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乙女ゲーム以前
重大発表
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馬車の中では一言も会話を交わさなかった。私は窓を向いたまま、景色が過ぎて行くのをぼんやり眺めた。お父様とおじさまの約束の一つに、私が十歳になったら婚約を発表しようというものがあった。十歳になって結構経つけれど、我が家はあまりパーティーはしないから、発表する機会はなかった。でも、今日は違う。
集まる人数やメンバーを考えても、このパーティーが最良だと、公爵のおじさまは考えるはずだ。さて、どうしたものか。
パーティーに誰が招待されているか事前に分からないし、アレハンドリナがいるとは限らない。早々にクラウディオのロックオンしてほしいのに、いないのでは話にならない。時間が来るまで適当な令嬢達と話をして過ごし、いよいよ発表されそうになったら邸のどこかに行方をくらまそう。幸い、五年前から何度も通っている。どこにどんな隠れ場所があるか熟知している。私に隠れられないところなんてないのよ。
◆◆◆
公爵家に着く頃には、パーティーが始まって時間が経っていた。仕方なくクラウディオと先代公爵夫人にご挨拶してお祝いを述べた。
私達に気づいたビビアナ様が駆け寄ってきて、俯いた私の顔を覗きこんだ。
「エレナ様、どこか具合が悪くていらっしゃるのね?」
具合というか、頭にきて仕方がないのよ。
「え、は、まあ……」
適当に答えて視線を逸らす。
「無理はなさらないでね。向こうにダフネ様達がお話ししているわ。ダンスはなさらないで座ってお話ししていたらどうかしら?」
「は、はい!ありがとうございます」
助け舟だった!
これ幸いとクラウディオとビビアナ様を残して、私はダフネ様達のいる一角へ走った。
ドン。
「おっと」
「申し訳ございません。私の不注意で……」
ぶつかった相手を見上げる。……あ、この人。
「……ファブリシオ様」
「やあ、君がエレナだよね?」
いきなり呼び捨てにされた。まあ、年上だから仕方がないか。
「はい」
「ふぅん……俯いてばかりでよく分からなかったけれど、宝石のような瞳だね」
「は?」
「夕焼け空の髪……うーん、まあ、合格点かな」
「はぁあ?」
何であんたに合格不合格決められないといけないの?
クラウディオとの一件もあって、私のイライラは最高潮だった。
流石はダフネ様とドラ様が取り合っている顔だけの男・ファブリシオだ。自分がモテると勘違いしている。黙って令嬢達に囲まれていればいいものを、私のところまで遠征してきたのか。
「よく見ると可愛いね、君」
よく見ると、は余計よ。
「じろじろ見るのは不躾ですよ」
「おや、真っ赤になって。照れているのかな」
人の話を聞け!
真っ赤になって怒ってるのよ!
「まさか。照れておりませんわ」
「そう?でも君、婚約者に可愛いとか綺麗だねとか言われたことないでしょ?」
「……だから何だって言うんですか」
どうして秘密の情報が知られているのだろう。使用人の口から会話が漏れた?
おかしい。
「その点僕は、可愛い子には可愛いって言うし、あんまりそうでもない子にも可愛いって言うよ?」
後半は不要よね?
「君は可愛いと思うし、一緒に歩くにもまあまあ自慢できるし」
「それはどうも!私、急いでおりますので、失礼いたしますわ」
一礼して横を過ぎようとすると、ファブリシオは私の腕を掴んだ。
「ダフネのところだよね?一緒に行こうよ」
行きたいのはやまやまだけれど、こいつと一緒は嫌だ。行き先を変更しよう。
「いいえ、私は……」
「ファブリシオ」
思わぬ方向から声がかかった。私の背後、ファブリシオからは見える位置だ。
「先ほどから目立っておりますよ?ダフネ様とドラ様がいらっしゃる場で、他のご令嬢に目移りしては、あなたの評判がますます下がりますよ?」
口調は丁寧だが思いっきりバカにしている。
腕を掴む力が弱まった。振り切って後ろを向くと、ファブリシオは舌打ちして彼を睨んでいた。
――イルデフォンソだわ!
