死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第13章・悪役闘争

◆ 2・再会のヘクター・カービー(中) ◆

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「さて、揃ったね!」

 ヘクターは一同を見回す。
 と言っても、応接室にいるのは、彼とモニーク、スライ先輩にアレックスだ。館の当主はいないし、用事以外でメイドが動くこともないので部外者はいない。


 ある意味では、モニークが部外者なんだけど……。


 到着早々に私と対面した彼は、止めるのも聞かず大声で到着宣言をして回った。言葉通り、片っ端からドアというドアをノックし、勝手に開け、誰もおらずとも到着報告をしたのだ。
 ちなみに、彼の言動に理由などないだろう。
 彼はそういう男なのだ。


 まぁ、おかげでアレックスと作戦タイムが持てたのは良かったけど、こっちの狙い通りに話が進むかどうかが問題ね。


「おやおや、見知った顔に歌姫モニークが混じってる!」

 どうやらヘクターのような変人ですら、モニークの名声を知っているらしい。

「っていうか、ヘクター。あんた悪役家の出身だったのね」


 でもコイツの体、天使に作られたんじゃなかったっけ?


「あ、でもこの体は人型で人間じゃないよ! 正確には悪役家の養子って事さ!」
「養子も悪役カテゴリーなの?! だったらウチはエイベルも連れて出るわ!」

 立て込んだ事情を知らないモニークがいるのに、込み入った話をするなと怒鳴ろうと思うも――口から出たのは只の願望だった。

「流石にソレは……」

 アレックスも困ったように視線を泳がせる。

「だって! ズルいのはカービー家じゃないっ、特殊事情と特殊なパトロンがいるのよ!!」
「それは、……まぁ、そうですね」

 今度は彼も頷く。
 短い時間ながら、アレックスと話して決めた事がある。
 すなわち、カービー家の実情を知るという事だ。私は話を引っ掻き回し、アレックスは追及を受け持つ。止め時は互いにアイコンタクトで、という事になっている。

「ええ? でも肉には、ちゃーんと! カービー家嫡男の素材を使ってるんですよ? カービー家認定はギリじゃないかなっと思うわけですよ!」


 いや、なんか生贄より微妙な話してない?!


「素材だと? ヒトガタとやらは、土人形のような物に後付けで魂を入れ込んでいるのだと思っていた」

 スライ先輩が興味深そうに眼を瞬かせる。
 まさに私とアレックスが聞きたい話でもあった。かつて先輩に、全てを話しておいて良かった。

「違う違う、肉の素材も結構使うんだよ! 現地産で素材は作るんだ、それも有機物ってかなり大事で、もっと言えば生が良いね!」
「ほう? 新鮮さが肝心という事か?」
「そうなんだ! 生まれたての乳幼児が一番適してるんだよね」

 心底嬉しそうに説明するヘクターに、先輩は言葉を詰まらせる。

「それで、ヘクター……私とスライ先輩も悪役家なわけよ、あんたと同じく。で、私と先輩は悪役会社設立して、ボスはミスの数で落第で順繰り回そうって話になってたんだけど、当然あんたも文句ないよね?」

 なし崩し的にOKさせようと、一気に話を進める。
 しかし、ヘクターはピタリと陽気な雰囲気を消し去り沈黙する。
 おまけにジッと宙を見つめる。

「あの、……ヘクター?」


 キモいんだけど?



 
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