【R18】王太子殿下が他国の将軍の婚約者を孕ませたからって、婚約者の私が責任を問われるのは間違ってはいませんか?【完結】

迷い人

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36.安心、安全、平和の料理回

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 神様に要求された、異世界の料理。

 食材はほぼ共通と言って構わない。

 こうなると、重要なのは世界ではなく地域の特徴を理解することではないかと思う。 オルグレンは戦争が多いせいか、肉も魚も加工品が多く、そして肉と魚の比重は9:1というところだろうか? 何しろ海のない国ですし。 そして、よく使われる野菜は玉ねぎやジャガイモの保存期間の長いもの。 長持ちしない野菜は酢漬けにされ、長持ちしない牛乳はチーズにされる。

 誘拐旅行の間に食べたのはオルグレンの庶民食。 その庶民食というのは、加工肉を焼き、野菜を付け合わせて出来上がりというもの。 時間をかけて作るのはスープで、そのスープも冷蔵庫の整理的な感じのものが多かった。

 ここから導きだされるのは……!!

 とりあえず和食を出せば、珍しいってこと。

 シッカリと出汁を取り……。

「って、背後で何をしているんですか?」

 王様と神様に見守られて調理と言うのは、どうにも緊張するものです。

「いや、指を切らないか心配で」

「切りませんよ。 積極的に色々切り裂いてそうな人に言われたくありません」

「俺は普段は頭脳労働だ。 誰かさんを助ける時ぐらいだよ出かけるのは」

 そういえば……、レギーナ国を出る時も、今回もわざわざ王様が出てきていたのですよね。 とりあえず両手を会わせておきましょう。

 ありがとうございます。

「ところで、聞いて良いか?」

 これは、神様。

「はい、なんでしょうか?」

「なぜ、ソッチに感謝の祈りを捧げ、俺には捧げん」

「だって……直接的に、神様に何かしてもらっていませんから」

「何かすれば祈るのか?」

「そりゃぁ……嬉しいことをしてくれるなら、自然と感謝はしますよ?」

「ふむ、何が嬉しい?」

「なぜ、そんなに興味があるんですか?」

「今知った。 オマエは神力を消す癖に、オマエの祈りは美味い」

 私は首を傾げ考えながら調理を続ける。 加工魚……いわゆる乾燥させた魚の中に、使えそうなものがあったからソレを使って。 出来れば昆布も欲しいなぁ……と思うけど、これは海がないから難しい。 でも……うん、まぁ、王様は顔が広いようだし、これは『そのうちお願いリスト』に記入しよう。

「それで、何か感謝できそうな願いはないのか?」

「そうですねぇ……」

 海の中から昆布を取ってきてくれと言うのは、神様にお願いするのはもったいない。 だって、王様でも叶えてくれそうですし。

「レギーナの私の研究施設をこちらに移動させると言うのは可能でしょうか?」

「ふむ……アソコで主神を気取っていたものは撤退済。 今は、有象無象が寄る程度。 まぁ、可能だな」

 少しばかり含みがあるような気がしたけれど、王様が転移場所の指定以外何も言わないから、そのままお願いすることにした。 そして秒単位で完了。

「マジ、神様半端ない!!」

「口調」

 王様が呆れて、私の頭をコツンってしたから、テヘッなんて笑って誤魔化せば、王様のコツンがナデナデに変わった。

「神様ありがとうございます!! コレで、神様に満足いくご飯が作れます」

 何しろコレで米、味噌、醤油、豆類、キノコ、麩、今回は使う予定はないけれど香辛料が手に入ったのです。

 さて作る料理は……

 今回作るのは、キノコご飯、和風ハンバーグ、茶わん蒸し、野菜の天ぷら盛り合わせ、油揚げと葉野菜の味噌汁。 本当は魚の塩焼きがしたかったけど、オルグレンは内陸で魚と言うと川魚がメイン。 どんな魚かわらかないので却下し、ハンバーグに逃げたのです。

 珍しい食べ物と言うものは興味があるものですよね。 そんな訳で、どれも多めで作ります。 とは言っても炊飯用の土鍋は1つしかないのでそう多くは作れませんが、とりあえず神様にとって……いえ、オルグレンの人にとっては珍しい料理になはずです。

