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第417話
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「・・・そうですか」
【聖女】はゾルゲの言葉を聞いてそう答えると、考え始める。
(・・・ゾルゲさんの御言葉からしますと一体どなたが治されたのでしょうか?)
もちろん、自分が治していない事は間違いない。
そして、魔法学園の教諭達にもいないとすると、
(・・・とすると観客の方のどなたか、もしくは魔法学園の生徒ということになりますわね・・・)
と、そこまで考えて初めて【聖女】は誰がゾルゲを治したのかに思い至る。
「あ・・・」
「どうされましたか?もしかして私を治してくださった方にお心当たりがあるのでしょうか?」
ゾルゲは【聖女】の反応を見て思わず尋ねる。
「・・・いいえ。残念ですが心当たりはないですね」
【聖女】は少しだけ間を開けた後、ゆっくりと首を振った。
「そうですか・・・」
ゾルゲはがっかりしたように俯いた。
「・・・お話を聞かせてくださってありがとうございました。まだ体調が治っていらっしゃらなかったにも拘らずすみませんでした。私《わたくし》は失礼致しますね」
【聖女】は軽く頭をさげると踵を返す。
「あ、ありがとうございます」
ゾルゲは立ち去っていく【聖女】に向かって頭を下げる。
そして【聖女】は再び治療の手伝いに向かったのであった。
「・・・一体誰が俺に事を治してくれたんだ・・・」
一人になったゾルゲはベッドに横になりながら呟く。
「駄目だ・・・考えても答えは出ない。大人しく休むとするか・・・」
ゾルゲはそう呟くと目を瞑り、眠りについた。
「聖女様、ありがとうございます!!」
「この御恩は一生忘れませんっ!!」
「・・・あ、いえ、とんでもありません」
考え事をしている【聖女】は他の患者を治し、御礼を言われても返事が遅くなる。
「では、私《わたくし》はこれで」
受け答えもそれなりで、【聖女】は別の患者の方に向かう。
(・・・この医務室に来た時にアリシアを見かけた気がしました。恐らく、それは見間違いでは無かったのでしょう。ということは、きっとあの方もいらしたはず・・・)
【聖女】は黒髪黒目の少年を思い浮かべる。
そして、更に思考を深める。
(・・・アリシアの怪我を治して見せたあの方なら、ゾルゲさんの目を治すのも容易いはず・・・)
思い出すのは満身創痍のアリシアを一瞬で治して見せた場面だった。
そして、ふと【聖女】は突拍子もない考えを思い浮かべる。
(・・・もしかして、アリシアが治したという【魔力過大病】もあの方が治したのでは・・・)
その考えに思い至った【聖女】はその日は治療に身が入らなかったのであった。
【聖女】はゾルゲの言葉を聞いてそう答えると、考え始める。
(・・・ゾルゲさんの御言葉からしますと一体どなたが治されたのでしょうか?)
もちろん、自分が治していない事は間違いない。
そして、魔法学園の教諭達にもいないとすると、
(・・・とすると観客の方のどなたか、もしくは魔法学園の生徒ということになりますわね・・・)
と、そこまで考えて初めて【聖女】は誰がゾルゲを治したのかに思い至る。
「あ・・・」
「どうされましたか?もしかして私を治してくださった方にお心当たりがあるのでしょうか?」
ゾルゲは【聖女】の反応を見て思わず尋ねる。
「・・・いいえ。残念ですが心当たりはないですね」
【聖女】は少しだけ間を開けた後、ゆっくりと首を振った。
「そうですか・・・」
ゾルゲはがっかりしたように俯いた。
「・・・お話を聞かせてくださってありがとうございました。まだ体調が治っていらっしゃらなかったにも拘らずすみませんでした。私《わたくし》は失礼致しますね」
【聖女】は軽く頭をさげると踵を返す。
「あ、ありがとうございます」
ゾルゲは立ち去っていく【聖女】に向かって頭を下げる。
そして【聖女】は再び治療の手伝いに向かったのであった。
「・・・一体誰が俺に事を治してくれたんだ・・・」
一人になったゾルゲはベッドに横になりながら呟く。
「駄目だ・・・考えても答えは出ない。大人しく休むとするか・・・」
ゾルゲはそう呟くと目を瞑り、眠りについた。
「聖女様、ありがとうございます!!」
「この御恩は一生忘れませんっ!!」
「・・・あ、いえ、とんでもありません」
考え事をしている【聖女】は他の患者を治し、御礼を言われても返事が遅くなる。
「では、私《わたくし》はこれで」
受け答えもそれなりで、【聖女】は別の患者の方に向かう。
(・・・この医務室に来た時にアリシアを見かけた気がしました。恐らく、それは見間違いでは無かったのでしょう。ということは、きっとあの方もいらしたはず・・・)
【聖女】は黒髪黒目の少年を思い浮かべる。
そして、更に思考を深める。
(・・・アリシアの怪我を治して見せたあの方なら、ゾルゲさんの目を治すのも容易いはず・・・)
思い出すのは満身創痍のアリシアを一瞬で治して見せた場面だった。
そして、ふと【聖女】は突拍子もない考えを思い浮かべる。
(・・・もしかして、アリシアが治したという【魔力過大病】もあの方が治したのでは・・・)
その考えに思い至った【聖女】はその日は治療に身が入らなかったのであった。
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