483 / 488
第482話
しおりを挟む
「想定外だったな」
グレイは、小城の中を案内されながら小声で呟く。
『ん?何がだ?』
グレイの右肩に止まっているイズがグレイに尋ねる。
「門番さんにすんなりと通されたからさ。普通に俺が『アリシア様の付き人』ですって名乗っただけだぜ?」
グレイの今の恰好は、まぁ良い恰好ではあったがそれでも名乗っただけですんなり入れたことに驚きを隠せなかったようだ。
『それだけ、お主の貫禄がついてきたってことだろう』
「そうかな?実感が湧かないが・・・」
イズの言葉に首を捻るグレイ。
『まぁ、深く気にする必要はないだろうさ』
イズはグレイに諭すように言う。
「それもそうか」
イズの言葉に従う形でグレイはそれ以降は黙って案内について行く。
その様子を見ながらイズは、
(まぁ、本当の所はグレイがレイや我を連れていたからだろうな)
と実際のところに気づいていた。
少女と鳥を連れた黒髪の少年など、中々いないだろう。
(グレイも色々と実績を重ねているからな、少しは実感してくれた方が良いだろう)
勘違いしているなら丁度良いとイズはグレイに本当の所を言うのは止めて置いた。
(本人は自覚が余りないだろうが、自分がどれだけの功績を上げているかを少しは考えておいた方が良いからな)
イズはグレイの今までの行動を思い返しながら思う。
(グレイも少しは理解しているだろうが、まだ足りない。・・・国王との謁見の時に何事も無ければ良いが・・・)
イズは何だか、嫌な予感がしていた。
(まぁ、何事も無く終わるとは思えぬがな・・・)
イズの予感は的中することになるのだが、この段階では誰も知る由が無かった。
グレイが案内された部屋にはアリシアがソファに座って紅茶を飲みながらゆったりとしていた。
「皆さん、思ったよりも早かったですね」
グレイ達に気が付いたアリシアは紅茶をテーブルに置くと、にっこりと笑みを浮かべる。
「アリシアさ・・・」
「この場には誰も居ませんよ?」
アリシア様と言おうとしたグレイに対してアリシアが言葉を被せるようにしてくる。
「・・・アリシア。これでも遅かったくらいだ。・・・道に迷ってね」
グレイは敬語を止めると、正直に迷っていたことを話す。
「あら、それは大変でしたね。無事で何よりです」
アリシアは迷っていたことに責めたりはせず、無事であることを喜んでくれる。
「ありがとう」
こういった対応が嬉しく、グレイは礼を言ったのであった。
グレイは、小城の中を案内されながら小声で呟く。
『ん?何がだ?』
グレイの右肩に止まっているイズがグレイに尋ねる。
「門番さんにすんなりと通されたからさ。普通に俺が『アリシア様の付き人』ですって名乗っただけだぜ?」
グレイの今の恰好は、まぁ良い恰好ではあったがそれでも名乗っただけですんなり入れたことに驚きを隠せなかったようだ。
『それだけ、お主の貫禄がついてきたってことだろう』
「そうかな?実感が湧かないが・・・」
イズの言葉に首を捻るグレイ。
『まぁ、深く気にする必要はないだろうさ』
イズはグレイに諭すように言う。
「それもそうか」
イズの言葉に従う形でグレイはそれ以降は黙って案内について行く。
その様子を見ながらイズは、
(まぁ、本当の所はグレイがレイや我を連れていたからだろうな)
と実際のところに気づいていた。
少女と鳥を連れた黒髪の少年など、中々いないだろう。
(グレイも色々と実績を重ねているからな、少しは実感してくれた方が良いだろう)
勘違いしているなら丁度良いとイズはグレイに本当の所を言うのは止めて置いた。
(本人は自覚が余りないだろうが、自分がどれだけの功績を上げているかを少しは考えておいた方が良いからな)
イズはグレイの今までの行動を思い返しながら思う。
(グレイも少しは理解しているだろうが、まだ足りない。・・・国王との謁見の時に何事も無ければ良いが・・・)
イズは何だか、嫌な予感がしていた。
(まぁ、何事も無く終わるとは思えぬがな・・・)
イズの予感は的中することになるのだが、この段階では誰も知る由が無かった。
グレイが案内された部屋にはアリシアがソファに座って紅茶を飲みながらゆったりとしていた。
「皆さん、思ったよりも早かったですね」
グレイ達に気が付いたアリシアは紅茶をテーブルに置くと、にっこりと笑みを浮かべる。
「アリシアさ・・・」
「この場には誰も居ませんよ?」
アリシア様と言おうとしたグレイに対してアリシアが言葉を被せるようにしてくる。
「・・・アリシア。これでも遅かったくらいだ。・・・道に迷ってね」
グレイは敬語を止めると、正直に迷っていたことを話す。
「あら、それは大変でしたね。無事で何よりです」
アリシアは迷っていたことに責めたりはせず、無事であることを喜んでくれる。
「ありがとう」
こういった対応が嬉しく、グレイは礼を言ったのであった。
92
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる