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41.心優しき乱暴者、その正体は聖女なり
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メイドや騎士達に静止されながら、華やかな刺繍がなされたローブを着た黄金色の髪が美しい女性が、姿勢正しく大股で長い廊下を歩いていく。
「お待ちくださいませ聖女様!」
「すぐに陛下をお呼びしますので!」
静止はするが、メイドも騎士も彼女に触れる事はできない。 何しろ彼女はこの世界で最も長寿で、最も多くの神と契約しているエスティ国の聖女『フィール』なのだから、下手な扱いをするわけにはいかない。
聖女は無言でカツカツと音を立てて歩く。
背後には、王位継承を前に聖女の元で神との付き合い方を学ぶために弟子入り中の『華国』王太子の『レオン』と、世界の仕組みと神力の使い方を学ぶために弟子入り中の『スレープ国』大神官候補である少年神官『ラフィール』が後ろに付き従っていた。
聖女はその上品な顔立ちからは想像できない乱暴な態度で、ヒューバートの真実の扉を蹴り壊し、破壊音すら上品に聞こえるのではないかと言う大声で怒鳴りつけた。
「クソガキ共がぁあああ、生きてんなら連絡を寄越せ!!」
「うるせぇ、ばばぁ!!」
寝ぼけた状態でも脊髄反射的に返事をする王様。 そして、ゼルは目覚めから1秒もせずに、せっせと裸のリエルを上掛けでくるみ隠していく。 この場合、もろだしとなる2人は自分の状態を一切気にしていないらしい。
「うわぁ……」
少年神官ラフィールが顔を真っ赤にして扉の入り口に立ちふさがれば、華国王太子レオンが中に入れと背を押した。
聖女は一切の遠慮もなく部屋へと入り込み、テラスへとつながる扉を開け広げベッドの側にいき、靴を履いたままベッドの上に片足をあげる。
「良い身分じゃないかクソガキ共が、神力はぶれ弱まり、定期連絡はしてこない、人に心配させておいて何をしてる、あぁん?」
「聖女様、人目もありますから。 堪えて下さい」
最近はめっきり静止役がいたにつきだした少年神官ラフィールが止めながら、上掛けに隠されながらもひょこりと顔を出すリエルを見てしまい視線があったりする。 妻として連れていくと言うなら当然予測できた事態ではあるのだけど、なぜ王様も? と思えば年若く未経験なラフィールは少しだばかりモンモンとした気持ちを胸に抱える事となった。
まぁ……当事者であるリエル自身、その場の勢いに流されなぜ王様にまで抱かれたのかを理解していないのだから、まだ年若い少年が疑問に思うのは当然の事だろう。
「ふぅ、まぁ、無事ならいいけど。 定期連絡は忘れんな」
口は悪いけれど目の前の女性は優しい人らしいとリエルは微笑ましくみていたのだが、その矛先が自分の所に向けられれば、奇妙な緊張感に襲われることになる。
「あと、そこのチビ」
口の悪い金髪美女は、上掛けから顔を出す私の頭をワシワシと乱暴に撫でながら、にっこりと笑って見せた。 その笑い方は顔立ちが全然違うのに、王様と似ているような気がした。
「は、はい」
「とんでもないのに目をつけられて、アンタも苦労が絶えないだろう。 逃げたくなったら面倒見てやるから、私のところにおいで」
金髪美女が言えば、ゼルが私を抱きかかえて必死に隠すのはいいけれど、
「ちょ、いや、待って、どこに放り込もうとしているんですか!!」
「ぇ、私の私室ですが?」
「ソレは辞めておけ……」
どこかゲンナリした表情と声で王様はいいながら、私をゼルから奪いとり腕の中に保護し、金髪美女へと視線を向けた。
「心配かけたのは悪かったが、こっちにも都合があるんだよ。 だが丁度いい相談したいことがあったんだ。 風呂に入って身支度して、飯を食ってから、あ~~~応接室に行くから、そっちに案内……」
全てを言い終える前に、聖女は部屋一帯にクリーン魔法を発動させた。
「で、服を着るのも手伝いがいるかクソガキ」
睨み合う聖女と王様。
その横からアニーがお辞儀をすれば、視線のはしでそれを目にした王様が私をアニーに手渡し、アニーは私を抱きあげて別室へと移動する。 そして他の侍女達は王様とゼルの服を彼等の側に置いていた。
「ばばぁの手を借りるほど、弱っちゃねぇよ」
そんなことを言いながら着替えだす。
「はぁん? ガキがつよがんじゃないよ。 アンタは確かに一国の王だが、私に取っちゃ只のクソガキだ。 疲れたなら疲れたと言えばいい」
「……くそばばぁ……」
王様は敬愛を込めてそう言った。
さて、どうしてこうなったかは分かりませんが、私は今調理場にいます。
昼食にはかなり遅く、夕食までの方が時間は近い。 オヤツになるのかな? それを何時の間にか私が馳走することになっていたのです。
金髪美女はこの世界で唯一絶対の存在である聖女様で、当然であるかのように私が異界の知識を持っている事が伝わっており、神様が私の作る料理を食べたと聞けば、自分もソレをと要求してきた訳なのです。
「簡単なものでいいから」
と言われても、異世界らしく簡単?
