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霊媒師が来ました
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「うるせーな……」
初めて聞く雄吾のイライラした声に、身体がびくりと震えた。それにすぐに気づいた雄吾は「お前には言ってないから」と私の額に唇を押し付けてくるので、その甘い態度に頭の奥がぐずぐずに溶けてしまいそうになる。
先日雄吾が私を、えー、あー……い、イかせてから、雄吾は私に性的な接触をするようになった。最後までするわけではなく私を気持ちよくさせるばかりなのでちょっと申し訳なく思っていると、私が身体を小さくするのに察したのか、「今は慣れさせてるだけだ。慣れたら挿れる」と堂々と言った。堂々と言うのはどうなんだろうね……。
今も、それをしているところだった。雄吾の口で指で、私の身体はすっかり蕩け切っている。
そんな中で、インターホンが鳴ったのだ。最初は雄吾は無視していたが、何度も何度も鳴って、ついにイライラしてきた。私も出た方が良いと雄吾の身体を押すと、雄吾はムっとした顔をしながら、私の白装束をさっと直して立ち上がる。どうせ雄吾以外に私の姿が見えることはないのだけど。背中からでも怒っているのがわかる雄吾をぺたりと座ったまま見送った。
がちゃり、とドアが開く音がすると、雄吾の怒鳴り声と、二人分の足音が聞こえてくる。
こっちに来る。私はあたふたして立ち上がり、クローゼットの中に入った。見られることはないけど、なんとなく。
「……匂いがする」
「おい、勝手に入んなって言ってんだろ!」
「こっちだな」
雄吾ともう一人、男の人の声がしてじっとしていると、かちゃ、とクローゼットが開いた。
「お前か」
見下ろしてくる男を見上げて私はぽかんとする。冷たさを感じる顔だが随分と整っていて、切れ長の瞳は深い藍色。
私に、声かけたの? っていうか、私のこと、見えてる?
目を丸くしていると、男はクローゼットの中に手を入れて、黒い手袋をつけた手で、私の腕を掴んだ。
「要!」
この人の名前だろうか。雄吾が叫んだのを無視して、私を掴んだ人は私をクローゼットの中から引っ張り出した。
私を掴む手を振り払おうとしてもびくともしないが、雄吾がその手を離させる。
「要、何で来た」
「従兄弟が訳あり物件に住み始めたと聞いたから来た」
「んだそりゃ」
二人の会話を聞いていると、どうやら雄吾の従兄弟らしいことがわかった。全然似てない。まあ、従兄弟ならそんなものか。
「祓うか」
雄吾の従兄弟――要から出た言要に、私はびっくりする。ハラウって、祓う? この人、こんな身なりなのに、髪長いのに、お坊さんなのっ⁉
『ゔあああゔああ⁉』
「違う。俺は霊媒師だ」
霊媒師⁉ すっごいインチキっぽさ増したよ!
……っていうか、待って? 今、私の言要、通じた?
「おい、こいつの言ってることわかるのか」
「わかる。お前は見えて触れるが、俺は見えて聞えるからな」
『ゔあああ?』
「触れるのはこの手袋のせいだ」
要が手を上げたので、その黒い手袋を見つめる。ほえー。そんな便利グッズが。
……っていうか、すごい。喋れてる。ストレスレス。最高。私が感動していると、雄は私の肩を掴んで自分の方へと引き寄せた。
雄吾は、私を要から隠そうとしているみたいだった。
「……雄吾。昔、言っただろう。決して人ならざるモノには気を許すなと。奴等の思考は人間とは違うんだ。何をされるかわかったものじゃないぞ」
「俺だって悪いモンか良いモンかくらいかはわかる」
「ハァ、全く、頑固な奴だ。俺が確かめる。こっちにソレを貸せ」
「……余計なことはするなよ」
しぶしぶ、雄吾は私を要の前に出した。要はしばらくじっと私を見る。
「口を開けろ」
『あ゛』
「もっとだ。めいっぱい開けろ」
『あ゛あ゛』
まさか、病院で風邪ひいた時のやつだろうか。言われた通りに口を大きく開くと、要は手を伸ばしてきて、指を口の中に突っ込んできた。
『ん゛ゔ!』
「要!」
「雄吾、抑えておけ」
『ゔ――――っっ!』
要の細くて長い手袋に包まれた親指と人差し指が、私の舌を掴んでぐっと引っ張った。そして、もう片手で、口の中を探るように動かす。
ぐえっ! ひどい! 幽霊じゃなかったら絶対このお綺麗な顔に吐いてた! 私は暴れたが、雄はぎゅっと私を抱き締めたまま離さないし、要の手を止めようとしなかった。
私の口の中で何かを探すような動きをしていた手が止まると、今度は上顎と下顎を押さえられる。顎を外されそうな勢いに、私は涙目になった。ようやく解放された時には私は息も絶え絶えになっていた。
こいつ、嫌いっ!
