【R18】私は運命の相手ではありません【完結】

迷い人

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後編

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 ヴィセは騎士の方々と共に違法薬物の調査に同行させて欲しいと願い出ていた。 ソレを横で耳にした私は、それは良いと思った訳なのです。

「うちからも何人か同行させて頂けないかしら? 小鳥たちなら邪魔にならないでしょう? お願いできませんか?」

 町の中を数日調査しただけで、私の気づいていなかった領地の危機を見つけた。 それが偶然であったとしても、その偶然ですら彼等の成果だと私は思ったから……彼等は優秀だと。

 うちの獣人達は私に対しては厳重過ぎるほどに注意を払うものの、それ以外に関しては興味を持たず、仕事から離れると野生に戻ると言うか本能的になると言うか、そう言うところがあるのですよね。 ですから、怪しい人達に気付かなかったのでしょう。

 もう1ランク上を目指してもらうわ……。

 そんな私の意図を知ってか知らずか、騎士の方々は快く引き受けてくれた。

「ポケットに入るサイズであれば構いませんよ。 それより、そちらの方は大丈夫なのでしょうか? もし戦闘行為が起これば、助けられるかどうか……」

「多分平気だと思うわ」

 試練の鍾乳洞を共に歩いていた時の感覚ですが……。

「もし、足手まといになるようでしたら、囮にでも使って下さい」

 ヴィセが笑いながら提案する。

「あぁ、そうだ。 よければオッズも連れて行きますよ。 彼は敏い子ですきっと良い勉強になるでしょう」

 私の願いを察してくれていた事に驚くしかない。

「そうね……お願い出来るかしら? お出かけ前にコチラの地方で好まれる服をお出ししますから、是非着替えて行ってくださいませ」

「助かります」

「問題が明るみに出る前に対策が出来た事感謝いたします」

 領地を預かる者として私は頭を下げる。

 その後、私は彼等が準備を終えるまで、小鳥部隊を選定する事を告げ外に向かって合図を送り……そして、私は苦々しい思いと共に部屋を出て行く騎士様達に聞くのだった。

「ラスティは騎士として……どうなのかしら?」

「どうとは、能力的にと言う事でしょうか?」

 私の問いかけは疑いが込められていたと思う。 私の中のラスティはダメ人間と言う印象ばかりが強く、外からの評価に対して疑念を抱いていたから……。

「えぇ」

「とても優秀ですよ。 同期の中では一番努力家で判断力もある」

「そう」

 短く答えた時の私は、多分騎士の言葉を信用できないと言う顔をしていたと思う。 判断力があるなら、なぜ、カミラと……そう思ってしまうから。 そして私の思いを騎士達は察しているようだった。

「今は、仕方がないかもしれません。 恋は病と言いますし。 ですが、良ければ、彼にチャンスをあげてください。 悪い奴ではないんです」

「そうね……」

 頼る事ができるなら頼りたいと思っているのには嘘はない。 それでも彼のカミラへの情を考えれば決断するにできない……そんな思いが曖昧になっていたと思う……。



 そして、数十分後に私は彼等を見送り、執務室へと戻った。



 目の前には山のように積みあがる書類。

 商船の荷物に対して嘘の報告がなされていたと言う事実を知れば、実際には目の前にある仕事の何倍もの仕事が存在していると言っても間違いはないだろう。 

 それなのに、私はカミラの事ばかり考えていた。 まるで……恋でもするように……。 そう思えばイラっとして紙を破きそうになって、危険だわ……。

 ふぅ……私は溜息をつく。

 今、カミラは自分への評価を知っているのでしょうか?

「カミラが何も知らず……ラスティが当主となると信じているなら、きっとこちらの屋敷に戻ってきますよね……」

 今のラスティは使い物にならない……我慢できずに事実を告げたけれど、もっとうまく使うべきだったのではないだろうか? 私は、そう悩んで止まない。

「そうだろうな。 知り合いだと身を置く怪しい商会がレイダー領にあって、レイダー領の当主……候補と認識されているものに繋がりを持とうとしたんだから」

 そう語るルカは私の仕事を手伝うために人の姿を取っていた。

「んっ? その言い方に棘を感じるわ」

「なんですか、面倒ですね」

「面倒って何よ」

「仕事」

 30分ほどの沈黙。
 ペンが動き、紙をめくる音が2人分。

「……ラスティとは恋をしたのではなく、狙われたと思っているの?」

「やり手の女性が恋をする相手には見えないからな」

「私には分からないわ……ルカには分かるの?」

 男なのに? と言うのが、隠された私の言葉。 ルカはわしゃわしゃと自分の頭を乱暴にかき、そして……無視して視線を仕事へと戻した。

 そして、また30分ほどの沈黙。

「ラスティに話しをしてはどうだ?」

「ラスティに、カミラが怪しいと……伝えるのですか?」

 屋敷に戻って来てからのラスティを思い出せば、あなた何を言っているの? と、言わんばかりに私はルカを見ていたと思う。

「あぁ」

「本気な訳?」

 ルカは、私が購入した初めての獣人奴隷。
 ブレンダもまたルカに期待し、執事として教育を受けさせてくれた。

 隷属契約は無くとも、彼は私のために存在してきた。

 10歳の年から8年の間。

 それは……

 信頼の期間であり……執着の期間。
 無くてはならない存在となるには十分な時間。
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