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第8章・侵入者
◆ 23・潜入協定(前) ◆
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父は目を瞬かせる。
「ろうすい? 渋いね。ただ老いて死にたいなんて、娘1は欲がないよ」
いや、私の現状みてくれ、めちゃくちゃ貪欲だよ、生きる事に。
「お前のやっている事は、とても老衰コースには思えないけどね。何よりお前には、選べる未来がいくつもあるだろうに」
「たくさんの死を越えた先の話ですか? 越えるべき死が多すぎですけど?」
それには父も答えなかった。私は再度質問する。
「フローレンスを助けますよね?」
父はしばらく沈黙し、やがて「いいよ」と答えた。
「聖女の処刑という稀有な状況は一見の価値がありそうだけど、我慢するよ」
「そうですね、我慢してください!」
勢い込んで同意する。
「聖女の処刑を回避するという事は、間接的にお前の命を守った事になるね?」
「まぁ、そうですね?」
「なら、命の価値分の配当は何にしようかね?」
開いた口がふさがらないとはこの事だ。
まさか娘の――実子の命を質に、引き換えを要求してくるとは考えもしなかった。
「息子1には教団側の内部に踏み入り、情報を持ち帰ってもらおうと思ってるんだよ。そこで娘1、お前には反教団側に潜入してもらおう」
いやいや、何年計画で考えてんの?
フローの処刑回避は早くしなきゃだし、魔王の本覚醒の期限とか、諸々色々とあって……少なくとも週間でクリアしたい問題が多々あるのよ!
「お父様、反教団に潜入せよと仰るなら……勿論OKですし行きますけど、でもですね、スパン短めで処理してほしいというか……」
ちらりとミルカを見る。前回聞いた話から考えるに、こんな所で話す話題ではない気がする。
それでも父は返答を待っていた。
「そこさえ考えていただけるなら、ミランダも連れて行ってきますが……あ、ミランダはコレです」
名を覚えていないだろうとミランダを指差せば、父は頷いた。
「段取りはつけておくよ。ミルカが」
「ミルカ・ヘルレヴィが?!」
頷くミルカ。仲の悪いおっさんたちながら、何かの協定でもあるのだろうかと首を傾げる。
ミルカが反教団でも不思議はないし、ミランダも含め彼らは反教団なんだろうけど。
なんか釈然としないわ。
思い悩む私に、父が追加する。
「偽聖女として娘2は捕まったけれど、魂胆は分かっているんだよ。すぐに『どうにか』は、されないさ。だから、お前は王子の方にもしっかり目を光らせておくんだよ?」
ルーファには一度してやられているのだ。勿論、よーく見て置くつもりだ。
〈んー、第二王子だって〉
ヴィンセント王子?
「お父様、第二王子は勇者なんですか?」
「さぁ?」
「……分かんないんですか……」
「勇者の選定は娘2の仕事じゃないか。でも第二王子の周囲には教団がいるからね、見ておくに越した事はないよ」
言葉に詰まる私に、父は更に追い打ちをかけた。
「それに王位継承問題が片付いたわけでもないからね。第一王子と第二王子はどこかで争う事になるよ。たとえ中身が片方悪魔でもね」
頭痛の種ばかり増やしてくるわね……。
「ろうすい? 渋いね。ただ老いて死にたいなんて、娘1は欲がないよ」
いや、私の現状みてくれ、めちゃくちゃ貪欲だよ、生きる事に。
「お前のやっている事は、とても老衰コースには思えないけどね。何よりお前には、選べる未来がいくつもあるだろうに」
「たくさんの死を越えた先の話ですか? 越えるべき死が多すぎですけど?」
それには父も答えなかった。私は再度質問する。
「フローレンスを助けますよね?」
父はしばらく沈黙し、やがて「いいよ」と答えた。
「聖女の処刑という稀有な状況は一見の価値がありそうだけど、我慢するよ」
「そうですね、我慢してください!」
勢い込んで同意する。
「聖女の処刑を回避するという事は、間接的にお前の命を守った事になるね?」
「まぁ、そうですね?」
「なら、命の価値分の配当は何にしようかね?」
開いた口がふさがらないとはこの事だ。
まさか娘の――実子の命を質に、引き換えを要求してくるとは考えもしなかった。
「息子1には教団側の内部に踏み入り、情報を持ち帰ってもらおうと思ってるんだよ。そこで娘1、お前には反教団側に潜入してもらおう」
いやいや、何年計画で考えてんの?
フローの処刑回避は早くしなきゃだし、魔王の本覚醒の期限とか、諸々色々とあって……少なくとも週間でクリアしたい問題が多々あるのよ!
「お父様、反教団に潜入せよと仰るなら……勿論OKですし行きますけど、でもですね、スパン短めで処理してほしいというか……」
ちらりとミルカを見る。前回聞いた話から考えるに、こんな所で話す話題ではない気がする。
それでも父は返答を待っていた。
「そこさえ考えていただけるなら、ミランダも連れて行ってきますが……あ、ミランダはコレです」
名を覚えていないだろうとミランダを指差せば、父は頷いた。
「段取りはつけておくよ。ミルカが」
「ミルカ・ヘルレヴィが?!」
頷くミルカ。仲の悪いおっさんたちながら、何かの協定でもあるのだろうかと首を傾げる。
ミルカが反教団でも不思議はないし、ミランダも含め彼らは反教団なんだろうけど。
なんか釈然としないわ。
思い悩む私に、父が追加する。
「偽聖女として娘2は捕まったけれど、魂胆は分かっているんだよ。すぐに『どうにか』は、されないさ。だから、お前は王子の方にもしっかり目を光らせておくんだよ?」
ルーファには一度してやられているのだ。勿論、よーく見て置くつもりだ。
〈んー、第二王子だって〉
ヴィンセント王子?
「お父様、第二王子は勇者なんですか?」
「さぁ?」
「……分かんないんですか……」
「勇者の選定は娘2の仕事じゃないか。でも第二王子の周囲には教団がいるからね、見ておくに越した事はないよ」
言葉に詰まる私に、父は更に追い打ちをかけた。
「それに王位継承問題が片付いたわけでもないからね。第一王子と第二王子はどこかで争う事になるよ。たとえ中身が片方悪魔でもね」
頭痛の種ばかり増やしてくるわね……。
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