死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第14章・灰は撒かれた

◆ 17・問われる罪(前) ◆

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 全身白づくめ――しかも仮面――ずるずると引き摺る長衣で現れた客四人と、対面して座っている。
 間のテーブルには湯気の立つカップ。
 仮面をつけている彼らは当然、手も付けない。

 沈黙に焦れたのは私だ。

「私はここの当主ではありませんし、ここの家主ですらありません。それでも良ければお話を伺います」


 っていうか、こっちが名乗ってるのに名乗りどころか、声も出さないってどれだけ失礼な奴らなのよっ。


「ヨルクの血族だ、構わない」
「いえ、ヨークです。ヨルクは遠縁の親戚でしかありません」

 きつそうな女の声に、きっぱりと答えてやった。

「我々は長老会の遣いだ」
「長老会? 何の?」

 私の指摘や疑問にも動じず女は続ける。

「長老会は、今回の騒動を重く見ている。民に混乱を招き、拠り所を奪いし罪だ。ヨルクは罪を償わねばならぬ」
「……なら、他の親戚筋を当たってくれる? さっきも言ったけど、私は遠縁なのよ。この地の事なんて知らな……」

 女が立ち上がる。
 同時に残り三名も立ち上がる。服越しでは男か女か、若いかどうかも分からない彼らだが、服装の事もあり威圧感を感じてしまう。

「共に来てもらう」


 え……? いやいやいや、このパターン、完全に負の連鎖系!! 絶対ダメ!


「ま、待ってちょうだい。私も……良家の娘よ。服装を改めさせてもら……」
「無用だ」
「私の気が……っ」
「無用だ」
「いやいや、私の気持ちだから?!」
「無用だ」

 一辺倒に言い、女は手を上げる。
 残りの三名が私に向かって歩き出す。慌てて、立ち上がりドアに駆け寄るも開かない。


 鍵、かかってる!!!!


 メイドだちの顔がよぎる。これは予想に易い状態だ。


 つまり……グルだ、あいつらっ!!
 私を売りやがったっ!!!!


 愕然としたのも一瞬、悔しさと己の甘さに腹が立つ。メイドに気を回して、良かれと思った行動が結局、地獄展開。


 何で信じたのよ、……気弱そうな女ほど用心すべきってフローにミランダに、どいつもこいつもロクな事にならないって体感してきたじゃないのっ。


「私だって……か弱いお嬢様じゃないってトコを見せてやろうじゃないの!」

 ドアに渾身の力を込めた蹴りを放つ。
 大きな音が響くも、ピクリとも動かない扉。むしろ衝撃に足の方が痛む。

「なんで……」
「すでに逃げ場はありません。長老会の意思は絶対ですので、お覚悟を」


「ふ、フローラ……導きの堕天使ー! 今こそ私を導きなさいよーー!!!!」

 叫ぶ私に、白装束の一人から失笑が漏れる。
 当たり前だ。導くのが堕天使だなどと、そんなものに救いを求める小娘を見たら私もきっと笑うだろう。結局、己を救うのは己の拳しかないらしい。
 抵抗すべく拳を握りしめた。
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