私が胃癌を患い、そして完治するまでの話。

木立 花音

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出血していた、その理由。

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 一月六日、深夜。
 妻が運転する軽自動車の後部座席で、震えの治まらない体を抱え市民病院を目指します。救急外来で用件を告げたのは〇時だったのか一時だったのか。やはり記憶は定かじゃありません。
 一部しか証明の灯っていない薄暗いロビー。誰もいない病院の廊下。一月の寒々しい外気もあいまって、人けのない空間がやたら寂しく思えたのを、よく覚えています。
 しかし本当の地獄は、ここからだったのです。

 
 さて、ここで一旦閑話休題。

 本エッセイにつきまして、小説家になろうさんの方で、とある方からメッセージを頂きました。
 内容は『癌になるまでの生活習慣や食関係について、気になりました。これを気をつければ癌のリスクが低くなった、というものがあれば知りたいです』と、いうものです。
 言われてみれば確かに、ここまで癌になった状況と経過については詳細を書いてきたものの、自分の生活習慣については一切触れていなかったな、と。癌リスクについて一部語る予定はあったのですが、質問内容を見て、成る程、と思いました。そこまでは頭が回っていませんでした。
 そこで少々お時間をいただき、質問の内容に答えていきたいと思います。

Q:喫煙はしていますか?
 喫煙者は癌リスクが高くなる、というのは良く聞きますよね。ちょっと調べてみました。

『喫煙と飲酒により、胃癌の罹患率が大幅に上昇します。喫煙者の罹患率は、約二倍になります』

 との事。んん、思ったより高くなるようですね。
 そして回答。喫煙は一切しません。飲酒は、してますけどね。

Q:ストレスの多い生活環境なのでしょうか?
 えーと、これはYESです。
 職場で中間管理職ゆえにストレス過多なのに加え、残業もかなり多いです。
 ついでに私は婿養子なので、舅姑との関係もはっきり言って良好ではありません。
 更にいうと、息子の小学校や中学校でもかなりの回数役員 (部活動親の会会長、子供会会長、学年部長etc)を経験しているため、だいぶストレスは多い方だと思います苦笑。むしろ最近は大分楽になった方。

Q:肥満体型ですか?
 間違いなくNO。
 書いちゃうか。身長173センチ。体重58~60キロ程度。はっきり言ってやせ型です。当時はもうちょっと体重あったように思いますが、でも、60キロ前後が精々です。

Q:味付けの濃いものが好きなのか、ラーメンは汁を全部飲みますか?
 YESかなあ?
 東北人は味付けの濃い食べ物を好む傾向がありますが、その例にもれません。濃厚豚骨ラーメンとか大好きです。スープも、全部とは言わないまでも結構飲んじゃいます。

 最後に、胃癌の発症率は、女性よりも男性が高いそうです。なんで……ですかね? よくわかりません。ストレスとの因果関係がきってもきれない慢性胃炎も、胃癌に罹患するリスクを高めます。
 それと、有名なものとしてピロリ菌の感染。
 ピロリ菌の感染により胃潰瘍が引き起こされ、胃癌に発展しやすくなるそうです。
 ちなみに私も後々の検査でピロリ菌への感染が分かっていますので (現在は除菌してなくなりました)それが遠因だった可能性は捨て切れません。
 ピロリ菌への感染経路はいまだ不明瞭な部分が多いらしいのですが、自分の場合、『井戸水からの感染』が有力でしょうか。井戸水の中には結構な割合でピロリ菌がいるらしいです。そして、母方の実家が、かつて井戸水を利用していたので。


 話を戻します。
 症状について幾つか質問をされたのち、最初にレントゲン撮影をすることになりました。レントゲン用の撮影機器──名前はよくわかんないんですけど──を両手で抱え撮影をする直前。私は再び意識を失いました。
 ……というか倒れたときの記憶がまったくなくて、気が付いたらリノリウムの床に仰向けに倒れていたという始末。
 頭がふらふらする感覚はあったんですが、そんなに出血が酷いんだな、と思いました。この時点滴をしていたんですが、よく弾みで抜けなかったな、と感心しました笑。

 レントゲンだけで分かるはずもなく、吐血した原因を調べるため、胃カメラをしましょう、という話になります。救急ですからね。当然鎮静剤なんてやってる暇もありません。
 この一発目の胃カメラ。もう想像を絶する苦しさでした。なんせ、胃の中に食べ物も血も残っている状態です。何度も何度も──食事中の方、すいません──嘔気を誘発させます。

「晩御飯食べましたか?」
 という医者の問いに頷きながらも内心で毒づきました。そりゃ、検査が終わった後なんだから食べますよ、と。
 胃の中が血だらけで見えない、との理由から一度カメラを抜かれ、次に胃の内容物を全部吸引され、綺麗になった後に再度胃カメラを飲む……。
 もうね。抜いたり入れたり抜いたり吐いたり。トラウマになりそうなほどに辛い時間が続きます。客観的な目線で見たらこれはもう地獄絵図だろうね、と自嘲したくなるほどに。

 さて、ここで答え合わせ。
 胃壁から出血していた原因は、前日の午前中にこの市民病院で受けた『胃カメラ検診』にありました。
 私は聞かされていなかったのですが (もしかすると記憶違いかもしれませんが)病理検査にまわすため、胃壁の細胞を採取していたそうです。
 その時の傷口から出血があり、胃の中に血溜まりができていたんだとか。

 にしても、ここで疑問がひとつ。

 個人病院で細胞を取ったときは出血なんてしなかったのに、なんで市民病院で同じ検査をしたらこんな事態になったのか?
 実のところ、今もよくわかりません。本当になんでなのでしょうね……?
 最後に止血の為にもう一度胃カメラを飲み (三度目? 四度目? もう数えるのも嫌になっていました)傷口をホチキスのお化けのようなもので止めてなんとか止血完了。病室に移ることができました。

 もう、げっそりですよ。
 疲れて眠って朝を迎え、というか朝なのか昼なのか。時間の概念が損なわれ始めてましたが。


 ※追記
 妻から追加情報が得られましたので補足します。
 一月六日の深夜。 胃カメラをする直前から輸血を始めていましたが、なんでも、このままだと『出血性ショック』で命に関わる、と医師から説明を受けていたそうです。朝まで病院にもし来なかったら、本気で危なかったかも、とも。
 自分のことで精一杯だったため、すっかり忘れていました。


 ちゃんと止血できてるか確認する為、もう一度胃カメラを飲みましょう、ということになって昼頃にもう一度飲んで。
 ここまでくると、半ばヤケクソです笑。苦しかったですけれど、胃に中身が入った状態で突っ込まれた最初の胃カメラに比べたら、随分とマシなものでした。

 こうしてなし崩し的に入院することになった私。
 仕事の引継ぎが全部終わってなかったなあ、とぼんやり考えつつもとりあえず会社のことは忘れて。
 早過ぎる消灯時間は考えものでしたが、案外と快適な入院生活を送り、平穏無事に手術の当日を迎えます。

 だったら良かったのですが。どういう訳か手術当日にまた一波乱起きてしまうんですね、これが。
 まあ、今回に比べたら大したことはないかな笑。
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