他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第270話

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・・・それは、グレイたちが魔人形達の間を通り抜けようとした時に起こった。

カタ・・・カタ・・・

「「!?」」

突然、妙な音がして驚くグレイとアリシア。

「アリシア!俺の後ろに下がって!!」

すぐに我に返ったグレイがアリシアを自分の後ろに移動させる。

「グレイ・・・魔人形が動いておりますわ・・・」

アリシアがいち早く音の出どころを把握し、グレイに伝える。

その声には恐怖の色が含まれている。

アリシアの言葉に従い、グレイも音の出どころを認識する。

「おいおい・・・まじかよ・・・」

この中で唯一魔人形の怖さを実体験として理解しているグレイも絶望の色が濃い。

何もできずにじっとしている少しの間に魔人形十数体は数体を除いて立ち上がっていた。

ザッ・・・ザッ・・・

まるで逃げ場を無くすように一列に並ぶとグレイ達の方に一歩ずつ進んでくる魔人形達。

「アリシア・・・奴らがゆっくりと来ている間に下がろう」

「はい。私《わたくし》達もそっと移動しましょう」

グレイの指示に従い、アリシア共々顔を前に向けたまま水晶の部屋に向かってゆっくりと後ろに下がっていく。

幸いにも魔人形達の移動速度とグレイ達の移動速度は同じなため両者の間隔が狭まることはない。

やがて、グレイの後ろにいるアリシアが水晶の部屋の出入口に辿り着く。

「・・・グレイ」

アリシアが緊張した声でグレイの名前を呼ぶ。

「・・・何?」

嫌な予感をしつつグレイもアリシア同様に魔人形達を刺激しないように小声で尋ねる。

「・・・入口が開きませんわ」

「っ!?」

アリシアの言葉に動揺したグレイは一足飛びにアリシアの隣に辿り着くと入口を開けようと必死になる。

「何で開かないんだっ!!」

入口に向かって両拳を叩きつけ、思わず大きな声を上げるグレイ。

「グレイ・・・覚悟を決めましょう」

アリシアの強い意思が込められた言葉を聞いてグレイは冷静になろうと深呼吸をしながらゆっくりと迫ってくる魔人形達に向かって睨みつける。

ザッ・・・ザッ・・・

グレイやアリシアの反応など気にした素振りも無く、一定のスピードで近づいてくる魔人形。

「アリシア・・・俺が囮になる。その隙に反対側に見える階段から地下100階に向かってくれ。この部屋から出ればこいつらも追っては来ないはずだ」

グレイが決死の表情でアリシアに作戦を伝える。

「そんなっ!私《わたくし》も戦います」

グレイの作戦に承諾できないと反応するアリシア。

グレイはアリシアを説得しようと口を開こうとするが、それよりも早くアリシアが言葉を続ける。

「せっかく再会出来ましたのに、またグレイと離ればなれになるなんて絶対に嫌ですわっ!たとえ結果がどうなろうと一緒に居ます!!」

グレイは自分が言おうとした言葉をアリシアの言葉と真剣な目を見ておさめる。

代わりに別の言葉を告げる。

「・・・分かった。なら、二人でここを乗り切ろう」

「!はいっ!!」

グレイの言葉を聞いたアリシアが笑顔になる。

グレイもアリシアに釣られて笑顔になると、

「良し。それじゃあ、奴らがあと5歩近づいた瞬間に左右に移動しよう。そうすれば、俺たち一人当たりの魔人形の数も減るはずだ。その後は、一直線に向こうの階段を目指そう」

「畏まりましたわ。この場を無事に切りぬけましょう」

「ああ」

こうして、グレイとアリシアは覚悟を決めた。
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