他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第482話

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「想定外だったな」

グレイは、小城の中を案内されながら小声で呟く。

『ん?何がだ?』

グレイの右肩に止まっているイズがグレイに尋ねる。

「門番さんにすんなりと通されたからさ。普通に俺が『アリシア様の付き人』ですって名乗っただけだぜ?」

グレイの今の恰好は、まぁ良い恰好ではあったがそれでも名乗っただけですんなり入れたことに驚きを隠せなかったようだ。

『それだけ、お主の貫禄がついてきたってことだろう』

「そうかな?実感が湧かないが・・・」

イズの言葉に首を捻るグレイ。

『まぁ、深く気にする必要はないだろうさ』

イズはグレイに諭すように言う。

「それもそうか」

イズの言葉に従う形でグレイはそれ以降は黙って案内について行く。

その様子を見ながらイズは、

(まぁ、本当の所はグレイがレイや我を連れていたからだろうな)

と実際のところに気づいていた。

少女と鳥を連れた黒髪の少年など、中々いないだろう。

(グレイも色々と実績を重ねているからな、少しは実感してくれた方が良いだろう)

勘違いしているなら丁度良いとイズはグレイに本当の所を言うのは止めて置いた。

(本人は自覚が余りないだろうが、自分がどれだけの功績を上げているかを少しは考えておいた方が良いからな)

イズはグレイの今までの行動を思い返しながら思う。

(グレイも少しは理解しているだろうが、まだ足りない。・・・国王との謁見の時に何事も無ければ良いが・・・)

イズは何だか、嫌な予感がしていた。

(まぁ、何事も無く終わるとは思えぬがな・・・)

イズの予感は的中することになるのだが、この段階では誰も知る由が無かった。



グレイが案内された部屋にはアリシアがソファに座って紅茶を飲みながらゆったりとしていた。

「皆さん、思ったよりも早かったですね」

グレイ達に気が付いたアリシアは紅茶をテーブルに置くと、にっこりと笑みを浮かべる。

「アリシアさ・・・」

「この場には誰も居ませんよ?」

アリシア様と言おうとしたグレイに対してアリシアが言葉を被せるようにしてくる。

「・・・アリシア。これでも遅かったくらいだ。・・・道に迷ってね」

グレイは敬語を止めると、正直に迷っていたことを話す。

「あら、それは大変でしたね。無事で何よりです」

アリシアは迷っていたことに責めたりはせず、無事であることを喜んでくれる。

「ありがとう」

こういった対応が嬉しく、グレイは礼を言ったのであった。
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