死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第7章・二つの心

◆ 19・取引先(後) ◆

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「ってか! 悪魔は押し売りしないんじゃなかったの!? 悪魔側から契約を持ち掛けるのって有りなわけ?!」

 思わず叫ぶ。
 ルーファは肩を竦める。

「言葉にしてねぇだろ」
「いやいや、そういう問題?」
「待てチャーリー。さっきそいつは『平の悪魔は』と言っていた」

 急に先輩が真顔で口を挟んできた。
 しかもそこまで親しくなった覚えもないのに『愛称呼び』は普通に引く。むしろあらぬ疑いをかけあうのが貴族の常。

「シャーロットと呼んでください、先輩。貴族は色々面倒なんで」
「……シャーロット、ルーファは『平』じゃないんじゃないか?」

 改めて発言する先輩に、ルーファを見る。
 魔王の時は私が名を呼び、向こうも契約を持ち出し契約した。この場合は私が呼び出した事がきっかけになっているのだから、押し売りではないだろう。
 ルーファは元々こちらの世界を彷徨っていて、ループの元凶だった私の元に現れた。共闘関係もいつの間にか出来上がっていたと言える。


 平か平じゃないかって言ったら、魔王数人倒してるんだし……平じゃなさそうな? 元々上級悪魔的な事を言ってたし。


「あんたって上級なのよね? ハイブリットで……」
「おう」
「上級悪魔って、結局どんな存在なわけ?」
「魔王一歩手前だな!」


 魔王一歩手前……強いって事でOK?


「言ったろう? 天使を喰って魔王は魔王になったんだよ。俺様は天使を喰ってねぇ」


 じゃあ、取引材料は『天使を食べる』手伝いとかになるんだろうか?
 取引先が増えていく……。


 ルーファと『しっかり』手を組む事に依存はない。

「おっと……勘違いしてもらっちゃ困る。俺様、天使を喰う気はねぇんだ」
「あ、そうなの?」
「喰う気がありゃとっくに、な。魔王との契約はお前の半身たるアーラを捧げる事。ミランダとの契約は人間になる事。そして俺様との契約条件を提示すると、だ!」


 自分から言うスタイル?! 


「お前が天使を喰え」


 え?
 ちょっと意味が……私が、天使を喰う?


「何のために!?」

 聞いたのはライラだ。
 天使を喰う所業を考えれば、悪徳の時計を進ませる効果はありそうだ。だが考える事と、実行する事には天地程の開きがある。
 食人趣味すらもないのに、天使を喰う発想にはならない。

「チャーリーは堕天したようなもんだ。堕天使がイコールで悪魔って事にはならないんだぜ? まだ堕ちただけだ。なんせ肉があるしな」
「待て待て、天使を食べるという事はシャーロットが魔王になるって事にならないか?」
「先輩、それ以前に命は一つしかありません。半身のアーラを魔王に、チャーリーの命がミランダの担保になっているのなら、チャーリーには……もう捧げられる命はありませんわ」


 確かに。


「おう。だから……代用契約者どっちでもいいぞ?」

 ルーファは悪魔らしく、嫣然としていた。

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