他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第299話 少し過去の迷宮脱出後の話⑤です

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ぐぅ

無茶苦茶な動きをしたグレイのお腹がかなり大きな音を立てる。

『・・・グレイ、腹が鳴っているぞ』

イズがそろそろ頃合いと思ってグレイに話しかける。

「・・・食べるものが無いからな」

グレイは気にせず夜の森を歩き続ける。

(仕方がないか・・・)

『はぁ・・・グレイよ。何か忘れていないか?』

イズは仕方がなく、グレイに助言することにした。

「ん?何のことだ??」

グレイが疑問符を浮かべイズに尋ねる。

『迷宮で得たものがあるだろう。【看破の試練】でも使っていたあれだ』

イズは直接は言わず、グレイが思い出せるようにヒントを出す。

グレイは、イズが何を言いたいかに気が付くと、

「あ・・・あの泉の水か。すっかり忘れていた」

今思い出したかのように呟く。

(迷宮の中での空腹をしのぐのに使っていたのに何で忘れてたんだ・・・)

グレイはその事実に気が付き、自分が迷宮にいるときよりも焦っていることに気が付く。

迷宮の中にいたときは絶望的な状況であったため、脱出することに注力していたが迷宮を出た今は魔法学園に戻ることしか考えられていなかったためだろう。

グレイは、腕輪の力で泉の水を口の中に存在させ、飲み込む。

直ぐに体が回復し、空腹も満たされるのを感じる。

「イズ、ありがとう」

グレイはイズに感謝の言葉を贈る。

『いや、気にするな』

(本当はこの方法はとらず、しっかりと食事をとって欲しかったんだがな・・・グレイがこのことに気が付いてしまうと・・・)

「これで、極力休まずに進めるな」

(・・・ああ、やっぱりだ)

グレイの言葉にイズが溜息を吐いた。



イズの懸念の通り、それからのグレイはほとんど休みを取らずに強行していった。

そして、今迷宮を出てから一週間くらい経った。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

グレイが中々抜けない森を走っていると、辺り一面に大きな悲鳴が響き渡った。

「!?何だ?」

流石のグレイも足を止め、状況把握をしようとする。

『どうやらあちらの方だな』

イズがいち早く、天高く舞い上がり、悲鳴の発生源を見つける。

「イズ、ありがとう。案内してくれ!!」

グレイが迷う気配も無く即決する。

『ああ、あっちだ!』

イズがグレイの前を飛び、悲鳴があった方向に向かう。

グレイは泉の水を口に含み回復しながら短距離走を連続するようなスピードで駆ける。

「何が見えた?」

グレイが走りながらイズに尋ねる。

『良くは見えなかったが、子供が何かに追いかけられているようだった』

イズが一瞬で見えた範囲のことをグレイに答える。

「・・・分かった。ありがとう」

グレイはイズの言葉を聞きどう対応するかを考え始める。

(何に襲われているかがポイントだな。罠の可能性は・・・無いだろう。今更俺を狙うとも思えない。何よりも俺は死んだと思っているはずだから・・・)

グレイはまず、罠の可能性を疑った。

自覚は無かったが迷宮にまで送って殺そうとした人間がいるのだ。

自分を嵌めようとする人間が居ても可笑しくない。

だが、流石に迷宮を出たことを想定できる人間がいるとも思えない。

今まで踏破したことのない迷宮なのだから。

なので、グレイを狙った罠の可能性は無いだろう。

グレイはその結論にたどり着いてから別の想定を始めた。
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