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第8章・侵入者
◆ 18・灰色(中) ◆
しおりを挟むそんな理由で?
父の事は元々、地位がなければ『ろくでなし』人間だと思っている。家族といえど不干渉地帯だと放置もしてきた。
そう、実際『家族』で『親』だからこそ、余計に面倒なのだ。
こちらのストレスと精神力に関わる。
でも、体感時間としてはお父様より遥かに人生経験も年数も積んできたのよね、私って。いやいや、話を脱線させてどうする!
方向性が分かった以上、全部ぶっちゃけても説得よ! これでも『親』だものね?! 少しは私の利用価値とか諸々を含めて考えたら、理解を示すでしょうよ!!!!
「お父様、聞いてください。私……」
「娘1、父様は知りたい事は調べるタチだから、そういう流れは飛ばしてくれていいよ?」
「……え?」
父は愉快そうに笑う。
「だって、お前、自分の行動を鑑みてごらん? 学園を無断欠席、戸籍のない男を雇うよう願い出、行方不明になったメイドが急に戻り、王子の変動、お前の急な性格改変、神殿で大暴れ、更にはコソコソ我が家で密談。私の屋敷だよ? 分からないわけないでしょ」
馬鹿にした体ではないのに、馬鹿にされている気分だ。
「娘1、お前の事も父様はちゃんと考えているんだよ? 可笑しな事に巻き込まれてないか、傷物になってないか。娘だもの、色々と目を光らせているさ」
「……ありがたくないですね」
「それで、お前が話そうとしていた流れを削って言うと、結論はどうなるんだい? 父様に『何を』『何と』引き換えにして欲しいの?」
さっさと交渉しろって事ね……。私が交渉で出せる取引要件、何だ? 私に付属する全てがお父様の持ち物でもあるから、交渉には使えない。『家出しません』は、もう使ったし……。
後は……?
「お嬢様、旦那様には消えていただきましょう」
「ミランダ……何を冗……だっ……?」
ミランダが一歩進み出る。
サシュッと足元から板を傷つける音がして、顔を上げる。見れば、彼女の瞳は瞳孔が開き切っているし、手足は錐のように尖っている。
本気!?
「主の決定前に動くなんて、出来の悪い部下だね」
父が肩を竦める。
「腐っても、お嬢様とて人の子。実の親の排除には、いささか悩むと思いまして。主の心を先読みする事も、良質な部下の条件かと」
「おぉ! ならば、この場に王国最強がいる事も忘れなていないね?」
確かに!!!! ミルカ・ヘルレヴィは王国最強なだけじゃないっ、ミランダの大恩人な養父じゃない! お父様は『わざと』そんな二人がぶつかるように、仕組んだ?!
なんて性格の悪い!!!!
「でも効果的」
思わず漏れる本音。
ミランダに一睨みされて、口を押える。
「ミルカには無理ですよ。所詮、老兵です」
彼女は余裕ぶった口調で、父に告げた。
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