癖のない銀髪を揺らし、少し首を傾げたイルデフォンソは、天使像のように清らかで美しかった。
「はあ……仕方ないな、あいつらの相手は疲れるんだよ。愛されるのも楽じゃないってか。……じゃあね、宝石の君」
素早く私の手を取って、甲に口づけた。一瞬で鳥肌が立った。
最後まで勘違い男のまま、ファブリシオはウインクをして去って行った。
「あ、あの!」
お礼を言わなければ。そして、アレハンドリナと会えるように、繋がりを作らなければ。
「何でしょうか」
「ありがとうございました。しつこくされて困っておりましたの」
「そうですか。私は通行の妨げになるから声をかけただけです。お気になさらず。では」
行っちゃう!
「待ってください!」
「……まだ何か?」
振り返ったイルデフォンソは、目を眇めてから作り笑顔を浮かべた。
「私、アレハンドリナ様にお会いしたいのです」
「……え?」
彼は何度も瞬きをした。
「アレハンドリナ様は私達年下の者の模範になるご令嬢だと伺いまして」
「誰がそんな嘘を……あ、いえ、どなたからお聞きになったのですか?」
聞いたことなんてない。前世の知識でクラウディオを押しつけようとしているだけだし、悪役令嬢がハイスペックじゃないなんて聞いたことがないからよ。
「……どなたが、リナを褒めていたのですか?」
イルデフォンソの瞳が輝いた。キラキラ美少年なのにどこか怖い。どうしてだろう。
「ええと……クラウディオ様、です」
「あなたの婚約者が、リナを褒めていた……と?」
「はい」
視線は合わせられない。嘘がばれそう。
「そうですか。……アレハンドリナは貴婦人の手本には到底なり得ません」
「どうか、お友達にしていただきたいのです。イルデフォンソ様がおとりなしくだされば、アレハンドリナ様も私を受け入れてくださると……」
「私が、とりなせば……?」
「そうです。アレハンドリナ様の信頼が厚いイルデフォンソ様にご紹介いただけたら、きっと……」
「信頼が厚い……か」
口元に手を当て、イルデフォンソは考えているようだ。僅かに頬が赤くなった。
――ここだわ、押せ!
「アレハンドリナ様も、恋人の薦めを無下にはなさらないでしょう?」
「恋……人……」
イルデフォンソは顔を背けて震えた。
「……イルデフォンソ様?」
「あなたには、リナと私がそう見えるのですか?」
婚約者って設定だもの、そうだよね?違うのかしら?
「そう見えます」
向こうを向いて、イルデフォンソは呟いた。「初めて言われた」って聞こえた気がしたけど、気のせいよね?
「わ、分かりました。……あなたをリナに紹介しましょう」
「本当ですか?嬉しいです!」
「リナに相談して日取りを決めます。手紙でご連絡しますね」
「楽しみにしています。ありがとうございます、イルデフォンソ様」
◆◆◆
イルデフォンソと離れると、またあのファブリシオが来るかもしれない。私は邸内のいい隠れ場所を探して廊下に出た。
図書室に籠るか。中に入って適当に本を読み始めたら、知らない男女が入って来た。大人の会話が始まりそうだったからそっと外に出た。戻ってもいいが、また他に誰か入ってくる可能性が高い。お父様達に居場所が知られないようにするには……。
一階の部屋から庭に出た。
月は時々雲に隠れる。人目につかない四阿に行けば、パーティーがお開きになるまで隠れていられそう。私がいないところで、婚約発表はしないだろう。招待客が帰り始めたのを見計らって戻ればいい。
「こっちが近道よね」
微かな月明かりを頼りに建物を回り込む。花壇の傍で何かが動いた。
――!?
