【完結】船宿さくらの来客簿

ヲダツバサ

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第二章 おふくろの味としじみ汁

2-26

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「それまでは、さくらの飯屋を続けますね」

 母は眉間に皺を寄せたが、呆れたように笑った。

「親の言う事を聞かない子だね。何を言っても無駄そうだから、しばらくは好きにしなさい」

「ありがとうございます、お母ちゃん。あと、山川屋のあの人達がこの味噌汁を気に入ったら、宣伝してもらおうかと思ってるんだけど」

「え? 山川屋のご主人には秘密にしてるんだろう?」

 そうなのよね、おチヨ達に出来る事で、さくらの得になる報酬が欲しいのだけど……思い付かない。

 アタシはまた悩む事になった。

「待て」

 そこで、父が提案した。

「山川屋は花火に出資しているのだよな?」

「はい。そう聞いているけど」

「それなら、こんなのはどうだろう……」




 
 数日後。





「本当の本当に、ありがとうございました。トモミ様も大喜びでございました」

 快晴の江戸、客で混み合うさくらに、おチヨが一人で来ていた。

「まさに、あの味噌汁でした。今は亡き奥様のと全く同じ味でした。こんな若くて地味な娘さんに、あんな難しい注文が成し遂げられるなんて、思ってませんでしたが」

「喧嘩売ってんのか礼を言ってんのかハッキリしてください。まぁ、アタシも役に立てて良かった」

「麦味噌。柚子。それらの塩梅。見事でした。私では思い付きもしませんでした。普通の洒落た料理屋とは違うから思い付くのかしら」

 追い出そうとしたら三郎・弥次郎の大工親子に止められた。他の客達が大笑いする。

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