死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

文字の大きさ
178 / 375
第10章・勇者の胎動

◆ 7・ルーファの始まり(後) ◆

しおりを挟む
 ま、魔王? 魔王って言った????


「マジで???? あいつ上級悪魔じゃなくて、魔王だったの!?」
「ううん、それも違うんだ。彼の魔王期間は短かった。引き受けた理由も、堕天使関連の情報を得る為で、それが終了すると」
「待って待って! 整理させて……ルーファがいっぱい魔王を殺したから世界のバランスが崩れて、アーラはそれを正しながら、ルーファを新魔王として復活させたって事でOK?」

 カエルは頷き続ける。

「魔王となったルーファは欲しい情報を得るとすぐに、聖女に相対する魔王が自分だと人々に思わせたんだ」
「……聖女は?」
「魔王がいるのだから聖女もいるという固定観念から、人々は聖女選出を始めた。そして選ばれた人物こそ『オリガ』だったんだ」
「は?! オリガって魔女で……悪役よ!? 魔王にも追従してたし、たくさん人も」


 でもそうだ、私の会ったオリガは名前を騙ってる聖女とかなんとか……聞いた事はあった。


「うん。本と同じところもあるけど違う部分も多いんだ。勇者となったのは『サーシャ』で、これは本で知ってるよね?」

 大好きな『アデレイド戦記』十巻には、聖女ヴィクトリアこと『アーニャ』とアレクサンドルこと『サーシャ』の歩んだ道が、敵対し共闘した悪役令嬢こと魔女オリガ・アデレイドと共に語られている。

「本も全てが嘘ってわけじゃないんだ。実はオリガは途中から聖女号を剥奪されて『アーニャ』に移ってるんだ」
「アーニャは聖女でOKって事?」
「うん、あまり説明しても時間が掛かりすぎるし必要な話だけをするね。千年をかけて生み出される魔王と聖女は、壊れたバランスの中でアーラによって生み出されたんだ。それは灰色の珠だった」


 かつてアーラの兄が作った珠を思い起こす。


「珠は地上で時を過ごし、灰色のまま双子として産まれたんだ。それこそが、アンナ・ヴィクトリアとルノヴァ・アレクサンドル……そして、ルノヴァが聖女だったんだ」
「え……サーシャ?」

 私は聖女と魔王が珠から生まれるたんだと思った。
 それはかつておっさん天使たちがした事と同じだと思ったからだ。そして、サーシャが聖女なら魔王は――。

「うん。その顔だと想像ついちゃったみたいだね。……アーニャは魔王だったんだ」
「でも……っ、でも聖女ってなってない?! 本でも、だけど……他の史実系の本とかでも!」
「うん、どちらも未熟な存在だった。自覚すらもなかったろうし、どちらがどうだったとしても問題ない程にね。時が足りてない所為でもあったろうし」
「そんな事って……」
「もしかしたら作成者たるアーラが、最初から二人を魔王と聖女という形に置くつもりがなかったのかも。人としての一生を終えればいいとさえ、思ってたのかもね」


 それも、ルーファが『俺様は魔王』な発表で暴かれてしまったって事か。本では、サーシャとアーニャは幼馴染でイイ関係で……私もめちゃくちゃ応援したってのにっ。
 ってか、ルーファのやらかしが酷いんですけど??


「情報の混乱にはオリガによる意図的な情報操作が関係してそうだね。とりあえず、オリガの話は後にしよう。知って欲しいのは……魔王と聖女が手を取り合って戦った相手が、ルーファだって事だよ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...