ここに野犬がいるわけはないし、公爵家では犬を飼っていない。
では、あれは……?
「……僕は、最低の人間だ」
謎の影が話し出した。沈んではいるが、聞き覚えのある声だ。
「今日も彼女に可愛いねって言いたかったのに……」
話しかけている相手はいない。いや、花壇に話しかけているのか?どちらにしてもヤバい。
「あれは事故で唇がぶつかっただけなんだ。気にしないでほしいと思った。なのに、僕ときたら……ああ、最悪だ。こうなったらあれしかない」
あれって何?
何かあるの?
って言うか、あれは本当にクラウディオなの?
私の前では尊大で冷徹な態度を崩さない男が、花のない花壇の前でちんまりと屈みこんで一人反省会をしているなんて、信じられない。
「エレナ……この間よりまた可愛くなったよな。……あと五年もすれば、もっとたくさんの貴族から婚約の申し入れがあるんだろうな。もしかしたら、外国からも……?」
向こうから執事が歩いてくるのが見えた。見つからないように葉の密度が濃い低木の陰に隠れて、クラウディオが連れて行かれるのを見ていた。
◆◆◆
庭園に隠れて時間を潰し、会場に戻るとすぐにダフネ様達に囲まれた。
ファブリシオと話をしていたのを見咎められたのかとびくびくしていたら、彼女達の表情からは怒気を感じない。
何だろう?
「エレナ様、大変ですわね」
どうしよう、全然話が見えない……。
「突然の発表でしたもの、驚かれたでしょう?」
発表とやらを見ていないので何とも言えず、微笑で誤魔化した。
「私達も寝耳に水ですもの。ビビアナ様も驚いて叫んでいらっしゃって」
「それはそうですわ、ただ一人のお兄様ですものね」
「……あの?」
ドラ様が私の肩に手を置いた。
「お気を落とさないでね」
「留学なんてすぐですわよ。三年や四年、大した話ではありませんわ」
留学?誰が?
「クラウディオ様が外国へ行かれても、私達がおりますもの、エレナ様は寂しくありませんわ」
ダフネ様はにっこりと笑った。
何だって?
アレハンドリナに会う手筈を整えたのに!
肝心のクラウディオが外国に逃げたら、悪役令嬢にロックオンされないじゃない。
集まる人数やメンバーを考えても、このパーティーが最良だと、公爵のおじさまは考えるはずだ。さて、どうしたものか。
パーティーに誰が招待されているか事前に分からないし、アレハンドリナがいるとは限らない。早々にクラウディオのロックオンしてほしいのに、いないのでは話にならない。時間が来るまで適当な令嬢達と話をして過ごし、いよいよ発表されそうになったら邸のどこかに行方をくらまそう。幸い、五年前から何度も通っている。どこにどんな隠れ場所があるか熟知している。私に隠れられないところなんてないのよ。
◆◆◆
公爵家に着く頃には、パーティーが始まって時間が経っていた。仕方なくクラウディオと先代公爵夫人にご挨拶してお祝いを述べた。
私達に気づいたビビアナ様が駆け寄ってきて、俯いた私の顔を覗きこんだ。
「エレナ様、どこか具合が悪くていらっしゃるのね?」
具合というか、頭にきて仕方がないのよ。
「え、は、まあ……」
適当に答えて視線を逸らす。
「無理はなさらないでね。向こうにダフネ様達がお話ししているわ。ダンスはなさらないで座ってお話ししていたらどうかしら?」
「は、はい!ありがとうございます」
助け舟だった!
これ幸いとクラウディオとビビアナ様を残して、私はダフネ様達のいる一角へ走った。
ドン。
「おっと」
「申し訳ございません。私の不注意で……」
ぶつかった相手を見上げる。……あ、この人。
「……ファブリシオ様」
「やあ、君がエレナだよね?」
いきなり呼び捨てにされた。まあ、年上だから仕方がないか。
「はい」
「ふぅん……俯いてばかりでよく分からなかったけれど、宝石のような瞳だね」
「は?」
「夕焼け空の髪……うーん、まあ、合格点かな」
「はぁあ?」
何であんたに合格不合格決められないといけないの?
