幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

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風塵遮視-サンドアウト-

ハズレた者2

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エントランスロビー傍のミーティングルームで待っているとクルルが現れた。

「ミナ、ルーちゃん、久しぶり。いきなり念話で話しかけられてビックリしたよ」

「急に呼び出してすまない。急な頼みごとが出来てしまって・・・」

「ううん、こうやって魔道士の仲間として扱ってくれる人少ないから頼ってくれて嬉しいな」

「お・・・お久しぶりですア・・・クルル様・・さん」

「ふふ、相変わらず変なしゃべり方になってるよ、ルーちゃん。まだ慣れないかな?」

「当り前よ!・・じゃなくてです。あ、あれ!?」

「もう、無理しないでいいよ」

「ご・・ごめんなさい・・・」

丁寧な話し方をするしないでルーはおかしな話し方になっていた。

「で、こちらの方々は?」

クルルは同席していたトウヤ達の事を尋ねる。

「最近・・と言ってもふた月ちょっと前に新しいギルドが出来たのは知ってるかな?」

「ええ。確かマスターはポーラって言うミナの知り合いだったよね?」

「ああ。そこの新人魔道士の三人だ。右からトウヤ、リリス、リンシェンだ」

「どうも・・・」

トウヤが軽く挨拶をしながら頭を下げると、リリスも真似をして頭を下げた。

「リンシェンにゃ、よろしくにゃ」

「よろしく、君たちも気軽にクルルって呼んでね」

リンシェンの話し方を即座に受け入れ、無粋なマナーのトウヤ達も受け入れ、
その上で自身を気軽に愛称で呼んでくれと言うクルル。

高飛車な態度をイメージしていたトウヤからしてみたら、かなり例外的な貴族のようだった。



「ストームギアの大会か~。私もクエストで使うだけでレース用の経験は無いんだよね」

「そうだよな。やっぱりクルルでも難しいか」

「でも参加してみたいって思ってたからいいよ」

「え!?いいの?」

あっさり承諾してくれた。

「もちろん騒ぎになるから変装してになると思うけど」

「ああ。でも助かるよ」

これでまともに走れるのは四人。問題なくレースに参加出来るようになった。

だが・・・

「モービルを操作するメンバーが必要よね?」

トウヤとリリスはまだモービルに触ったことも無い。

レースはモービルを含めた三台なので、誰かがモービルとボードまたはスケートと作業が増える。

トウヤならボードで走れるが、レース向きな走りはまだ微妙な所で、
リリスはまだゆっくり走れる程度であった。

つまりあともう一人は欲しい状況だ。

アルカナフォートに大会へ出たいと言う人はごく稀だし、
パースレールの人はほぼチームを組んでいる。

なのでクルルのような例外的な人物を探したが、もういないだろう。

「う~ん、あの子なら出来そうだけどな~」

クルルにはまだ候補がいた。

「あの子って?」

「あ・・・いや・・・人形なんて嫌だよね?」

「う!?」
「げ!?」

ミナとルーは同時に誰か理解し嫌悪した。

「・・・ま・・まあ一応、アルカナフォートのメンバーではあるから・・・」

「気が重い」

「ま、まああの人には私から頼んでおくから・・・自信無いけど・・・」

「ねぇ、こっちにもわかるように話してくれない?」

三人だけに解かる話にトウヤは説明を求めた。

「あ、ごめんごめん」

「・・一応もう一人候補が見つかったんだが・・・」

「そいつが超厄介な存在なのよ」

「へえ・・・」

そんな厄介な存在を仲間に入れようなんて、何を考えているんだ?

「彼女はギアの扱いがかなり上手いから、チームのエースになるかもしれないの」

厄介だが、ここにいる誰よりも速く走れる。そんな存在のようだ。

「どんにゃ人にゃ?」

珍しくリンシェンが興味を持った。

麗王れいおうの中に人造人間という人形を創る人がいるんだけど、
その人形がギルドメンバーとしているんだ」

亜人の次は人造人間。魔法世界の人種の多さに感心した。

(ああ、リンシェンは人形と言う物に興味を持ったのか)

人と呼べるほど精巧に作られた人造人間。それは凄まじい科学技術の集まりだと言える。

それはリンシェンにとっては宝物だろう。

「その人形ならレースでいい走りが期待できるということだ」

「確か昨日から局内にいるはずよ。いつも食堂にいるから、
クエストに行く前に捕まえないと。急いで会いに行こう」

大急ぎで出ていくクルル達。対象的にリリスはのんびりしていた。

「どうしたのリリス?」

「ん・・・人っていっぱいいるんだね」

リリスはトウヤと同じことを思っていたようだ。

「外に出て良かったでしょ?」

「ちょっと面白いって思えてきた」



食堂に到着すると、なぜかがやがやと落ち着きが無かった。

一か所に人が集まってる?

「何かあったんですか?」

厨房の入り口にいたジェシーさんに問いかける。

「あら、トウヤくんいらっしゃい。今人形が来てるのよ、ってトウヤくん知らないかしら?」

「いえ、その子に会いに来たんだから知ってますよ」

トウヤの代わりに答えたのはクルルだった。

「うお!?星歌ほしうたの君!?」

そのジェシーの呼び名にざわめきがさらに大きくなった。

「ふう・・・」

仕方がないと大きくため息をつくと、クルルは悠然と歩き始めた。

その歩みに自然と集まった人たちが道を空ける。

「ミイナ、こんにちわ」

ミイナと呼ばれた彼女は口いっぱいに食事を詰め込み、
まるでリスのように頬を大きく膨らませていた。

ゴキュ!っと普通の女の子から発せされる事のない音量を出しながら飲み込むと、
「あー!クルルさん!こんなところでどーしたのですかー?」と返事をした。

人形、つまり人工物であるが、見た限りでは普通の人間にしか見えない。

「少しお話があるの。食事が終わってからでいいから、私に連絡をちょうだい?」

「はーい、わかりましたー」

そう言うとミイナは再びガツガツと食べ始めた。

再び歩き出し戻ってくるとクルルは「お騒がせしました」と軽く会釈をして立ち去った。

その行動は完全に人々を釘付けにさせた。

「ト・・・トウヤ君、今度はすごい人と話してるのね」

「後が面倒らしいですけどね」

「いや、でも星歌ほしうたの君と話せるなんてすごい事よ?」

「その星歌ほしうたって何ですか?」

「・・・あなたねぇ・・・・」

「上級貴族には気軽に名前を呼ぶなんて失礼だと言う連中もいる。
だが名前を呼べないといろいろ不便だから敬称の意味で名前とは違う呼び名があるんだ。
星歌ほしうたはクルルの敬称だ」

ミナが代わりに答えた。

「ああ、なんか面倒なところがちょっと見えてきた」

「貴族には貴族のプライドがある。上になればなるほど・・・な」

クルルは上級貴族の中でも例外中の例外なのはよくわかった。

そしてそのクルルと親しげにタメ口で話すミイナと言うのは同じ上級貴族であろう。

(面倒な相手だが、仲間になると非常に頼もしそうだな)

トウヤの心は面倒と信頼という天秤で揺れていた。
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