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3章 罪人
04.
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まさかあり得ない。
そう語るのは、カルロス、そして文官たちと塔の魔女。
そんな声が上がる中、どれほどの魔物を国に隠して他国へと流しているのかの書面が、出回った。 流通の加担した行商人の数は多いが、その金銭は、運命を誓った娘に貢がれ、聖女から逃れ他所の国で結婚をしようと約束を交わしたのだと噂された。
そして可哀そうな聖女様が出来上がる。
王も、涙に濡れる聖女、聖女を憐れむ8割にも及ぶ臣下から求められれば……処刑を求める声をすぐに鎮圧する事は出来なかった。 状況を見て、抜け道を探そうとする者達が必死に動いていた。
「副長!! 助けに参りました!!」
部下であった聖騎士達が見たレイモンドの姿は、鞭うたれ聖騎士の衣装はズタボロに破れ、汚れ、髪も顔を汚れ乱れていた。
「おや、元気そうでよかった」
向けて来る笑みは、毎日見て来た微笑みと何も変わらない。
「副長……」
声がうるんでいた。
瞳が濡れていた。
「泣く程の事ではないでしょう」
宥めるように告げた。
「ですが!! ここは聖騎士達相手の懲罰房、神の加護が届きません」
それが獣性による力を言っているのだと思えばレイモンドは苦い顔をした。
意味を成していない手枷足枷が外され、懲罰房の外へと出た。 人に見られているそんな気配がする。
孤児として育った仲間が、裏切ったとは思いたくはなかった。 隙の多い子達だから後をつけられたのだろう……そう考えた。
「君達はもう行きなさい。 私と一緒にいると危険です」
「いえ、共に行かせてください。 副長のいない騎士団なんて……意味がありません!!」
「そんな事を言うものではありませんよ。 貴方達も経験を積み十分にその力を振るう事ができるはずです」
「お供します」
「行く先の無い逃亡になります」
むしろ何もしたくなかった。
一人なら死ぬことも出来ると思った。
「ですが、伝手はあるのでしょう? この先に、馬が待っています。 行きましょう、副長。 残った者達は副長の無罪を晴らすと意気込んでいます。 とにかく、今は逃げるべきです。 お願いします、副長の処刑を目論む者がいるんです!!」
周囲の気配は増えていくが、見張っている者達が捕らえに来る様子はないように思える。 それは罠かもしれないが、今の所は周囲を見張る者達が脅威になるとは感じなかった。
殺気が無い。
視線を感じるのに見逃す様子が不気味ですがね。
部下に行った通り、これからの宛て等ない。 それでも、私を気遣い共に居るという誰かがいるなら……何かを考えなければいけなかった。
「わかりました。 行きましょう」
情報を得られる環境には居なかった。
それでも、毎日のようにカルロスがやってきて語ってくれた。 今回の出来事は、聖女との婚姻を望んだアンソニー・シニーズ公爵令息が音頭を取っていると言う話だった。
『言ってくれれば幾らでも婚約破棄をするのに』
そう言えばカルロスは、眉間を寄せて溜息交じりに告げた。
『お前、聖なる婚約を交わしたことを忘れているのか? アレは不貞を許さないために決められた相手以外は不感症になるって言う呪いだろう?』
実際には……聖女はその影響下には無いけれど、世間体的には聖なる婚約は成立した事になっていて、カルロスは真剣に突破口を探してくれていた。
『破棄は出来ないものなのでしょうか?』
気遣ってくれるカルロスの前で、もうどうでもいいと投げやりにはなれず……疲れた様子で意味の無い問いかけをする。
『一応、調べてみたが、解除したと言う文献は無かった。 神は誓いを尊び加護を与えるんだろう?』
『まぁ……そうですね……』
『聖女の方は未だにポンコツだがな』
『一応、聖女様ですよ』
『お前の一応もなかなかアレだと思うが』
『それで? 解除不可能な契約を聖女様はどうなさるつもりですか?』
『一つだけ、契約を無効にする方法がある』
『それは?』
『お前の死だ』
何処までも笑いそうになった。
狂ったように笑いそうになるのを必死に堪えた。
だからアルエットは殺された!!
