その女剣士は世界を救い、英雄となる。

千石

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第56話

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「その年で、そこまで考えれるなんて大したもんじゃ」

全くだわ、その年でこれだけ強ければ十分だろうに・・・。

「じゃあ、あたしたちは行くわ。もう外に出れるんでしょ?」

「うむ。勇敢なもの達よ、達者でな」

あたし達は老人の言葉を背中で聞きながら、闘技場を後にした。

「あのじいちゃん何者だったのかな?」

レベンが老人との距離が十分離れたことを見計らってあたしに尋ねてくる。

「さあ?でも、以前から知っているような気がしたわ。・・・ひょっとしたら正真正銘の神様だったりして・・・」

「ははっ、まさかぁ。神様なんていないさ。いたとしても、人間のために何かしてくれるわけないし」

あたしの冗談に笑って言葉を返すレベン。

「夢がないわね、あんた。まあ、否定はしないけどね」

「やっと出口が見えてきたよ」

しばらくしてレベンが指差す。

そちらを見やると薄暗いなかで唯一光が差し込めているのが分かった。

「うーんやっと一段落ね」

闘技場の外に出てからあたしは思い切り伸びをする。

「ふぅ」

「何よレベン?ため息なんてついちゃって」

「いや、すごくしんどくてさ・・・拳もまた壊れちゃったし」

あたしはレベンの力なく落ち込んでいる肩を叩き、

「まあ、ファイトよ!」

と何だか意味不明なことを呟いてみる。

レベンは苦笑してから、

「そういや、大会はどうなるのかな?」

「それもそうね。日の位置からしてもう始まるはずなのにやけに人が少ないわね」

「そだね。ちょっとあそこにいる人に聞いてみるね」

足取りも重くレベンが気のよさそうなおばちゃんの所に向かって走っていった。

何やら話し込む二人。

なんか、驚いているみたいね。

しばらくしてから、レベンが慌てて戻ってきた。

「どしたの?」

「明日なんだってさ!」

・ ・・簡潔すぎて理解できないわね。

「何が?」

仕方ないから、聞き返す。

「何がって決まってんじゃんか。大会の開催日だよ」
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