その女剣士は世界を救い、英雄となる。

千石

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第34話

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「使命?」

わけがわからない。

神様に与えられたとでも言うのだろうか。

「そうだ。この星が誕生したときから私は生まれ、五十年ごとにお前たちを審査してきたのだ」

「なんですって!?」

あたしは愕然とした。

この者の言っていることがすべて本当だとするなら、まさしく神の使途とではないか。

あたしは今になってはじめて自分にかかっている重圧を意識した。

「時間が来たらどうするの?」

プレッシャーからか尋ねずにはいられない事をきく。

「知れたこと。私と戦ってもらうのだよ。文字通り命を賭してな」

やっぱり。

こいつを倒さなければならないのか。

あまりその事は考えたくはなかった。

何故なら、圧倒的なのだ。

こいつから発せられている力が。

しかも、この近辺中の人々を眠らせた分を考えるとまさに化け物と呼ぶにふさわしいだろう。

はっきり言おう。

個人的には戦ってみたくてうずうずしているのは否定できない。

だけど、背負っているものを考えると絶対に勝たなければならない。

あたしは戦いたいという気持ちと絶対に勝たねばならないという気持ちの狭間で葛藤をしていた。

「ところで、いつもは大体何人がここまで辿り着けているの?」

気を紛らわすために質問を重ねる。

「だいたい10人~20人くらいだな。一番少ないときで7人ってのもあった」

「じゃあ、かなりやばいじゃん!?」

思わず素に戻り叫んでしまう。

これじゃあプレッシャーがかかる一方じゃない。

「あたしたちを襲ってきた・・・岩人形?とでも言っとくけど。あいつらって人間から作っているの?」

「そうだ。潰しあってくれるなら後が楽だろう」

事もなげに言ってくる。

良かった、あの時レベンを止めておいて・・・それにしてもこいつが世界を滅ぼすっていったのは本気みたいね。

今まで英雄たちによって防がれて来たというのに、何でそんなにこだわれるのかしら?

「それは私には使命があるからだ」

「!」

あたしはむちゃくちゃ驚いた。

今のは声に出していないはずだ!?それなのに・・・

「私にはお前たちの考えていることがわかるのだよ」

いよいよもってやばくなってきた。

しょうがない、やってみるか。

かえってふっきれたわ。

「ほう。まだ時間があるというのに私に挑むと言うのか?」

「ええ、外に危篤状態の人が沢山いるから。あまり時間をかけれないの」

あたしは淡々といった。

大丈夫だ、先程までの葛藤が嘘みたいに晴れている。

シャァン。

あたしはゆっくりと刀を抜く。

右手に刀、鞘は左手の逆手で持つ。

「おもしろい。お前の言う危篤状態のやつらは、持ってあと三十分。もしそれまでに私に傷の一つでも付けれたのなら治してやろう」

完全に舐められているわね。

でもその条件は願ったり叶ったりだわ。
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