他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第259話

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実は駄目元で第17回ファンタジー小説大賞に応募しており今回が初日なため5話掲載します。
是非ともご応援の程よろしくお願いいたします!
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「ははっ、その反応、聞いてた通りだね」

赤ずくめがヘラヘラしながらマドッグを挑発するように言う。

ドゴォォォン

一瞬で赤ずくめとの間合いを詰めたマドッグは赤ずくめの顔面を思い切り殴りつけ、吹き飛んだ赤ずくめの体がぶつかった木が真ん中から折れ、大きな音を立てる。

「・・・」

マドッグは赤ずくめを殴りつけた左拳を眺める。

(何だ?余りにも手ごたえが無さ過ぎる)

マドッグは未だに煙が立ち込めている方へ視線を戻す。

その瞬間、

「いきなり酷いな。僕の一張羅に埃がついてしまったじゃないか」

何事も無いように赤ずくめが煙の中から現れた。

「・・・ふん。貴様が舐めた態度をとるからだ」

マドッグは自分が予想をしていた赤ずくめの出現に余り感じることも無く、普通に答える。

「あれれ?もっと驚くかと思ったのに」

赤ずくめはとても残念そうに呟く。

(目障りだな)

マドッグは赤ずくめとの会話に価値を見出せないと判断し、ここで初めて構えを取る。

「わわっ!ちょ、ちょっと待った!僕は君と戦う気なんてこれっぽっちも無いよ!!」

マドッグの様子を見た赤ずくめは慌てて両手を上げる。

「・・・ならさっさとここから去れ」

マドッグが鬱陶しそうに吐き捨てるように言う。

「釣れないなぁ。君にとって有益な情報を持ってきたっていうのにさ。ねぇ、聞きたいでしょう?【毒狼】?」

「・・・何だ。【創主】の手下か?」

マドッグは赤ずくめの発言で、赤ずくめが自分と似たような境遇の者だという事を理解し、表面上は構えを解く。

「まぁ、手下ではなく、パートナーと言った所だけどね」

赤ずくめはやっとまともに話を聞いてくれそうな態度になっとマドッグに向けて肩を竦める動作をする。

(いちいち大げさな奴だ)

マドッグは赤ずくめをもう一度殴ってやろうかと考えたが話が進まないため我慢すると、

「それで、有益な情報というのは何だ?」

話を終わらせるために赤ずくめの要件を問う。

「ん?ああ、そうだったね。えっと・・・」

赤ずくめは懐をごそごそし、何かを探す動作をする。

「あったあった。ほら、これを君に渡してくれと【創主】に頼まれてね」

紙切れを1枚取り出した赤ずくめはマドッグに差し出すように渡す。

マドッグはひとまず、赤ずくめの渡したものを受け取ると中を読み始める。

(何だ?【魔法武闘会】の開催案内?)

マドッグは赤ずくめが何故わざわざ自分にこんなチラシを渡したのかが良く分からないながらも読み進める。

「!?」

そして、ある名前を見つけると衝撃を受ける。

「ふ、フハハハハハ!!!」

そして、マドッグは狂ったように笑い始める。

「そうかそうか・・・貴様はそんなところに居たんだな」

楽しそうに笑い続けるマドッグを見た赤ずくめは、

「ふぅん。そんなにそいつの事が気になるんだね。【創主】の言った通りだ」

赤ずくめは未だに狂ったように笑うマドッグを見て、興味深そうに呟く。

「じゃあ、確かに渡したからね」

赤ずくめが用事は終わったとばかりに立ち去ろうとすると、

ガシッ

笑うのをやめたマドッグが赤ずくめの首を片手で掴む。

「はっ?今、僕は君に後ろを向けたよね?何で目の前にいるのさ??」

一瞬で目の前に来て自分の首を絞めてくるマドッグに赤ずくめは混乱する。

「貴様がくれた情報はありがたく貰っておく。探す手間が省けたのでな・・・だが、俺と奴の戦いの邪魔は絶対するなよ?」

それは、【魔族】である赤ずくめでさえ恐怖を覚える程の殺気であった。

「ああ。もちろんさ」

【魔族】としてのプライドから目の前にいる者に恐怖を覚えていることを悟らせないように表面上は取り繕うようにして答える赤ずくめ。

「分かれば良い・・・さっさと失せろ」

マドッグは赤ずくめの首から手を離す。

すぐさまその場から立ち去る赤ずくめ。

「【魔法武闘会】か、国中から注目されるそこなら、貴様との決着をつけるに相応しい場所だな・・・待っていろ、【グレイ・ズー】。それまでの短い人生を楽しく過ごせ」

マドッグは手に持っていたチラシを握り潰すとその場に放り捨てる。
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