70 / 83
第70話
しおりを挟む
「あっ、おはようございます」
あたしがサイカを伴って闘技場に向かうと・・・ちなみにあたしが世界大会の出場者と知ったときのサイカはすごく驚いていた・・・偶々会ったギルバートに声をかけられた。
朝から元気がいいわねぇ。
「うん。おはよう、ギル」
「そちらの女性はどなたですか?」
ギルバートがサイカの存在に気付き尋ねる。
しめた!向こうから尋ねてくるとは手間が省ける。
「ちょうど良かったわ。実はそのことでお願いがあるのよ」
「私にできることならなんなりとおっしゃってください」
「あのね、この子の働き口を探してほしいのよ」
まどろっこしいのが嫌いなあたしはストレートに言った。
「働き口ですか・・・何か職種にご要望とかはありますか?」
難しい顔して問い返すギルバート。
「だってさ。何かやりたいっていう職業ってある?」
あたしの問いにサイカは激しく首を振る。
「わかりました。いくつか心当たりがありますので打診してみます」
「よかったわね、サイカ!」
「よろしくお願いいたします」
「あたしからも頼むわ」
「任しておいてください」
言うと、ギルバートは駆け足で雑踏のなかに消えていった。
「すぐに行動に出るなんて、ギルもなかなかやるようになってきたわね」
うんうん。いい傾向ね。
「さて、行きましょうか」
サイカが頷くのを視界の端で確認してから、あたしは闘技場に向かった
「レベン、おはよう!」
「・・・おはよう」
昨日と同様に控え室に入ると眠そうにボーっとしているレベンに遭遇した。
「やけに眠そうね」
「うん」
「緊張して眠れなかったの?」
そんなことはないとは思いつつ、尋ねてみる。
「いや、図書館で借りた本を読んでたら、時間が経つのを忘れちゃって・・・」
・・・まあ、そんなところよね。
「何でわざわざそんなことしてんのよ」
「だって読みたかった本があったんだもの・・・」
欠伸を噛み殺しながら、わがままなことを言う。
子供らしいところもあるのね。
「おはよう!マーヘン、レベン!」
元気に控え室のドアを開けたのは、言わずと知れたリリヤ。
あちゃあ、他の選手たちこっちみてるよ・・・。
思わず手を顔にやるあたし。
「あれ。レベンどうしたの?涙を浮かべて」
先程の欠伸によるものだろう。
リリヤがレベンに問う。
「あたしがレベンの食物をとったら泣いちゃったのよ」
さり気なくレベンの口を塞ぎつつ、冗談を言ってみる。
しかしリリヤは半眼になり、
「あなたね・・・ちょっと食い意地が張っていると思ったら、まさかこんな子供から食物を奪うなんて!」
・・・うわぁ、信じちゃった。
あんたのあたしへの認識がそんなものだったとは・・・これからは気を付けよう。
「・・・冗談に決まってるでしょ」
「本当?レベン」
「うん。昨夜おそくまで本読んでて寝不足なだけだよ」
あたしから解放されたレベンが慌てて事実を話す。
「・・・どうだった?私の演技は?」
意味もなくリリヤが胸を張った。
「リリヤ・・・見てるこっちが辛いから・・・」
そういってジト目で見てやるあたしであった。
とりあえず、この勝負はあたしの勝ちね!・・・精神的には傷ついたけど・・・。
あたしがサイカを伴って闘技場に向かうと・・・ちなみにあたしが世界大会の出場者と知ったときのサイカはすごく驚いていた・・・偶々会ったギルバートに声をかけられた。
朝から元気がいいわねぇ。
「うん。おはよう、ギル」
「そちらの女性はどなたですか?」
ギルバートがサイカの存在に気付き尋ねる。
しめた!向こうから尋ねてくるとは手間が省ける。
「ちょうど良かったわ。実はそのことでお願いがあるのよ」
「私にできることならなんなりとおっしゃってください」
「あのね、この子の働き口を探してほしいのよ」
まどろっこしいのが嫌いなあたしはストレートに言った。
「働き口ですか・・・何か職種にご要望とかはありますか?」
難しい顔して問い返すギルバート。
「だってさ。何かやりたいっていう職業ってある?」
あたしの問いにサイカは激しく首を振る。
「わかりました。いくつか心当たりがありますので打診してみます」
「よかったわね、サイカ!」
「よろしくお願いいたします」
「あたしからも頼むわ」
「任しておいてください」
言うと、ギルバートは駆け足で雑踏のなかに消えていった。
「すぐに行動に出るなんて、ギルもなかなかやるようになってきたわね」
うんうん。いい傾向ね。
「さて、行きましょうか」
サイカが頷くのを視界の端で確認してから、あたしは闘技場に向かった
「レベン、おはよう!」
「・・・おはよう」
昨日と同様に控え室に入ると眠そうにボーっとしているレベンに遭遇した。
「やけに眠そうね」
「うん」
「緊張して眠れなかったの?」
そんなことはないとは思いつつ、尋ねてみる。
「いや、図書館で借りた本を読んでたら、時間が経つのを忘れちゃって・・・」
・・・まあ、そんなところよね。
「何でわざわざそんなことしてんのよ」
「だって読みたかった本があったんだもの・・・」
欠伸を噛み殺しながら、わがままなことを言う。
子供らしいところもあるのね。
「おはよう!マーヘン、レベン!」
元気に控え室のドアを開けたのは、言わずと知れたリリヤ。
あちゃあ、他の選手たちこっちみてるよ・・・。
思わず手を顔にやるあたし。
「あれ。レベンどうしたの?涙を浮かべて」
先程の欠伸によるものだろう。
リリヤがレベンに問う。
「あたしがレベンの食物をとったら泣いちゃったのよ」
さり気なくレベンの口を塞ぎつつ、冗談を言ってみる。
しかしリリヤは半眼になり、
「あなたね・・・ちょっと食い意地が張っていると思ったら、まさかこんな子供から食物を奪うなんて!」
・・・うわぁ、信じちゃった。
あんたのあたしへの認識がそんなものだったとは・・・これからは気を付けよう。
「・・・冗談に決まってるでしょ」
「本当?レベン」
「うん。昨夜おそくまで本読んでて寝不足なだけだよ」
あたしから解放されたレベンが慌てて事実を話す。
「・・・どうだった?私の演技は?」
意味もなくリリヤが胸を張った。
「リリヤ・・・見てるこっちが辛いから・・・」
そういってジト目で見てやるあたしであった。
とりあえず、この勝負はあたしの勝ちね!・・・精神的には傷ついたけど・・・。
0
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる