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第12章・秘密は舞台
◆ 6・魔王の事情(前) ◆
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アレックスは「見捨ててないよ」とだけ言い、火と水の呪文を呟く。
彼の足元からジワリと溢れた白い霧は、一瞬で周囲に満ちる。
「えーっと……失礼して……」
驚く私の耳元で謝罪。
アレックスは私を抱き上げる――カエル体では、こうは行かない。
「今のうちに移動するね?」
ルーファの体、最高じゃないか?
◆◇◆
「で、どうなってるって?」
三人して路地裏に身を潜める。
大通りからは、私たちを探す喧噪が聞こえてくる。
アレックスは私を抱えたまま穴から飛び出て、カエル体のルーファも問題なくついて来た。ルーファの体の能力が人体を越えていても違和感はないが、カエルの方はカエルだからジャンプ力に秀でているのか、ルーファが入った事で肉体能力も向上しているのか謎だ。
「で、どういう事?」
小さな声で質問すれば、アレックスが首を傾げた。
「エイベルの事? 君の行方が分からないってボクが知った頃には、高熱で動けなくなっていたんだ」
「え……アイツ、魔王なんだけど? 魔王なのに熱? 熱で寝込み?」
「うん、驚いたよ」
私たちの視線は自然とルーファに向く。
この中で、魔王の生体を知っているのは実際に戦ったルーファだろう。
「魔王が熱って……病気、なわけないよね?」
「あー……いや病気って言えば、病気か?」
「え?! 魔王って病気になるの?!」
ルーファは首を傾げる。
「何て表現すべきかは分からねぇが……アレは人間の病気に近いな? お前らも知っての通り、地上で魔王と認知公言されてるのは、聖女の片割れだ」
おっさん天使たちの作った、あの珠よね?
確か、従来の魔王とも人間とも異なる存在って話で……。
「魔王も聖女も人を模した『ガワ』に力を閉じ込められてる状態だ。ガワは一種封印にも近い役割を持ってる。教団は聖女の管理を、魔王は悪役が管理をするもんだ。渦巻く力を解放まで持ち越させなきゃだしな? で、……お前、何もしてないだろ?」
頭が真っ白になる。
初耳すぎるお話だ。
「な、にか……しないと、ダメだったの?」
「ボクもルーファの記憶を見て知ったんだけど」
アレックスが口を挟む。
「悪役に割り振られた人間は感情のままに振舞っていたわけじゃなかったよ。ちゃんと魔王を暴発させないように、必要なタイミングまで封じ込めていたね」
「そんな特殊能力が!?」
「違うぜ、チャーリー。ありゃー人心掌握術みたいなもんだ。特殊能力ってよりも人間らしさで魅了し、依存させてんだよ。小出しで力を発散させて暴発させずに、いいタイミングまで引っ張るんだ」
つまり、私の魅力で堕として依存させる……って、あの金の亡者っぽくなってるガキを?!
明らかに無理だわっ、むしろ、そういう意味ならお父様の虜よ、あいつ!
「お前の管理能力不足っつー事だな、チャーリー。今回はただの熱病程度に見えるが、まだ第一段階。第二段階は身体から瘴気が噴き出るぞ? 相当人間死ぬし、そうなっちゃもう隠せねぇぞ?」
聞くだけでも絶対に阻止すべき状況だ。
「チャーリー、恐らくだけど……君の妹も聖女成分の管理に教団が踏み出したって事だと思うよ」
彼の足元からジワリと溢れた白い霧は、一瞬で周囲に満ちる。
「えーっと……失礼して……」
驚く私の耳元で謝罪。
アレックスは私を抱き上げる――カエル体では、こうは行かない。
「今のうちに移動するね?」
ルーファの体、最高じゃないか?
◆◇◆
「で、どうなってるって?」
三人して路地裏に身を潜める。
大通りからは、私たちを探す喧噪が聞こえてくる。
アレックスは私を抱えたまま穴から飛び出て、カエル体のルーファも問題なくついて来た。ルーファの体の能力が人体を越えていても違和感はないが、カエルの方はカエルだからジャンプ力に秀でているのか、ルーファが入った事で肉体能力も向上しているのか謎だ。
「で、どういう事?」
小さな声で質問すれば、アレックスが首を傾げた。
「エイベルの事? 君の行方が分からないってボクが知った頃には、高熱で動けなくなっていたんだ」
「え……アイツ、魔王なんだけど? 魔王なのに熱? 熱で寝込み?」
「うん、驚いたよ」
私たちの視線は自然とルーファに向く。
この中で、魔王の生体を知っているのは実際に戦ったルーファだろう。
「魔王が熱って……病気、なわけないよね?」
「あー……いや病気って言えば、病気か?」
「え?! 魔王って病気になるの?!」
ルーファは首を傾げる。
「何て表現すべきかは分からねぇが……アレは人間の病気に近いな? お前らも知っての通り、地上で魔王と認知公言されてるのは、聖女の片割れだ」
おっさん天使たちの作った、あの珠よね?
確か、従来の魔王とも人間とも異なる存在って話で……。
「魔王も聖女も人を模した『ガワ』に力を閉じ込められてる状態だ。ガワは一種封印にも近い役割を持ってる。教団は聖女の管理を、魔王は悪役が管理をするもんだ。渦巻く力を解放まで持ち越させなきゃだしな? で、……お前、何もしてないだろ?」
頭が真っ白になる。
初耳すぎるお話だ。
「な、にか……しないと、ダメだったの?」
「ボクもルーファの記憶を見て知ったんだけど」
アレックスが口を挟む。
「悪役に割り振られた人間は感情のままに振舞っていたわけじゃなかったよ。ちゃんと魔王を暴発させないように、必要なタイミングまで封じ込めていたね」
「そんな特殊能力が!?」
「違うぜ、チャーリー。ありゃー人心掌握術みたいなもんだ。特殊能力ってよりも人間らしさで魅了し、依存させてんだよ。小出しで力を発散させて暴発させずに、いいタイミングまで引っ張るんだ」
つまり、私の魅力で堕として依存させる……って、あの金の亡者っぽくなってるガキを?!
明らかに無理だわっ、むしろ、そういう意味ならお父様の虜よ、あいつ!
「お前の管理能力不足っつー事だな、チャーリー。今回はただの熱病程度に見えるが、まだ第一段階。第二段階は身体から瘴気が噴き出るぞ? 相当人間死ぬし、そうなっちゃもう隠せねぇぞ?」
聞くだけでも絶対に阻止すべき状況だ。
「チャーリー、恐らくだけど……君の妹も聖女成分の管理に教団が踏み出したって事だと思うよ」
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