他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第290話

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「あれが、グレイが話してくれた村ですね」

歩いていると小さな村が見えてきた。

アリシアがグレイに向かって話しかける。

「ああ。間違いない。あの村だ」

グレイが村の様子を見ながらアリシアの言葉に応じる。

『懐かしいな。我が初めて訪れた人里だ』

イズが嬉しそうに呟く。

「確か、村長さんに地図を頂いたのでしたよね?」

アリシアが以前にグレイに聞いたこの村での出来事を思い出しながら尋ねる。

「ああ。この地図を貰った。お陰でアリシアと再会することができたんだ」

グレイは腕輪の力で村長に貰った丸まった古ぼけた地図を取り出しアリシアに渡す。

アリシアが今にも破れてしまいそうな地図をそぅっと広げ、中身を見る。

その地図には、この村の位置と魔法学園がある位置に印が付けられている。

「かなり古い地図ですわね。ですが、この村と魔法学園を示すには充分ですわね」

アリシアは微笑むと、丁寧に地図を丸めグレイにそっと返した。



「・・・変だな。静か過ぎる・・・先日来た時はもう少し人気があったはずだが・・・」

無事に村に入ったグレイが呟く。

以前来た時には農作業をする者や洗濯をする者、広場で遊ぶ者などがすぐに見えたが今は人一人見当たらない。

「そうですわね。静か過ぎますわ。ですが、何かに襲われたような感じはしません」

アリシアも周りを見回しながら違和感を感じるがそれが何かは分からないようだ。

真っ先に思い浮かぶのは盗賊などによる襲撃だが、そのような形跡は見当たらない。

「ひとまず、村長の家に向かってみよう」

「はい。そうしましょう」

グレイとアリシア、イズの三人は中央にある村長の家を目指すことにした。



しばらく歩いて行くと中央にある村長の家が見えてきた。

「皆、ここに居たんだな」

村長の家に入りきらない位の人々が周りに立っているのが見えてきた。

「・・・何か様子が変ですわね。皆さん凄く落ち込んでいる様子ですわ」

アリシアが村人たちを見て様子がおかしいことに気が付く。

「・・・あれじゃあ、入れない。しばらく、様子を見よう」

「それがいいでしょうね」

グレイの提案にアリシアが頷くと近くの広場に移動する。

「一体何があったのでしょうね」

広場にある椅子に座るとアリシアがグレイに尋ねる。

「・・・たぶん。村長の身に何かあったんだろう」

アリシアの言葉にグレイが返事をする。

「・・・もしかして、村長さんの寿命が近いのですか?」

グレイの言葉に何かを感じたのかアリシアがグレイに尋ねる。

「・・・ああ。あと1年はあるはずだが、寿命が尽きるのは病気の所為だったのかもしれない」

グレイが持つ能力は相手の寿命を視る能力である。

だが、その原因が何なのかまでは分からない。

事故による場合、事件に巻き込まれる場合、病気に侵される場合など様々だ。

しかし、これまでの経験から可能性を考える力はかなり鍛えられていた。
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