「……コレには問題はないな」
「だから言っただろ」
「では、なぜこの世にとどまっている?」
『ゔあ?ゔあああ、ゔぁぁぁあああ」
できるもんなら成仏したい。この部屋から出たいけど無理だから、お坊さんを呼んできて欲しい。
そう言うと、要は眉間にしわを寄せた。
私はちゃんと、最初から自分が幽霊だと自覚して成仏したいと思っていたのだ。……雄吾とこうなってからは、ちょっと、違ったけど。それは置いといて。
要は霊媒師だと言ったけど、成仏はさせてくれるんだろうか? インチキっぽくてちょっとやだな。
「この部屋から出られない?お前は地縛霊ではないだろう」
『ゔぁ?』
えっ、私、地縛霊じゃないの?首を傾げると、要は小さくため息をついた。呆れられている。失礼すぎ。
「それもわかっていないのか……。まあいい。この世に大きな未練がないのなら、成仏するのは簡単だ。胎に精を受ければいい」
「ぶっ!」
いきなり雄吾が咽るように噴き出したので、驚いてしまう。雄はげほごほ咳をして、要を睨んだ。
ていうか、ハラにセイを受けるって、何?ハラって、腹?お腹のことかな。セイは、えー……え?
「つまり、中出しだ」
『ゔっっっっっ!』
私も咽た。
初めて聞く雄吾のイライラした声に、身体がびくりと震えた。それにすぐに気づいた雄吾は「お前には言ってないから」と私の額に唇を押し付けてくるので、その甘い態度に頭の奥がぐずぐずに溶けてしまいそうになる。
先日雄吾が私を、えー、あー……い、イかせてから、雄吾は私に性的な接触をするようになった。最後までするわけではなく私を気持ちよくさせるばかりなのでちょっと申し訳なく思っていると、私が身体を小さくするのに察したのか、「今は慣れさせてるだけだ。慣れたら挿れる」と堂々と言った。堂々と言うのはどうなんだろうね……。
今も、それをしているところだった。雄吾の口で指で、私の身体はすっかり蕩け切っている。
そんな中で、インターホンが鳴ったのだ。最初は雄吾は無視していたが、何度も何度も鳴って、ついにイライラしてきた。私も出た方が良いと雄吾の身体を押すと、雄吾はムっとした顔をしながら、私の白装束をさっと直して立ち上がる。どうせ雄吾以外に私の姿が見えることはないのだけど。背中からでも怒っているのがわかる雄吾をぺたりと座ったまま見送った。
がちゃり、とドアが開く音がすると、雄吾の怒鳴り声と、二人分の足音が聞こえてくる。
こっちに来る。私はあたふたして立ち上がり、クローゼットの中に入った。見られることはないけど、なんとなく。
「……匂いがする」
「おい、勝手に入んなって言ってんだろ!」
「こっちだな」
雄吾ともう一人、男の人の声がしてじっとしていると、かちゃ、とクローゼットが開いた。
「お前か」
見下ろしてくる男を見上げて私はぽかんとする。冷たさを感じる顔だが随分と整っていて、切れ長の瞳は深い藍色。
私に、声かけたの? っていうか、私のこと、見えてる?
