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蛇足(R18)

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 ずっと黒虎の姿だったルカは他人のようで……好きと言われて……不安だった。 私……彼が人の姿でも信頼できるのかしら? 好きなのかしら? って……。 だって、私は皆好きだから。

 手放したくない。
 誰かに渡したくない。

 だから混乱した。

 無くしたくない……でも……。

 時間をかけてくれた。

 添い寝するだけと言われ、夜の護衛が猛獣系女子からルカに変わっただけと……最初は考えたけど、人の姿だと全然違う。 寝苦しさにモソモソと動けば優しい手で撫でてくれた。 穏やかな声で名前を呼んでくれる。

 夜中にコッソリ起きて見下ろす顔立ちが……昼の精悍な印象と違って綺麗で……そっと口づけしてみたら、抱きしめられて、口づけを返された。 戯れるように日常が繰り返される。

 好きが……が増えていく。

 抱きしめられ、腕に中で甘え、その胸に頬を摺り寄せる。 大きな手が頭から背中、全身を撫でてくる。 心地よさに、ウットリとして直ぐにうとうとしそうになって、甘い口づけが落とされる。

「ルカ……好き」

「あぁ、俺もだ」

 当たり前のように言葉に出るようになって、チュッチュッと交わされる口づけがくすぐたい。 ルカは舌先でペロリと私の唇を舐め甘く歯を当てられるから、私も同じように甘えて唇を舐めた。

 舌と舌が舐め合えば……いつもよりも鼓動が早くなってくる。 触れる唇が角度を変え、深さを変え、甘やかすように舌を撫でるように舐め、吸い上げ、優しく抱きしめる手が、胸に触れて来る。

 唾液が絡み合う濃厚な口づけ、大きな手が胸を包み込み触れてくるから、身体が徐々に熱をもっていく。 両足の間が熱く濡れているのが分かって……それがとても恥ずかしくて……どうやって隠そうかと混乱すれば……。

 触れ合う唇は離れ、額同士をコツンと合わせ瞳が甘く微笑むから、私も……彼に微笑み返す。 甘い気分が胸の中一杯に広がっていく。

 チュッチュと音を立て軽い口づけ。
 唇から首筋、鎖骨へと移動していく。

 背筋にゾクリとした感覚が甘く走る。

「ぁっ!」

 背筋がヒクつき弓なりに跳ねた。

「ここが、気持ちいいんだ?」

 首筋が執拗に舐められ、甘く疼く身体が腕の中で身じろぎすれば、首筋への口づけと共に甘い笑い声、吐息が刺激する。 両胸に触れる手が柔らかな肉に触れ、硬くなった先端の果実を指先で撫で触れ、摘ままれ、擦られた。

「ぁ、だめ……」

 チュッと繰り返される首筋への口づけられ、舐め挙げられる。 耳裏にチュッとキツク吸い上げられ、甘い快楽に身じろぎをする中で、寝間着の中に手が入って来て、腹を撫で、胸を撫でられる。

「いいか?」

 荒く乱れる呼吸。
 早くなる鼓動。

 男らしい大きな手は大きくて、そして少しゴツゴツしていて、肌に荒く触れられるのが……心地よくて、嬉しくて……コクリと小さく頷いた。

 身体を撫でる手は、優しいまま、簡単に服が剥かれていく。

「ぁ、やっぱり」

「やっぱり、なんだ?」

 耳元で甘く囁くから……嫌だとは言えない。

「恥ずかしい……」

「平気平気、俺だって何時も裸を見られている」

「毛を着てるもの」

「それは、確かに脱ぐと恥ずかしいなぁ~」

 そんな事を言うから、つい笑ってしまう。 笑う私の首元を、顎の下を触れる手が優しく擽り、反対の手で私の服を剥いていた。

 抱きしめて、頭を撫でられた。
 
 フワリと……良く手入れされた柔らかな毛並が肌に触れてきた。 チュッと触れる口づけ、ザラリとした大きな舌が、私を甘やかせば、私はクスクスと笑ってしまう。

『いい子だ』

 甘い触れ合い……。
 ザラリとした獣の舌が肌を刺激する。
 私も獣になったような気がして、それが甘いじゃれ合いのようで、私も毛並を撫で耳元を甘く口に含みじゃれあった。

 そして……私達は甘い甘い夜に眠った。



 少しずつ少しずつ増える触れ合い。

 目を覚ませば、朝食の準備がされていた。

「さぁ、今日も頑張って働くぞ」

 頭をぐりぐりと撫でられ、私は甘えるように口づけを求めていた。 私達の関係は少しずつ甘い物へと変わって行き……。

「これは、少し困ったわ」

「どうなさいました? 奥様」

 今は誰の奥様でも無いのだけど、どうせすぐに結婚するのだろうとポーラは私を奥様と呼び続けていて、そんな事ぐらいどうってことないはずなのに、今はとっても恥ずかしい。

「なんだか、凄くふわふわして、仕事の効率が落ちているの」

 こう、何とも言いようのない感情に翻弄されている私の目が潤んでいるのは自分でもわかっていた。 

『あらあら、まぁまぁ』

 そう笑うのはローズで、そんなローズと視線を合わせたポーラも笑っていた。

「なによ……」

『お仕事の方はルカ様に負担を増やしてもらいましょう』

「それに、事務仕事を得意な方をラスティ様に紹介して頂いてはいかがですか?」

「……そうね……」

 私はデスクに突っ伏して見悶えた。

「ねぇ……、こう、恋人ってこんなに、心がムズムズするものなの?」

『さぁさぁ、どうでしたでしょうねぇ~。 随分昔の事ですから、どうです? 人の紹介をお願いするついでに聞いて見れば』

「そうね、お茶の準備をお願いして良いかしら?」

『うぇぁお……』

 大きな金色の獣が大きな前足で顔を覆った。

『がぅうううううう』

 目を細め低く唸る白い狼。

『なんだ、この……気持ちは……私は兄弟は居ないのだけど、こう、妹の恋心を聞いてショックを受ける時って……』

『私の主様は渡さない!!』

「えっと、聞きたいのはそういうのじゃないのぉおおお!! 2人は一緒にいて、こう、胸の奥がムズムズしたりしない?」

『そういう時は、訓練に励みます』

「ラスティは?」

『私は……。 ブランが強くて……』

「ブランは強いよ?」

 強さと何が関係あるのだろう? と、ラスティを見れば……とほほって感じで顔を反らされた。

『それで、そんな事を聞きに来たのですか?』

 ジッと見ていれば居たたまれない様子でラスティが聞いてくる。

「そうでしたわ!! 私、事務の人員補充をしたくて、誰か紹介してくれないかしら?」

 2人は獣人と騎士団の中から、推薦をしてくれるといい、屋敷の方に戻ろうとすれば……ルカが私を迎えに来ていた。

「何?」

「俺のお姫様を迎えに来た『ほら、おいで』

 ユックリと獣姿で横により背に乗るように促すのだ。

『少し散歩していくか?』

「仕事残っているよ」

『遊んだ分、遅くまでするか、スピードアップすればいい』

「いえ、止める。 仕事する。 最近ずっとユルユルしていて、足元がすくわれそうだから、ちょっと気合を入れて仕事をするわ」

『そうだな……。 ちょっと、警備の方も徹底させるのもいいかもしれない。 俺も少し気を緩めていたから』

 私達は穏やかに笑い、身を寄せ合う。



 ルカの深く切ない溜息を気づかないまま。
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