不良探偵ダン・エルトン

ヲダツバサ

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第1章 過去と今とダン・エルトン

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 金庫の鍵はともかく、ブレンダが地下室の鍵を触ったのは確実。鍵を常に持ち歩くレオから、いつ手に入れたのか。

 不安そうなシェリーの頭を撫でて、俺はエリオットに話の続きを促した。

「レイに、レオがレストラン内で鍵を手放す事があったのか聞いておいてくれ。そんで……他にも何かあるのか?」

 エリオットは手帳をめくりながら答えた

「二階の事務室、レイがいつも使っている部屋から暗号のようなものが書かれた紙が」

「暗号?」

 エリオットは証拠品袋からその紙を出した。紙自体は名刺を一回り大きくしたようなありふれた物だ。それを一枚出した。

 書かれていた数字はたしかに奇妙だった。

 6483.54.85.150000

 何かを意味してそうな数字の羅列。

 筆跡は、特徴的だが綺麗な字だ。筆圧を敏感に拾うペンのようで、線が太くなったり細くなったり、太さがコロコロ変わっている。

 先輩様をチラリと見ると、口の片端だけ上げて笑っていた。

「あー、よろしい」

「先輩様、もう分かったのか?」 

「逆に、何もわからないのかね? 陳腐な暗号だ。それに、この筆跡」

「いや、何となく分かる。この字は俺達に因縁のある人物の筆跡だ。だけど後から来たのに……」

「遅れて来た者にも分かる簡単なものだ。バッキンレイの申し子がこれぐらいの事も解けないなんてな」

「比べられても困る」

 溜め息吐いて、話を元に戻した。

「エリオット、他に何かあるか?」

 エリオットは別の袋からある物を出した。写真だ。

「ブレンダのロッカーにあった物です」

「あー、女性が写ってるね。微笑んでる。ブレンダに少し似てるな」

 たしかに、写真の女はブレンダより老けてて髪も短いが、顔のパーツの形が近かった。

「ブレンダの母親か?」

「んー、家族の写真を持ち歩くタイプなら、父親のが無いのは何故だろう」

 言われてみればそうだな。単純に嫌いだったんじゃね?

「そういやブレンダの指紋って他にもどこかに付いていたか?」

 俺の質問にエリオットは戸惑っていた。


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