そもそも普段使っている調理場の材料で作る訳ですから、凄く変わった料理と言うものと言うと難しいのですよね。 作業場にある調味料を使って……なんて考えていたところ、丁度良いものが見つかりました。
「聖女様、お願い宜しいでしょうか?」
王様は水の国での出来事の話をしていたのですが、私が近づくことで説明をとめてくれたので遠慮なく声をかけてみます。
「なんだい?」
「これを、食べられるほどに綺麗にしてもらえますか?」
凄く不審な顔で聖女様が私を見てきます。 ふっふふふこれは良い反応が期待できそうですよ。 と言っても作るのは普通のパンケーキですけどね。 調理場の洗浄用具の中に重曹らしきものをみつけたのですよ。 柑橘類の汁と合わせてしゅわしゅわしたので、名前の違いはあっても重曹なのは確実っぽいです。
「まぁ、いいけど。 これを何に使うんだい?」
「それは出来てからのお楽しみです。 ちなみに甘いのと甘くないのドチラがいいですか?」
視線を巡らせれば、王様、レオンさんが甘くない。 残りは甘いでした。 といっても上にかけるものをカリカリベーコンエッグorバターと蜂蜜から選んでもらっただけなんですけどね。 ちなみに私は甘くないを選びました。
材料を混ぜ、焼きは前回の料理で火加減基準を定めた中温で、途中濡れタオルでフライパンの底を冷やし温度を均一にするよう指示をだし、私は重曹&レモン&蜂蜜でレモンスカッシュモドキを作ったりしてました。 興味津々の調理場の人達の分も。
さて、そんな訳で実食に入ります!
「お待ちくださいませ聖女様!」
「すぐに陛下をお呼びしますので!」
静止はするが、メイドも騎士も彼女に触れる事はできない。 何しろ彼女はこの世界で最も長寿で、最も多くの神と契約しているエスティ国の聖女『フィール』なのだから、下手な扱いをするわけにはいかない。
聖女は無言でカツカツと音を立てて歩く。
背後には、王位継承を前に聖女の元で神との付き合い方を学ぶために弟子入り中の『華国』王太子の『レオン』と、世界の仕組みと神力の使い方を学ぶために弟子入り中の『スレープ国』大神官候補である少年神官『ラフィール』が後ろに付き従っていた。
聖女はその上品な顔立ちからは想像できない乱暴な態度で、ヒューバートの真実の扉を蹴り壊し、破壊音すら上品に聞こえるのではないかと言う大声で怒鳴りつけた。
「クソガキ共がぁあああ、生きてんなら連絡を寄越せ!!」
「うるせぇ、ばばぁ!!」
寝ぼけた状態でも脊髄反射的に返事をする王様。 そして、ゼルは目覚めから1秒もせずに、せっせと裸のリエルを上掛けでくるみ隠していく。 この場合、もろだしとなる2人は自分の状態を一切気にしていないらしい。
「うわぁ……」
少年神官ラフィールが顔を真っ赤にして扉の入り口に立ちふさがれば、華国王太子レオンが中に入れと背を押した。
聖女は一切の遠慮もなく部屋へと入り込み、テラスへとつながる扉を開け広げベッドの側にいき、靴を履いたままベッドの上に片足をあげる。
「良い身分じゃないかクソガキ共が、神力はぶれ弱まり、定期連絡はしてこない、人に心配させておいて何をしてる、あぁん?」
「聖女様、人目もありますから。 堪えて下さい」
最近はめっきり静止役がいたにつきだした少年神官ラフィールが止めながら、上掛けに隠されながらもひょこりと顔を出すリエルを見てしまい視線があったりする。 妻として連れていくと言うなら当然予測できた事態ではあるのだけど、なぜ王様も? と思えば年若く未経験なラフィールは少しだばかりモンモンとした気持ちを胸に抱える事となった。
まぁ……当事者であるリエル自身、その場の勢いに流されなぜ王様にまで抱かれたのかを理解していないのだから、まだ年若い少年が疑問に思うのは当然の事だろう。
「ふぅ、まぁ、無事ならいいけど。 定期連絡は忘れんな」
口は悪いけれど目の前の女性は優しい人らしいとリエルは微笑ましくみていたのだが、その矛先が自分の所に向けられれば、奇妙な緊張感に襲われることになる。