 ぁ、デザートにわらび餅モドキを作って、〆は温かな緑茶ですよねぇ~~~。

 とは言え、こういうのは、味覚の好みで好き嫌いが分かれる訳で……旨味、いわゆる出汁の繊細さを理解するだけの舌を持ち合わせているかと言う問題に……。

「ぉおおおお、美味い、美味いぞ!!」

「ですねぇ……まさかリエルが料理上手だったとは……」

「なんですかその言い方」

「いや、こっちとしてはキッチリもてなしていると思っていたのだが……」

 王様が苦笑していた。

「十分美味しいですよ。 ここで頂く料理はどの料理もおいしいですよ。 手間暇かけ、よく工夫がこらされていますし。 美味しく食べて貰おう、喜んでもらおうと言う思いが伝わってくるのに、何も言うことなどありません」

 レギーナでは、基本の仕事さえしていれば最低限の干渉で、好きなように食べたい料理を作れたけれど、他人が作る美味しい料理と言うのは格別ですからね!

「もう少し口出しをしてくれて構わないんだぞ?」

「いえ、十分満足しております」

「文化交流を積極的に取り入れていくべきではないでしょうか?」

 神様と王様を押しのけて料理長が現れた。

「この、味噌と醤油と言う奴は面白いですね……。 あと漬物は私どもの作る酢漬けと似た物と考えるべきでしょうか?」

「そうですねぇ、酢や酒等と分類上は似ているのでしょうか?」

 醗酵と言う意味で。

 奥の方で、大きな金属用の入れ物で作った巨大茶碗蒸しは、女性達が群がっていた。 ちなみにプリンにしなかったのは、和食括りにしたかったからで深い意味はない。

 ゼルに入っている神様が食事を終えた。

「満足した異界の娘よ。 人の王よ」

「なんでしょう」

 王様はお茶をすすり視線をあげて返事をした。

「食事という貢物も、美味く祈りに転換されるらしい。 これからは定期的に頼む」

「……以前は、ただの趣味だとおっしゃっていませんでしたか?」

「そうだったか? まぁ、細かな事を気にするな。 人間の営みなど些末なことは記憶に留まらぬものも多い」

「いえ、そこは忘れている事を指摘しているのではなく、リエルの祈りが美味しいと判断したように、料理も同じなのでは? と言っているんですよ。 合流する前も食事食べていらっしゃいましたよね」

「確かに……、ふむ……異界の娘、何か秘密があるのか?」

「そうですねぇ……直ぐに思いついたのは、祈りの習慣の違いでしょうか?」

「おや、オマエの故郷には神はいなかったのではないのか?」

「私のいたところは、都合よく願いを叶えてくれる神はいませんでした。 それっぽい概念はありましたよ。 たとえば悪い事をすれば罰が当たるとし、善良であることを促しました。 日々、つつがなく過ごせれば、ソレは神の恵みだと、感謝をささげる。 ソレにお願いごとはしない方が良いと言われていましたねぇ……。 願いと言うものは人の欲を放つ事で、気がよどみ神がケガレ、人々に障りを起こすだろうとか……だから、私がいた地域では神様に願うのではなく感謝するように教えるものなのです。 まぁ、研究室を運んでもらえたのはラッキーでしたけどね。 また、何か美味しいものをお届けしますよ」

 神様が私を異界の者と呼んだこともあり、私は遠慮なく本当の自分で語りまくり、なるほど……と頷く神様の様子が、王様の様子が楽しかった。

「さて、食事もご馳走になったし撤退するよ。 また、祈りを捧げてくれるとありがたい」

 そういって神様は去っていった。

「神様にも色々あるんですねぇ……」

 私が言えば、王様は笑う。

「まぁ、今日は機嫌が良かったのもあるが、破壊系の神の割に付き合いしやすいのは確かだな。 人間にも甘い方ではあるし、仲良くしておいて損はないさ。 で、申し訳ないが……オルグレンの主神は気分良く帰ってくれたが、戻ってきた我が国の将軍がかなりのご立腹でな」

「へっ?」

 そして私は、エッチなお仕置きルートへ突入することとなるらしい……。
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