幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

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局と魔法と原石たち

創造する神

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呼び出しを受け、ポーラ、セレス、ミナと共にある部屋を訪れた。

俺とは対照的に緊張した様子の三人から、これから会うのはそういう人達だと認識した。

「失礼します」

ポーラを先頭に入室すると数人の女性達が並んで座っていた。

その内の一人には見覚えがあった。確かアローニャと言っていた気がする。

「エルメント・ジュエル、ポーラ・テアトリーヌです」

そう言うとポーラは一礼した。

「パースレール、セレス・ハーディです」

「アルカナフォート、ミナ・アグリッターです」

ポーラに続きセレスとミナもそう名乗ると一礼した。

「トウヤも。私達のように所属と名前を言って」

隣のポーラが小声で教えてくれた。そういうルールなんだと認識し真似てみる。

「エルメント・ジュエル、ホシノトウヤです」

地球にいた頃、シスターがしつこく「礼儀だけはしっかりしなさい」と言っていたが、
その理由がすごく大切なことだと身に染みた。

ここで下手なことをしたら間違いなくぶっ飛ばされる。それがよく解かると、自然とシスターに感謝していた。

「私は一度会ったことがあるわね?
改めて、パースレールでギルドマスターをやらせてもらってるアローニャ・E・ハーディよ」

(確かセレスの母親って言ってたな。ってことは40代か!?見えねえ・・・)

セレスが18なのでその辺りの年齢だが、見た目は20代と言っても違和感が無い。

「そしてこちらが・・・」

「パースレール、リサ・マヤスティックです。
マスターの補佐をやらせていただいています。以後お見知りおきを」

メガネをかけた如何にもキャリアウーマン風の女性が、アローニャの後ろで一礼した。

「次はこちらだな。アルカナフォートでマスターをやらせてもらってるステラ・B・フレアノスだ」

「アルカナフォート、サブマスターをやらせてもらってるティーナ・W・スプールよ。よろしく~」

「同じくアルカナフォート、戦技・魔法解析班のリーダーをやらせてもらってるソニア・ホロロギスよ」

「アルカナフォート・・・ジュリア・D・マークフリー・・・魔法学担当・・・」

続けてアルカナフォート側の面々が順次名乗った。

「今日集まってもらったのはトウヤ君の魔法について解かったことを知ってもらうのと、
トウヤ君の過去について教えてもらう為に来てもらいました」

アローニャが今回の会合の意図を説明する。

「過去についてって言っても話せることは少ないですよ?俺、二年前より昔の記憶が無いので」

「「!?」」

「それホントなの!?」

ポーラも知らなかった事実に一同は驚いた。

「・・・先に俺の昔話した方が早そうだな」

一同を見回し、特に反論がない事を確認すると、トウヤは自分の知る過去の話をした。

「俺は地球の日本と言う国で二年前、原因不明の爆発事故で家族を失いました。
俺は運良く生きていたのですが、記憶の無い状態で発見されたそうです。
そして事故現場が俺の実家の近くで近所に俺を知る人がいたので、そこから名前と身寄りがない事が解かりました」

「名前は確実なの?」

アローニャが確認する。

「はい。近くに学校もあり、顔写真と一致したので名前も家族がいないことも間違いないです」

「実家がわかってるなら家族についてしっかり調べられてそうね。両親はその日本って国の人?」

今度はソニアが確認する。

「はい。普通の日本人と聞いています」

「だとすると本当に妙ね」

「どういうことですか?」

ソニアの物言いに対する問いはミナが答えてくれた。

「魔法ってのは一部をを除けば、大体は魔道士の家族か親しい人間にしか発現しないんだ」

「つまり身近に魔道士がいないと魔法が使えるようになる可能性が低いってこと?」

「そういうことだ」

「私が調べた限りではそう言った話は無いですね。
あの国ってそういう力があったら蔑みや見せ物みたいにする風潮があるので、
隠してたかもしれませんが普通に生活するのは難しいと思います」

ポーラも自身が調べた結果で付け足す。

「あ・・・いや違うか?」

「何か心当たりがあるの?」

トウヤの声にポーラが即座に問う。

「ユキは?って思ったけど、使えるって知ったのは仲良くなる前だし違うなって思って」

「誰だ?」

ステラ達の知らない人の名前が出てきた。

「孤児院にいたときに親しかった子です」

「ああ、資料にあるわね。親しいっていうのは恋人や家族に近い関係を数年と言われてるから違うでしょうね」

ソニアは資料を見ながら確認した。

「ねぇポーラ、俺の家族ってどこまで調べた?」

「え?両親より先は行方がわからなかったってとこまでよ」

「祖父母や親の兄弟は発現する家族の範囲に入るの?」

「祖父母は入るけど親の兄弟は他人の域ね。祖父母を疑っているの?
でも広い地域に人間が住んでいる国の人探しは砂漠の中の金の一粒を探せと言ってるようなものよ」

「なら京都近辺で絞ればどうだ?」

「京都?」

「昔シスターに言われたんだが、食事の味付けで俺はかなり薄味好みらしい。
味覚って言うのは昔から口にしていた物の影響で、記憶が無くても身体で覚えてるからそれを好むそうだ。
そしてその味付けはユキも好みで、ユキの母親の故郷の味に近いから、
俺の親も同じ故郷の人間じゃないかって言われたことがある。
だから俺の親はユキの母親と同じ京都出身じゃないかって思ったんだ」