クラウディオとの一件もあって、私のイライラは最高潮だった。
流石はダフネ様とドラ様が取り合っている顔だけの男・ファブリシオだ。自分がモテると勘違いしている。黙って令嬢達に囲まれていればいいものを、私のところまで遠征してきたのか。
「よく見ると可愛いね、君」
よく見ると、は余計よ。
「じろじろ見るのは不躾ですよ」
「おや、真っ赤になって。照れているのかな」
人の話を聞け!
真っ赤になって怒ってるのよ!
「まさか。照れておりませんわ」
「そう?でも君、婚約者に可愛いとか綺麗だねとか言われたことないでしょ?」
「……だから何だって言うんですか」
どうして秘密の情報が知られているのだろう。使用人の口から会話が漏れた?
おかしい。
「その点僕は、可愛い子には可愛いって言うし、あんまりそうでもない子にも可愛いって言うよ?」
後半は不要よね?
「君は可愛いと思うし、一緒に歩くにもまあまあ自慢できるし」
「それはどうも!私、急いでおりますので、失礼いたしますわ」
一礼して横を過ぎようとすると、ファブリシオは私の腕を掴んだ。
「ダフネのところだよね?一緒に行こうよ」
行きたいのはやまやまだけれど、こいつと一緒は嫌だ。行き先を変更しよう。
「いいえ、私は……」
「ファブリシオ」
思わぬ方向から声がかかった。私の背後、ファブリシオからは見える位置だ。
「先ほどから目立っておりますよ?ダフネ様とドラ様がいらっしゃる場で、他のご令嬢に目移りしては、あなたの評判がますます下がりますよ?」
口調は丁寧だが思いっきりバカにしている。
腕を掴む力が弱まった。振り切って後ろを向くと、ファブリシオは舌打ちして彼を睨んでいた。
――イルデフォンソだわ!
癖のない銀髪を揺らし、少し首を傾げたイルデフォンソは、天使像のように清らかで美しかった。
「はあ……仕方ないな、あいつらの相手は疲れるんだよ。愛されるのも楽じゃないってか。……じゃあね、宝石の君」
素早く私の手を取って、甲に口づけた。一瞬で鳥肌が立った。
最後まで勘違い男のまま、ファブリシオはウインクをして去って行った。
「あ、あの!」
お礼を言わなければ。そして、アレハンドリナと会えるように、繋がりを作らなければ。
「何でしょうか」
「ありがとうございました。しつこくされて困っておりましたの」
「そうですか。私は通行の妨げになるから声をかけただけです。お気になさらず。では」
行っちゃう!
「待ってください!」
「……まだ何か?」
振り返ったイルデフォンソは、目を眇めてから作り笑顔を浮かべた。
「私、アレハンドリナ様にお会いしたいのです」
「……え?」
彼は何度も瞬きをした。
「アレハンドリナ様は私達年下の者の模範になるご令嬢だと伺いまして」
「誰がそんな嘘を……あ、いえ、どなたからお聞きになったのですか?」
聞いたことなんてない。前世の知識でクラウディオを押しつけようとしているだけだし、悪役令嬢がハイスペックじゃないなんて聞いたことがないからよ。
「……どなたが、リナを褒めていたのですか?」
イルデフォンソの瞳が輝いた。キラキラ美少年なのにどこか怖い。どうしてだろう。
「ええと……クラウディオ様、です」
「あなたの婚約者が、リナを褒めていた……と?」
「はい」
視線は合わせられない。嘘がばれそう。
「そうですか。……アレハンドリナは貴婦人の手本には到底なり得ません」
「どうか、お友達にしていただきたいのです。イルデフォンソ様がおとりなしくだされば、アレハンドリナ様も私を受け入れてくださると……」
「私が、とりなせば……?」
「そうです。アレハンドリナ様の信頼が厚いイルデフォンソ様にご紹介いただけたら、きっと……」
「信頼が厚い……か」
口元に手を当て、イルデフォンソは考えているようだ。僅かに頬が赤くなった。
――ここだわ、押せ!
