死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第16章・リスタート

◆ 4・病死へのカウントダウン(前) ◆

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 さて、どうしよう。


 邸内の案内という名目でエイベルを引きつれ、ぐるぐる回った結果わかったことは衝撃でしかない。前回までとは大きく変わってしまっている。
 自宅にいる父。
 母は私の誕生日を取り仕切り、ミランダは母の用事でお遣いに出ているし、第三王子からも出席申請が来ているという。
 ただ一人、フローレンスの姿だけがない。


 前回、私が埋めたから?
 前回までと違いすぎて読めない……。


 今までは、いつも基点が私だったように思う。私が何か違う行動を取ることで世界が動いて、それは良きにしろ悪きにしろ、事態を作ってきた。
 逆をいえば、前の記憶を元に安全なルートを選び取れば少しは道が見えていたのだ。
 それが、今回は過去など何の意味も持たないレベで違うのだ。

「お嬢様、アレクサンダー殿下がお着きになられました」

 年若いメイドが小走りで告げる。


 待っていたわ!


 応接室へと、小走りで戻り最低限の礼儀を保って入室をする。
 座っている男は、まさにカエル。カエルが豪華な王子様衣裳で、優雅に紅茶を手にしている。


 お願いアレックス、記憶が残ってて!!


「アレックス……」

 なんと切り出したものか思案し、言葉が止まる。

「チャーリー、またガラリと変わったね、この世界」

 へたりと床に座り込む。

「チャーリー?」
「……記憶、あるのね……」


 良かった……。


「あ、うん。あるよ。あの部屋の効果かな? 神とやらの。記憶はしっかり残ってるよ」
「そっか……助かるわ。あまりに違う世界だから困ってたのよ」
「そう、か。君は記憶が残ってない部分もあるんだったね。こうした大きな変動は初めてじゃないんだ」
「え?」


 初めてじゃない?


「ルーファとは会えた? 先にボクの所に来たみたいで、消化試合の回だって言ってどこかに行っちゃったんだ。あ、消化試合っていうのは、君があの城まで辿り着くと現れる特殊なステージらしいよ」
「いい響きじゃないわね」
「うん」

 自然、無言の空間となった。
 当然だ。つまりは私は一度死ななければならないのだろう。

「私、このまま進んでも勝てないってことよね?」
「……悪役としては、おそらくダメなんだろうね? でもチャーリーは悪役を目指してるわけじゃないよね?」
「そうね」

 私が望むことは、普通に平穏無事な未来をつかみ取ることで、寿命で死にたいのだ。
 誰かに殺されたりするような形で終わるのではなく――そのためならヨーク家の娘という地位もいらないし、貧乏になったってかまわない。

「そういえば、あんたってルーファの記憶で私の今まで……全部の世界線を見てきたんでしょ?」
「うん」
「こういうイレギュラー回はどうなってたの? ってか、そのイレギュラー回は毎回同じパターンなの?」
「……そうだね」

 彼は視線を落とした。

「状況も流れも様々。でも……一つだけ、同じだよ。結末」
「自殺とか?」
「ううん、病死だよ」


 病死????

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