昔孤児院で言われた自分のルーツと思われる話を思い出す。探す範囲が絞れれば何か解かるかもしれない。

「その京都ってどのくらいの広さ?」

「いや、どのくらいと言われても・・・」

流石に数値や具体例では言えない。

「日本ってこの国よね?印をつけてくれる?」

ソニアが画面を出し、トウヤの前に送る。確かに日本地図だ。

「この辺りが京都です」

画面の地図を触ると書き込みが出来たので、指でなぞり囲った。

「あら?だいぶ小さいわね。でも故人かもしれない人をどうやって探すのかしら?」

アローニャはちらりとステラ達を見る。どうやら彼女の中では答えがあるようだ。

「今回の暴走の一件で貸しを作ってしまった。そんなお願いしたら実験台にされかねんぞ」

「唯一そういうの無しで協力してくれそうなのが一人いるけど、後で知られたら怖いわね」

「あらあら、私も止めた方がいいと思うわ」

「辞退・・・・無難」

アルカナフォートの面々は難色を示す。

「何かあるの?」

トウヤはこの事態に理解できなかった。

教戒師きょうかいしって知ってるかい?」

ミナから聞きなれた人の名前が出た。

「もしかして罪人の罪を悔い改めさせる人のことか?」

教会育ちのトウヤは知っていた。

「魔道世界の教戒師きょうかいしは人や物の過去の記憶を見て罪を裁く人達のことを言うんだ。
教戒師きょうかいしは皆“麗王れいおう”と呼ばれる最上位の貴族か、そこに隷属する“綺貴きき”しかいない。
そいつらは私達みたいな下級民族を完全に蔑んでいて、とてもお願いを聞いてくれることは無いよ」

ミナの説明から察するに、貴族にも階級があって、その最上位の連中しか出来ない力のようだ。

そして教戒師きょうかいしは常にお高く留まってるから、お願いなんて聞いてくれないという事だろう。

「例外としてうちに麗王れいおう綺貴ききが一人ずつ所属しているが、
狂った学者師弟だからお願いの代償に実験体にされかねない。
そしてもう一人、ギルドに所属していないでギルドの仕事をしている人がいるんだが、
お願いを聞いてくれても他の教戒師きょうかいしらに何されるかわかったもんじゃないから止めた方がいいんだ」

どの世界でも権力は似たような構造で呆れてしまった。

「なら過去を知ることは無理か」

「いや、範囲が絞れるならその場所で起きた不思議な事件を中心に調べれば何か出てくるかもしれないわ」

諦めモードだったが、調査、解析のプロのソニアが光を見せてくれた。

「とりあえずトウヤ君の過去はソニアさんに任せて追々という感じでいいわね」

話しが一段落したことでアローニャは話を変える。

「次にトウヤ君の魔法でわかったことがあるわ」

アローニャはステラに目で合図を送る。

「我々の過去の文献から君と同じ能力と思われるものが見つかった。
それと同時に非常に危険視しなくてはならない魔法であることがわかった」

ステラは鋭い眼光でトウヤを見る。

「君は魔法属性・氷ジン・フリージアの具現化・変化系魔道士、能力名としては”創造する神クリエイター”だ。
神をも馬鹿にするチート級の魔道士であることがわかった」

チート級の能力・・・確かにそうだ。

トウヤの能力は異常なまでに制限が少ない。

どんな魔法も長所もあれば短所もあるが、トウヤの魔法なら長所だけで魔法を使うことも出来る。

あえて短所を言うならば魔法であることが唯一の短所である。

魔法である以上、魔力が無ければ使えないし、イメージ出来なければ不発に終わる。

トウヤの魔法はそんな魔法である。

「味方であればこれほど心強いものは無いが、敵であればこれほど恐ろしいものは無い。
なので上は君に厳しい監視を付けるだろう。少しでも敵に加担するようなことがあれば抹殺されると思っているといい」

脅し・・・いや、警告と言った方が無難だろう。自分の立場を理解するには十分だった。

「あらあら、そんなに怖そうにしないで。少なくともここにいる人間はあなたにどうこうするつもりは無いわ」

トウヤの気持ちを察したのかティーナが優しく声をかける。

「暴走後のあなたの対応で、私達は快く思っている方よ」

「君の謝辞と感謝の言葉から、君の誠実さは伝わった。だから我々は君を仲間として迎え、助力するつもりでいる」

自分がとった行動を褒め称え迎え入れてくれたことに照れくささと嬉しさを感じた。

「そして我々が提示するのは魔法教育の機会だ。そこにいるジュリアは講師の資格を持つ。
彼女から魔法について学び、研鑚し、活躍することを願っている。以上だ」

ジュリアがスッと立ち上がるとトウヤに一礼した。
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