他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第414話

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「うっ」

ベッドを離れて歩き出すとすぐに頭痛がゾルゲを襲い、よろけてベッドに手を着く。

(血を流し過ぎたんだろうな・・・やはり大怪我をしたのは間違いなさそうだ)

ゾルゲはもう少しベッドで横になっていたいという誘惑に駆られるが堪えて歩みを再開する。

(今、御礼を言わないといつ会えるか分からない)

ゾルゲはふらつく体を何とか制御してゆっくりと【聖女】に向かって歩いて行く。

(よし、いいぞ)

ゾルゲは段々と近づく【聖女】の姿から目を離さないようにし、一歩一歩進む。

(あと少し・・・)

ゾルゲは【聖女】の近くに到着すると口を開いた。

「【聖女】様」

自分では普通に声を出したつもりだったが、口から出た音量はか細いものだった。

(まずい、もっと大きな声でお声がけをしなければ)

ゾルゲは再度呼びかけようと先ほどよりも大きく息を吸う。

が、ゾルゲが再び声を上げる必要は無かった。

ゾルゲの声に気が付いたのだろう。

【聖女】は振り返ると、ゾルゲに向かって微笑むとこう言った。

「あら?あなたは?お目覚めになられたのですね。良かったですわ」

「あっ」

ゾルゲは間近で微笑む【聖女】の様子に虚を突かれ、思考が停止してしまう。

「歩かれるくらい回復なされたのは良かったですが、まだ安静にしていないと駄目ですよ」

【聖女】はゾルゲの戸惑いに気が付いた様子も無く、ゾルゲの体調を心配しベッドに戻ることを勧める。

「ゾルゲ、【聖女】様もこうおっしゃっている。さぁ、ベッドまで戻るぞ」

【聖女】の様子に気が付いた女性教諭がゾルゲの傍に近づくと肩を支えながら来た道に戻るように声を掛ける。

「っ!?」

呆けていたゾルゲはここに来て漸く我に返ると、

「せ、先生っ!少しだけ待ってください」

慌てて女性教諭に声を掛けた。

「どうしたんだ?」

ゾルゲの言葉を聞いた女性教諭は振り返るように誘導しようとしていた手を止めてくれる。

「【聖女】様に御礼を言わせてください」

「・・・なるほど」

ゾルゲの言葉に相槌を打つ女性教諭。

そして、何故か困ったように【聖女】の方を向く。

(?)

ゾルゲは女性教諭の様子に違和感を覚えながら、【聖女】の方に顔を向けると、

(何だ?【聖女】様も困ったような顔をしてらっしゃるぞ)

同じく困った顔をした【聖女】が目に映る。

「ゾルゲさん・・・でしたか」

「はい。そうです。マードッグ・ゾルゲと申します」

【聖女】に名前を呼ばれたことに少なくない喜びを感じながらもゾルゲは自分の名前を名乗る。

「実はゾルゲさんのことを治療したのは私《わたくし》ではないのです」

「えっ?」

【聖女】が告げた言葉にゾルゲは不覚にも間の抜けた声を上げてしまったのであった。
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