あらぶり叫びそうになる感情を必死に抑え、ひねり出すように、多分一般的に返されるだろう応えを返す。
『それは困りましたね』
『逃げる事を考えろ』
『それで、諦めてくれると良いのですけどね』
『死んでやるつもりか?』
『どうでしょうねぇ』
そんな会話と共に酒を酌み交わした日を思い出す。
彼は……今も心配しているのでしょうね……。
「副長は、何か宛てはありますか?」
思い出に囚われている中、不意に部下の声が現実に引き戻してきた。
「君達が来たのは、想定外ですからね。 まだ、どう逃げるかは思いつきませんが……故郷の墓参りに行きたいですね。 聖騎士になってから、ずっと帰っていませんでしたから」
馬上でうつむいた。
この国は貧乏で、多くの人達が魔物に殺された。
私が生まれ育った村の者達もみんな殺され喰われた。
小さな村で生まれ育った両親だが、それなりに裕福な生活を送る事ができるだけの商売をしていた。 働き者の村人達は夜も昼も無く働いていた。 男は光を受けると光る特殊な木を彫り子供向きのオモチャや装飾品を作り、女は布地に美しい刺繍をし売り物にした。
贅沢が許されないこの国では無駄な趣味でも、他国相手には良い金となり、飢えと寒さを凌ぐのに十分な利益を得た。 他国の商人との仲買、それが父の仕事で、私は父の跡を継ぐために文字も計算も学んだ。 貴族に会う事も多いからと礼儀作法も学んだ。
人生が変わったのは魔物のせいだった。
『地下に逃げろ!!』
身を挺して父は私を逃がした。
怖くて、怖くて……外に出る事が出来なかった……地下の扉が開かれたのは、魔物に襲われた村があると耳にした孤児たちだった。
食料が喰いつくされ、それでも足りないと人も食べられていた。 両親と思われるのは……血の染みだけだった。
人のいなくなった村に残った金目の物を盗む目的で、他所から孤児達が訪れ漁りまわっていて……盛大な喧嘩をしたけれど、色々あって、結局は彼等と共に行く事になった。
『数や文字が分かる奴がいるのはいい。 大人に騙される事が亡くなるからな』
最年長の少年がそう言って、村に残ると暴れる私を無理やり、人の多い町へと連れて行った。
それからの私は、奪って、争って、逃げて……そして生き残った。 髪も皮膚もボロボロでやせ細り、飢えと寒さで死んだ者も居たけれど、私は生き残った。 生き残り続けた。
そして……運が良かった。
アルエットと出会えたのだから……。
「あぁ、そうだ……」
ボソリと呟く私に、部下は嬉々として問うてきた。
「行先、決まりましたか?」
「えぇ、故郷に」
力を求めた幼いあの日。
私はもう一つ願った。
故郷の村を弔って欲しいと。
その約束は叶い故郷の村人達は、約束した通り弔われた。 ずっと長い間、故郷に帰っていなかった。 これからも帰る事がないのなら……最後に一度……故郷に帰りたかった。
そして……両親と共に、アルエットを弔いたかった。
レイモンドの手には赤く長い髪が1本残されていた。
そう語るのは、カルロス、そして文官たちと塔の魔女。
そんな声が上がる中、どれほどの魔物を国に隠して他国へと流しているのかの書面が、出回った。 流通の加担した行商人の数は多いが、その金銭は、運命を誓った娘に貢がれ、聖女から逃れ他所の国で結婚をしようと約束を交わしたのだと噂された。
そして可哀そうな聖女様が出来上がる。
王も、涙に濡れる聖女、聖女を憐れむ8割にも及ぶ臣下から求められれば……処刑を求める声をすぐに鎮圧する事は出来なかった。 状況を見て、抜け道を探そうとする者達が必死に動いていた。
「副長!! 助けに参りました!!」
部下であった聖騎士達が見たレイモンドの姿は、鞭うたれ聖騎士の衣装はズタボロに破れ、汚れ、髪も顔を汚れ乱れていた。
「おや、元気そうでよかった」
向けて来る笑みは、毎日見て来た微笑みと何も変わらない。
「副長……」
声がうるんでいた。
瞳が濡れていた。
「泣く程の事ではないでしょう」
宥めるように告げた。
「ですが!! ここは聖騎士達相手の懲罰房、神の加護が届きません」
それが獣性による力を言っているのだと思えばレイモンドは苦い顔をした。
意味を成していない手枷足枷が外され、懲罰房の外へと出た。 人に見られているそんな気配がする。
孤児として育った仲間が、裏切ったとは思いたくはなかった。 隙の多い子達だから後をつけられたのだろう……そう考えた。
「君達はもう行きなさい。 私と一緒にいると危険です」
「いえ、共に行かせてください。 副長のいない騎士団なんて……意味がありません!!」
「そんな事を言うものではありませんよ。 貴方達も経験を積み十分にその力を振るう事ができるはずです」
「お供します」
「行く先の無い逃亡になります」
むしろ何もしたくなかった。
一人なら死ぬことも出来ると思った。
「ですが、伝手はあるのでしょう? この先に、馬が待っています。 行きましょう、副長。 残った者達は副長の無罪を晴らすと意気込んでいます。 とにかく、今は逃げるべきです。 お願いします、副長の処刑を目論む者がいるんです!!」