「あと、そこのチビ」
口の悪い金髪美女は、上掛けから顔を出す私の頭をワシワシと乱暴に撫でながら、にっこりと笑って見せた。 その笑い方は顔立ちが全然違うのに、王様と似ているような気がした。
「は、はい」
「とんでもないのに目をつけられて、アンタも苦労が絶えないだろう。 逃げたくなったら面倒見てやるから、私のところにおいで」
金髪美女が言えば、ゼルが私を抱きかかえて必死に隠すのはいいけれど、
「ちょ、いや、待って、どこに放り込もうとしているんですか!!」
「ぇ、私の私室ですが?」
「ソレは辞めておけ……」
どこかゲンナリした表情と声で王様はいいながら、私をゼルから奪いとり腕の中に保護し、金髪美女へと視線を向けた。
「心配かけたのは悪かったが、こっちにも都合があるんだよ。 だが丁度いい相談したいことがあったんだ。 風呂に入って身支度して、飯を食ってから、あ~~~応接室に行くから、そっちに案内……」
全てを言い終える前に、聖女は部屋一帯にクリーン魔法を発動させた。
「で、服を着るのも手伝いがいるかクソガキ」
睨み合う聖女と王様。
その横からアニーがお辞儀をすれば、視線のはしでそれを目にした王様が私をアニーに手渡し、アニーは私を抱きあげて別室へと移動する。 そして他の侍女達は王様とゼルの服を彼等の側に置いていた。
「ばばぁの手を借りるほど、弱っちゃねぇよ」
そんなことを言いながら着替えだす。
「はぁん? ガキがつよがんじゃないよ。 アンタは確かに一国の王だが、私に取っちゃ只のクソガキだ。 疲れたなら疲れたと言えばいい」
「……くそばばぁ……」
王様は敬愛を込めてそう言った。
さて、どうしてこうなったかは分かりませんが、私は今調理場にいます。
昼食にはかなり遅く、夕食までの方が時間は近い。 オヤツになるのかな? それを何時の間にか私が馳走することになっていたのです。
金髪美女はこの世界で唯一絶対の存在である聖女様で、当然であるかのように私が異界の知識を持っている事が伝わっており、神様が私の作る料理を食べたと聞けば、自分もソレをと要求してきた訳なのです。
「簡単なものでいいから」
と言われても、異世界らしく簡単?
そもそも普段使っている調理場の材料で作る訳ですから、凄く変わった料理と言うものと言うと難しいのですよね。 作業場にある調味料を使って……なんて考えていたところ、丁度良いものが見つかりました。
「聖女様、お願い宜しいでしょうか?」
王様は水の国での出来事の話をしていたのですが、私が近づくことで説明をとめてくれたので遠慮なく声をかけてみます。
「なんだい?」
「これを、食べられるほどに綺麗にしてもらえますか?」
凄く不審な顔で聖女様が私を見てきます。 ふっふふふこれは良い反応が期待できそうですよ。 と言っても作るのは普通のパンケーキですけどね。 調理場の洗浄用具の中に重曹らしきものをみつけたのですよ。 柑橘類の汁と合わせてしゅわしゅわしたので、名前の違いはあっても重曹なのは確実っぽいです。
「まぁ、いいけど。 これを何に使うんだい?」
「それは出来てからのお楽しみです。 ちなみに甘いのと甘くないのドチラがいいですか?」
視線を巡らせれば、王様、レオンさんが甘くない。 残りは甘いでした。 といっても上にかけるものをカリカリベーコンエッグorバターと蜂蜜から選んでもらっただけなんですけどね。 ちなみに私は甘くないを選びました。
材料を混ぜ、焼きは前回の料理で火加減基準を定めた中温で、途中濡れタオルでフライパンの底を冷やし温度を均一にするよう指示をだし、私は重曹&レモン&蜂蜜でレモンスカッシュモドキを作ったりしてました。 興味津々の調理場の人達の分も。
さて、そんな訳で実食に入ります!
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