは……確かにすごいですよね」

「あと……、不潔や、承諾の無い強引な行為、人体に損傷や変化を伴うようなことがあったら、指を一本ずつ切り取る。 三日三晩、生えた先から切り取り続けて、切り取った指は池の魚の餌にするって」

「……確かに怖いですね……指生え続けるんだ」

「えぇ、生えますね。 って、リエルの怖いポイントってソコ?!」

 私は気付いた……。 ゼルの価値観がオカシイのではなくて……この国の人達が全般的にオカシイのだと……。 それは多分レギーナが飢え死にしそうになっても芸術を追い求めるのと同じなのだろう。



 よくわからない恐怖体験を聞いたあと、私はゼルが身体を洗い終わるのを大人しくまっていることとなるのだけど、それは大した時間を必要としなかった。

 じゃれて邪魔をした私、反省!!

 ゼルは、私と向かい合うように抱き合って風呂へと入った。 大きく硬くなったゼルのものが、柔らかいお腹に触れるのが気になってしまうけど……恥ずかしくて、気付かないふりを必死にしていれば、ゼルが耳元に囁いた。

「今日は、触れてこないのですね。 もう、私に触れたくもありませ(んか?)」

 私はネガティブな発言の続くゼルの口を口づけでふさいだ。

「触れたいですよ……。 もっと、触れあいたいです。 あと、沢山お話もしたいです。 ゼルが留守の間、王様やメイド長が、ゼルの子供の頃の話を色々してくれましたけど、ゼル本人とはもっと色々と話をしたいです」

「私に怯えてそう言っているだけでは? 私の事を嫌がって……いましたよね?」

「嫌な訳ないですよ。 好きですよ」

 甘く囁いて頬に口づけする。

「本当、ですか?」

「えぇ、本当です」

「抱いて良いですか?」

「……そういうのは、聞かないでください」

「ここ、入れていいですか?」

「だから、そういうのは!!」

「良かった……嫌われてなかった。 本当によかった……」

 深い深い口づけに私はのぼせ……ぐらぐらとした意識が不意に思考を途絶えさせた。 だけど……ゼルは、私が気を失った後も愛撫を辞めることは無かった。





 そして……後日聞いた話なのだけれど……。

 ゼルは、私の手足の腱を切り、出入口の無い部屋に閉じ込めておこうと考えていたとかどうとか……それって、メイド長のお説教よりも格段に怖いのだけど……なぜか本人は気付いていないのが不思議である。
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