周囲の気配は増えていくが、見張っている者達が捕らえに来る様子はないように思える。 それは罠かもしれないが、今の所は周囲を見張る者達が脅威になるとは感じなかった。
殺気が無い。
視線を感じるのに見逃す様子が不気味ですがね。
部下に行った通り、これからの宛て等ない。 それでも、私を気遣い共に居るという誰かがいるなら……何かを考えなければいけなかった。
「わかりました。 行きましょう」
情報を得られる環境には居なかった。
それでも、毎日のようにカルロスがやってきて語ってくれた。 今回の出来事は、聖女との婚姻を望んだアンソニー・シニーズ公爵令息が音頭を取っていると言う話だった。
『言ってくれれば幾らでも婚約破棄をするのに』
そう言えばカルロスは、眉間を寄せて溜息交じりに告げた。
『お前、聖なる婚約を交わしたことを忘れているのか? アレは不貞を許さないために決められた相手以外は不感症になるって言う呪いだろう?』
実際には……聖女はその影響下には無いけれど、世間体的には聖なる婚約は成立した事になっていて、カルロスは真剣に突破口を探してくれていた。
『破棄は出来ないものなのでしょうか?』
気遣ってくれるカルロスの前で、もうどうでもいいと投げやりにはなれず……疲れた様子で意味の無い問いかけをする。
『一応、調べてみたが、解除したと言う文献は無かった。 神は誓いを尊び加護を与えるんだろう?』
『まぁ……そうですね……』
『聖女の方は未だにポンコツだがな』
『一応、聖女様ですよ』
『お前の一応もなかなかアレだと思うが』
『それで? 解除不可能な契約を聖女様はどうなさるつもりですか?』
『一つだけ、契約を無効にする方法がある』
『それは?』
『お前の死だ』
何処までも笑いそうになった。
狂ったように笑いそうになるのを必死に堪えた。
だからアルエットは殺された!!
あらぶり叫びそうになる感情を必死に抑え、ひねり出すように、多分一般的に返されるだろう応えを返す。
『それは困りましたね』
『逃げる事を考えろ』
『それで、諦めてくれると良いのですけどね』
『死んでやるつもりか?』
『どうでしょうねぇ』
そんな会話と共に酒を酌み交わした日を思い出す。
彼は……今も心配しているのでしょうね……。
「副長は、何か宛てはありますか?」
思い出に囚われている中、不意に部下の声が現実に引き戻してきた。
「君達が来たのは、想定外ですからね。 まだ、どう逃げるかは思いつきませんが……故郷の墓参りに行きたいですね。 聖騎士になってから、ずっと帰っていませんでしたから」
馬上でうつむいた。
この国は貧乏で、多くの人達が魔物に殺された。
私が生まれ育った村の者達もみんな殺され喰われた。
小さな村で生まれ育った両親だが、それなりに裕福な生活を送る事ができるだけの商売をしていた。 働き者の村人達は夜も昼も無く働いていた。 男は光を受けると光る特殊な木を彫り子供向きのオモチャや装飾品を作り、女は布地に美しい刺繍をし売り物にした。
贅沢が許されないこの国では無駄な趣味でも、他国相手には良い金となり、飢えと寒さを凌ぐのに十分な利益を得た。 他国の商人との仲買、それが父の仕事で、私は父の跡を継ぐために文字も計算も学んだ。 貴族に会う事も多いからと礼儀作法も学んだ。
人生が変わったのは魔物のせいだった。
『地下に逃げろ!!』
身を挺して父は私を逃がした。
怖くて、怖くて……外に出る事が出来なかった……地下の扉が開かれたのは、魔物に襲われた村があると耳にした孤児たちだった。
食料が喰いつくされ、それでも足りないと人も食べられていた。 両親と思われるのは……血の染みだけだった。
人のいなくなった村に残った金目の物を盗む目的で、他所から孤児達が訪れ漁りまわっていて……盛大な喧嘩をしたけれど、色々あって、結局は彼等と共に行く事になった。
『数や文字が分かる奴がいるのはいい。 大人に騙される事が亡くなるからな』
最年長の少年がそう言って、村に残ると暴れる私を無理やり、人の多い町へと連れて行った。
それからの私は、奪って、争って、逃げて……そして生き残った。 髪も皮膚もボロボロでやせ細り、飢えと寒さで死んだ者も居たけれど、私は生き残った。 生き残り続けた。
そして……運が良かった。
アルエットと出会えたのだから……。
「あぁ、そうだ……」
ボソリと呟く私に、部下は嬉々として問うてきた。
「行先、決まりましたか?」
「えぇ、故郷に」
力を求めた幼いあの日。
私はもう一つ願った。
故郷の村を弔って欲しいと。
その約束は叶い故郷の村人達は、約束した通り弔われた。 ずっと長い間、故郷に帰っていなかった。 これからも帰る事がないのなら……最後に一度……故郷に帰りたかった。
そして……両親と共に、アルエットを弔いたかった。
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