目を丸くしていると、男はクローゼットの中に手を入れて、黒い手袋をつけた手で、私の腕を掴んだ。
「要!」
この人の名前だろうか。雄吾が叫んだのを無視して、私を掴んだ人は私をクローゼットの中から引っ張り出した。
私を掴む手を振り払おうとしてもびくともしないが、雄吾がその手を離させる。
「要、何で来た」
「従兄弟が訳あり物件に住み始めたと聞いたから来た」
「んだそりゃ」
二人の会話を聞いていると、どうやら雄吾の従兄弟らしいことがわかった。全然似てない。まあ、従兄弟ならそんなものか。
「祓うか」
雄吾の従兄弟――要から出た言要に、私はびっくりする。ハラウって、祓う? この人、こんな身なりなのに、髪長いのに、お坊さんなのっ⁉
『ゔあああゔああ⁉』
「違う。俺は霊媒師だ」
霊媒師⁉ すっごいインチキっぽさ増したよ!
……っていうか、待って? 今、私の言要、通じた?
「おい、こいつの言ってることわかるのか」
「わかる。お前は見えて触れるが、俺は見えて聞えるからな」
『ゔあああ?』
「触れるのはこの手袋のせいだ」
要が手を上げたので、その黒い手袋を見つめる。ほえー。そんな便利グッズが。
……っていうか、すごい。喋れてる。ストレスレス。最高。私が感動していると、雄は私の肩を掴んで自分の方へと引き寄せた。
雄吾は、私を要から隠そうとしているみたいだった。
「……雄吾。昔、言っただろう。決して人ならざるモノには気を許すなと。奴等の思考は人間とは違うんだ。何をされるかわかったものじゃないぞ」
「俺だって悪いモンか良いモンかくらいかはわかる」
「ハァ、全く、頑固な奴だ。俺が確かめる。こっちにソレを貸せ」
「……余計なことはするなよ」
しぶしぶ、雄吾は私を要の前に出した。要はしばらくじっと私を見る。
「口を開けろ」
『あ゛』
「もっとだ。めいっぱい開けろ」
『あ゛あ゛』
まさか、病院で風邪ひいた時のやつだろうか。言われた通りに口を大きく開くと、要は手を伸ばしてきて、指を口の中に突っ込んできた。
『ん゛ゔ!』
「要!」
「雄吾、抑えておけ」
『ゔ――――っっ!』
要の細くて長い手袋に包まれた親指と人差し指が、私の舌を掴んでぐっと引っ張った。そして、もう片手で、口の中を探るように動かす。
ぐえっ! ひどい! 幽霊じゃなかったら絶対このお綺麗な顔に吐いてた! 私は暴れたが、雄はぎゅっと私を抱き締めたまま離さないし、要の手を止めようとしなかった。
私の口の中で何かを探すような動きをしていた手が止まると、今度は上顎と下顎を押さえられる。顎を外されそうな勢いに、私は涙目になった。ようやく解放された時には私は息も絶え絶えになっていた。
こいつ、嫌いっ!
「……コレには問題はないな」
「だから言っただろ」
「では、なぜこの世にとどまっている?」
『ゔあ?ゔあああ、ゔぁぁぁあああ」
できるもんなら成仏したい。この部屋から出たいけど無理だから、お坊さんを呼んできて欲しい。
そう言うと、要は眉間にしわを寄せた。
私はちゃんと、最初から自分が幽霊だと自覚して成仏したいと思っていたのだ。……雄吾とこうなってからは、ちょっと、違ったけど。それは置いといて。
要は霊媒師だと言ったけど、成仏はさせてくれるんだろうか? インチキっぽくてちょっとやだな。
「この部屋から出られない?お前は地縛霊ではないだろう」
『ゔぁ?』
えっ、私、地縛霊じゃないの?首を傾げると、要は小さくため息をついた。呆れられている。失礼すぎ。
「それもわかっていないのか……。まあいい。この世に大きな未練がないのなら、成仏するのは簡単だ。胎に精を受ければいい」
「ぶっ!」
いきなり雄吾が咽るように噴き出したので、驚いてしまう。雄はげほごほ咳をして、要を睨んだ。
ていうか、ハラにセイを受けるって、何?ハラって、腹?お腹のことかな。セイは、えー……え?
「つまり、中出しだ」
『ゔっっっっっ!』
私も咽た。
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