「アレハンドリナ様も、恋人の薦めを無下にはなさらないでしょう?」
「恋……人……」
イルデフォンソは顔を背けて震えた。
「……イルデフォンソ様?」
「あなたには、リナと私がそう見えるのですか?」
婚約者って設定だもの、そうだよね?違うのかしら?
「そう見えます」
向こうを向いて、イルデフォンソは呟いた。「初めて言われた」って聞こえた気がしたけど、気のせいよね?
「わ、分かりました。……あなたをリナに紹介しましょう」
「本当ですか?嬉しいです!」
「リナに相談して日取りを決めます。手紙でご連絡しますね」
「楽しみにしています。ありがとうございます、イルデフォンソ様」
◆◆◆
イルデフォンソと離れると、またあのファブリシオが来るかもしれない。私は邸内のいい隠れ場所を探して廊下に出た。
図書室に籠るか。中に入って適当に本を読み始めたら、知らない男女が入って来た。大人の会話が始まりそうだったからそっと外に出た。戻ってもいいが、また他に誰か入ってくる可能性が高い。お父様達に居場所が知られないようにするには……。
一階の部屋から庭に出た。
月は時々雲に隠れる。人目につかない四阿に行けば、パーティーがお開きになるまで隠れていられそう。私がいないところで、婚約発表はしないだろう。招待客が帰り始めたのを見計らって戻ればいい。
「こっちが近道よね」
微かな月明かりを頼りに建物を回り込む。花壇の傍で何かが動いた。
――!?
ここに野犬がいるわけはないし、公爵家では犬を飼っていない。
では、あれは……?
「……僕は、最低の人間だ」
謎の影が話し出した。沈んではいるが、聞き覚えのある声だ。
「今日も彼女に可愛いねって言いたかったのに……」
話しかけている相手はいない。いや、花壇に話しかけているのか?どちらにしてもヤバい。
「あれは事故で唇がぶつかっただけなんだ。気にしないでほしいと思った。なのに、僕ときたら……ああ、最悪だ。こうなったらあれしかない」
あれって何?
何かあるの?
って言うか、あれは本当にクラウディオなの?
私の前では尊大で冷徹な態度を崩さない男が、花のない花壇の前でちんまりと屈みこんで一人反省会をしているなんて、信じられない。
「エレナ……この間よりまた可愛くなったよな。……あと五年もすれば、もっとたくさんの貴族から婚約の申し入れがあるんだろうな。もしかしたら、外国からも……?」
向こうから執事が歩いてくるのが見えた。見つからないように葉の密度が濃い低木の陰に隠れて、クラウディオが連れて行かれるのを見ていた。
◆◆◆
庭園に隠れて時間を潰し、会場に戻るとすぐにダフネ様達に囲まれた。
ファブリシオと話をしていたのを見咎められたのかとびくびくしていたら、彼女達の表情からは怒気を感じない。
何だろう?
「エレナ様、大変ですわね」
どうしよう、全然話が見えない……。
「突然の発表でしたもの、驚かれたでしょう?」
発表とやらを見ていないので何とも言えず、微笑で誤魔化した。
「私達も寝耳に水ですもの。ビビアナ様も驚いて叫んでいらっしゃって」
「それはそうですわ、ただ一人のお兄様ですものね」
「……あの?」
ドラ様が私の肩に手を置いた。
「お気を落とさないでね」
「留学なんてすぐですわよ。三年や四年、大した話ではありませんわ」
留学?誰が?
「クラウディオ様が外国へ行かれても、私達がおりますもの、エレナ様は寂しくありませんわ」
ダフネ様はにっこりと笑った。
何だって?
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